The Avons

1956年・ニュージャージー州・イングルウッド
Bob Lea(lead)・Irvin 'Flea' Watson(tenor)・Wendell Lea(tenor)・Bill Lea(baritone)・Curtis Norris(bass)

■I'm sending S.O.S.・Our love will never end(Hull-717)56
■Baby・Bonnie(Hull-722)57
■You are so close to me・Gonna catch you nappin'(Hull-726)57
■Please come back to me・What will I do ?(Hull-728)59
■On the island・What love can do(Hull-731)59
■Whisper softly・If I just had my way(Hull-744)61
■Grass is greener on the other side・Girl to call my own(Hull-754)62

The Avons
LP The Avons
Hull-1000・1960年

80年代頃に非常に良くできた海賊版が市場に出回りました。Hullの再発盤というのは存在しないようなので注意してください。現在はコレクター・アイテムとなっていて極めて高値で取引されています。同じジャケットのCDがCollectableから発売されていたので、そちらをぜひとも探してみてください。内容的には文句なしの一級品といえます。超おすすめです。

54年にイングルウッド(ニュージャージー州)の高校生が結成したThe Robinsが母体となっている。オリジナルメンバーはBob Lea・Wendell Lea・Bill Leaの3人の兄弟とIrving Watson・Curtis Norrisの5人である。やがてロサンゼルスで活動する同名のグループ(The Coasters の前身)を知り、The Avonsと改名した。50代に流行した「Avon calling」というスローガンから、あるいは William Shakespeare(詩人)が命名したともいわれている。山小屋に閉じこもって練習をくり返したという。地元でのダンスパーティーなどで経験を積み、55年頃には地元において最もホットなグループとなった。地元の実業家だったEd Prindleが彼らのマネージャーとなり、Hullレコードのオーディションを受た。オーナーのBlanche Kaslin(Bea Kaslinと呼ばれた)はグループを気に入りレーベルとの契約を成立させた。このレーベルにはすでにA thousand miles awayやDaddy's homeの大ヒットを放っていたShep and The Limelitesが在籍していた。56年7月にI'm sending S.O.S.をリリースし、シングルデビューを果たした。この作品はニューヨークでヒットし、間もなくフィラデルフィアでもヒットを記録した。翌57年には2枚目のシングルBabyをリリース、Bob Leaの素晴らしいリードが聞ける美しいバラードであった。この2枚目のシングルリリース直前にCurtis Norrisが兵役のためにグループを離れFranklin Coleが加入し、のちにGeorge Colemanと交代した。また新たなメンバーとなっていたSunny Harleyも同じく徴兵され、バリトンシンガーのBill Leaが加入している。これらのヒットによりThe Avonsはニューヨークからニュージャージーにかけてのローカルスターとなり、地元のラジオ局 WOVのDJだった'Jocko' Hendersonとの親交も深め、彼は特にこのグループを支持した。The Avonsはアポロ劇場(ハーレム)を含む地元での公演も数多く行った。57年後半にYou are so close to meをリリースしたが、こちらはほとんど話題にならず、オンエアもほとんど聞かれなかった。そのためか、4枚目のPlease come back to me(Bob とWendellのツインリードが聞ける)がリリースされる59年までのおよそ1年の間にはなにもリリースされていない。59年遅くにリリースされたOn the islandもまたヒットには至らなかった。60年代になると、多くのボーカルグループはその活動を終えてくが、The Avonsはその間もHullレコードに在籍した。この頃にはCurtis Norrisが去り4人編成となっている。61年にはWhisper softlyをリリース、The Miller Sistersとの共演盤であった。The Avons最後のシングル A girl to call my own(62年)ではSunny Harleyの歌声が聞ける。55年から62年にかけてHullは7枚のシングルをリリースしたが、The AvonsはThe Heartbeatsが成し遂げたほどの大きな成功を得ることはなかった。兵役によってグループは崩壊していったともいえた。また彼らのプロモーション写真も時代遅れなものであった。現在、Doo Wop関連の書籍・雑誌・CDの再発などにより、The Avonsの評価は高まっている。