本と映画の森 (書籍編) No.14

更新日:2015/2/15 

松尾剛次著『お坊さんの日本史』 
2008/05/11



 仏教公伝538年から平成の現代まで、日本仏教の歴史を辿りながら、それぞれの時代において、僧侶が政治と庶民にどのように関わり、影響を与えたか、今日的な問題(妻帯や戒律軽視など)を踏まえながら、平易な文章で詳しく解き明かす日本仏教入門書であり、日本仏教を問いただす提言書でもある。各時代の代表的な僧侶が検証されているが、特に鎌倉新仏教の遁世僧・叡尊の教団のハンセン病患者救済や尼寺の創建には胸を打たれた。同じ著者による『鎌倉新仏教の誕生』(講談社現代新書)では、勧進、非人・女人救済、葬送の論理などがさらに深く検証されている。私にとっては両書とも、日本仏教を知るベースとなったバイブルである。


 お薦め度 ★★★ 


 2002/09/10 生活人新書/NHK出版 定価 693円


 

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