The Scarlets

1953年・コネチカット州・ニューヘブン
Fred Parris(lead・36.03.26~)・Sylvester Hopkins(tenor)・Nate Mosely(tenor)・Al Denby(baritone)・William Powers(bass)

■Dear one・I've rost(Red Robin-128)53
■Love doll・Darling I'm yours(Red Robin-133)54
■True love・Cry baby(Red Robin-135)55.02
■Kiss me・Indian fever(Red Robin-138)55
■She's gone with the wind・ The voice(Klik-7905)58

The Scarlets
45s Greatest Hits
Lost Nite 143

80年代にリリースされたLP。Rost Niteはリイシュー専門レーベルで愛好家には知られた会社でしたがすでに倒産しています。

コネチカット州・ニューヘヴンで結成されたThe CanariesのメンバーのひとりFred Parrisが、53年秋 にHill House High School在学中の友人とともに新しいボーカルグループThe Scarletsを結成する。参加したメンバーは Sylvester Hopkins・Bill Powers・Nate Mosley・Al Denbyであった。このグループではFred Parris自身がリードボーカルを担当し、ビジネスマネージャーも兼ね、売り込みにあちこちを飛び回っていた。Fred Parrisは17歳の時にレコーディングを実現するため、レーベルを求めてニューヨークへ向かった。そして出会ったのがBobby Robinson がハーレムで運営していたRed Robinレコードであった。このレーベルにはすでにThe Mello Moods・The Vocaleers・The Du Droppers・The Velvetsといったグループで、ニューヨーク界隈で中規模な成功を収めていた。The ScarletsはRed Robinと契約し、すでに書き上げていたDear one・I've lostという2曲のオリジナルバラードをレコーディングした。この2曲でシングルデビューを果たした。Dear oneはニューヨークでローカルヒットし、グループはここを拠点として活動を始めた。ハドソン川でのmoonlight sail(月明かりのもとで川沿いに船を走らせ、歌や踊りを楽しむ)に出演し、The Velvets・The Cadillacsらと共演している。53年7月下旬には、Dear oneはシカゴでも順調に売れ、特にロサンゼルスチャートでは好成績を記録した。このシングルの成功でRed Robinは次のシングル Love dollを54年の遅くにリリースしたが、ヒットにはいたらなかった。続いて55年2月にTrue loveをリリースした。このシングルのB面だったCry babyは1年ほどのちにベルビュー出身の元看護婦トリオThe Bonnie Sistersがカバーして大ヒットさせている。またAlan Freedのライブ盤ではSam 'The Man' Taylorのサックス演奏バージョンも発表されたが、The Bonnie Sistersには及ばなかった。いずれしにてもFred Parris自身のバージョンはあまり売れなかったが、わずかな著作料を受け取ることはできた。55年なかば、グループにも兵役がおよびメンバーは各地へ飛んでいった。55年秋、メンバーはRed Robinでの最後のセッションのために集まり、Kiss mという素晴らしいバラードをレコーディングした。Indian feverとのカップリングでリリースされた。しかし兵役がグループ崩壊の主な理由となり、The Scarletsは解散した。後年のBim Bam Boo誌のインタビューによると、The Scarletsの全シングルの売上は100万枚近くあったはずだが、Fred Parrisが受け取ったのはたったの35ドルであったという。これは50年代に活躍したR&Bボーカルグループを象徴する話である。Fred Parrisは陸軍での休暇中に故郷のニューヘブンに戻り週末を過ごしていたが、間もなく新しいボーカルグループを作るために新しいボーカリストを探し、この仕事を続ける決意を固めた。これがのちのThe Five Satinsとなる。一方で58年になってThe ScarletsのシングルShe's gone with the wind がKlikレコードからリリースされた。Fred Parrisがリードで、Sylvester Hopkins・Satin Lou Peeples・Rich Freeman・Wes Forbesがメンバーとなっている。