The Calvanes / The Nuggets

1954年・カリフォルニア州・ロサンゼルス
Herman Pruitt(lead)・Lorenzo Robert Adams(tenor)・Joe Hampton(tenor)
Stewart Crunk(baritone・~67)・Jack Harris(bass・16.10.22~)

Carlyle Dundee & The Dundees
■Never・Evil one(Space-201)54.11
The Wonders
■Bop bop baby・Little girl(Space-202)54.11
The Calvanes
■Don't take your love from me・Crazy over you(Dootone-371)55.09
■Voices for lovers(Dootone-205・EP盤)55.10
■Don't take your love・Crazy over you・They call me fool・One more kiss
■One more kiss・Florabelle(Dootone-380)56.01
■Dreamworld・5, 7 or 9(Deck-579)58.08
■My love song・Horror pictures(Deck-580)58.09
■Cool school・Chapel of love(Original Sound-1)58.06
■Angel on the dance floor・Before we say goodnight(RCA-47-7930)61.08
■Just a friend・Cap snapper(RCA-47-8031)62.05
■Miracle moment of love・When was the last time(Classic Artists-112)89.10
■One little teardrop・At christmas(Classic Artists-114)89.12
■I want you for christmas・Express yourself back home(Classic Artists-115)59.12
■Surrender to love・Baby please don't stop(Classic Artists-126)91.03
■Have you no heart・Take me back(Classic Artists-127)91.03
LP
■Dedicated To You(Big Sandy のバッキングに参加・Hightone-8092)98

The Calvanes
SP Crazy over you
Dootone-371
1955年

写真はSP盤です。

ロサンジェルスで活躍したグループのひとつ。大成功こそ収めなかったが、今日ではその評価も高まり有名なシンガーを支えるグループとしてスタジオで多くの時間を過ごした。Lorenzo Adams・Stewart Crunk・Jack Harris・Sterling Meadeがメンバーで、54年の遅くに結成された。まだグループ名もなかったが、彼らはRobert Mosely(Carlyle Dundeeと自称したシンガー)のいくつかの作品にバッキングで参加することとなった。Spaceレコードから54年11月にリリースされたNever・Evil oneで、クレジットはCarlyle Dundee and The Dundeesであった。レコードは発売されたものの何も起こらず、The Dundeesも低迷する。ほどなくThe Wondersと改名し、同じSpaceでLittle girl・Bop bop babyをレコーディング、54年12月にリリースされた。間もなくSterling Meadeはグループを去り、Joe Hampton・Herman Pruittが加入する。Herman Pruittはバーミンガム(アラバマ州)出身で53年に家族とともにロサンゼルスに移住した若者であった。彼が台所で歌を歌いながら皿を洗っているのを耳にしたStewart Crunkがグループに誘ったという。メンバーは全員がManual Arts High Schoolの生徒で、結成当時はThe Calvanesと呼んでいた。Stewart Crunkが命名している。The CalvanesはIt's a blue world(The Hi-Los)・Laura(The Four Freshmen)などを盛んに練習した。彼らはR&Bを歌うことが成功への道だと信じ、テクニックを磨くためにCornell Gunter(The Flairsのリード・のちにThe Coasters)に学んだという。Cornell GunterはJesse Belvin・Bobby Day・Curtis Williamsらと同じロサンゼルスを拠点に活躍したシンガーの1人である。やがてCornell Gunterの紹介で彼らは、Walter Williams(Dootone設立)の家でオーディションを受けることとなった。55年8月、Dootoneとグループとの契約成立が公表され、55年9月にDon's take your love from me・Crazy over youがリリースされた。9月24日にPlay it fair(Lavern Baker)・Dear angels above(The Belvederes)・Tears in my eyes(The Dreamers)・Devil that I see(The Penguins)・Over the rainbow(The Dominoes)・Hesitating fool(The Striders・49年にレコーディングされた曲)・I need you tonight(The Counts)・The angels sent you to me(The Carnations)・Suddenly(The Keynotes)・Loose caboose(Joe Weaver)らとともにレビューされた。55年10月にはVoices For LoversというEPがリリースされた。彼らの2回目のセッションで、One more kiss・Florabelleをレコーディング、ともにZeke Manners(KFWB局のDJ・KCOPテレビでRhythm And Happiesという番組も持っている)の作品であった。このシングルは56年1月にリリースされ、2月18日にDreamin and dreamin(The Scale-Tones)・Counting my teardrops(The Jayhawks)・Moments like this(The Baltineers)とともにレビューされた。The CalvanesがDootoneで行ったレコーディング作品のいくつかにおいてマスターナンバーが急遽割り当てられた歌がいくつかある。これらはレコーディング時期とナンバーに整合性がないということだが、それらがいつレコーディングされたのかを知る方法がない。They call me fool(EPのみでリリースされた)・Fleeoowee(72年にDootoneのLPにのみ収録された)・Baby come on home(97年にリリースされたCDで初出した)などである。DootoneはThe Penguinsによってその名を知られ、The Medallions・The Meadowlarks・The Dootonesが在籍していた。しかしDootsie WilliamsとThe Calvanesは著作権の問題で揉めはじめ、56年には非常に両者の関係が悪化する。この頃Bobby Adamsは結婚している。Herman Pruittはグループの最初のセッションの後、The Youngstersへ、オリジナルメンバーだったDonald Millerに代わって加入した。Herman Pruittの声はI'll see you next fall(The Temptersもリリースした)で聞ける。この頃のThe Youngstersのメンバーは、Charles Everidge(リード)・Robert Johnson(テナー)・Harold Murray(バリトン)・James Monroe Warren(ベース)である。58年、Bobby AdamsはThe Hitmakersに加入、Val Poliuto(The Jaguarsに在籍した)・Rodney Goodenなどが在籍していたグループで、同58年6月にOriginal Sound(Art Laboe設立・DJ)最初のリリースともなったCool school(B面はChapel of love・両面ともにリードはRodney Gooden)でデビューしている。The Youngstersは57年遅くに解散、The CalvanesのHerman Pruittは新メンバーFreddy Willis(ベース・セカンドテナー)を加え、Deck(Dorinda Morgan・Hite Morgan設立)と契約する。58年8月にDreamworldがリリースされ、翌9月にはMy love songがリリースされた。DeckではYou're only young once・Lavenderもレコーディングしたが、こちらは未発表となっている。61年にFreddy Willisは徴兵となり、Sidney Dunbar(ベース)が加入した。この頃にThe CalvanesからThe Nuggetsと改名しRCAと契約した。61年6月2日、The NuggetsはOne magic night・Your special one・Angel on the dance floor・Before we say goodnightをレコーディングしている。このセッションにはバックバンドのリーダーにH.B. Barnum(The Robins)が在籍していた。この中からAngel on the dance floor・Before we say goodnightが8月にリリースされた。The Nuggetsのもうひとつのセッションが61年11月13日に行われた。RCAの資料によると当日の参加者は、Herman Pruitt・Sidney Dunbar・Robert Adams・Stewart Crunk・Warren Joyner・William Jones(本名はBilly Storm)となっている。Herman Pruittは「Billy Stormはセッションで歌うわけでもなく、ティシュッペーパーを丸めてゴソゴソしていただけの奴さ」と話している。Warren Joyner(セカンドテナー・バリトン)は数多くのカリフォルニアのグループ(The Electras・The Freedoms・The Gents・The Misfits・The Brentwoods)で歌っていたシンガーだったがHerman Pruittは彼をまったく覚えていないと語っている。この日にはJust a friend・Cap snapper・Roly polyが収録され、62年5月に Just a friendがリリースされた。B面に収められたCap snapperは「snap a cap」という黒人スラングを題材にしたタイトルで当時は話題となった。The Nuggetsは62年に解散した。Bobby Adamsは警官を経験したのちガードマンとなる。彼はLionel RichieやTom Bradley(当時のロサンゼルス市長)のセキュリティ監督となった。Herman Pruitt・Freddy Willisは郵便局につとめた。Jack Harrisはアトランタに転居、Stewart Crunkは67年にぜんそくをわずらい死去した。Sidney Dunbarも83年に心臓発作で死去。Joe Hamptonの所在は不明である。メンバーそれぞれが定職を得たが、しかしThe Calvanesの物語はまだ終わりではなかった。89年にSouthern California Doo Wop SocietyはHerman PruittとBobby Adamsに対し、再びThe Calvanesを結成するよう説得を始めた。Freddy Willis も再結成を快認した。ベースシンガーとして彼らはJimmy Corbitt(Johnny Statonとともに歌っていた)を加入させ、The Calvanesは、Rudy West(The Five Keys)のバッキングとしてスタジオ入りした。89年10月、Miracle moment of love(B面はWhen was the last time)がClassic Artistsからリリースされ、I want you for Christmas(B面はExpress yourself back home)が続く12月にリリースとなった。またGeorge GrantのバッキングにThe Castellesという名前で参加し、89年12月にOne little teardrop(B面はAt Christmas)をリリースした。また舞台でもThe CalvanesはMargo SylviaのThe Tune WeaversやBuddy BaileyのThe Cloversのメンバーとして参加、Richard Berry・Jewel Akins・Leon Peels・Gaynell Hodgeのバッキングとしても公演に参加した。The Calvanesとしては91年3月にClassic ArtistsからHave you no heart(B面はTake me back)をリリース、同月に George Grantのバッキングとして参加したSurrender to love(B面はBaby please don's stop・今回はThe Calvanesとして)もリリースされた。98年、The CalvanesはRobert 'Big Sandy' WilliamsのDedicated To YouというCDに参加し、Pretty girls everywhere・Hey senorita・Death of an angel・Guided missilesといったカリフォルニア産のオールディースを歌った。96年にThe CalvanesはUGHAのGroup Of The Yearに選出され、2000年には同じくUGHAのR&B Hall Of Fameに選出された。ビッグヒットを持たなかったグループであったが、今もロサンゼルスを中心に人気を維持しているのは驚くべきことで、最も素晴らしいR&Bグループの1つである。