安らぎはいつものように過ぎる日々
啄ばまれ舞う花びらをそっと受け
三密に心の換気朝散歩
無駄話心の自粛解きほぐす
遅く咲き移ろう季節慈しむ
はかなさとしぶとさ備え咲く命
ひと休みそっと誘(いざな)う春の雨
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鈍感で包む命の灯をつなぐ
雪で染め心紅じっと待つ
足元の花びら見つめ木ねぎらう
引き込んで恵み頂き恩還す
揺れ柳そんなに強く生きれない
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日本と世界家庭まで鎖国実施
人止めてネット走らす新コロナ
温暖化ストップ掛ける新コロナ
受け入れて共存探れ新コロナ
人間にお灸をすえる新コロナ
共存を探る手立てがまだ見えぬ
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受粉せず散る花びらに朝の露
花びらがどっと崩れて蜜散らす
また一歩進化と英知せめぎ合い
並び方変えて進化を繰り返す
閉じ込めた光が暴れ白い湯気
もしかして六度目のリセット新コロナ
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落着かぬ気候に沿って咲かす花
五枚とも個性を控え咲くサクラ
クルクルと音も立てずに散る一輪
夢背負い咲く花びら夜憩う
生真面目の何処が悪いか列の蟻
昼下がり戯れて花散らす小鳥
春を呼ぶ低空飛行ツバメ駈け
ラブコール夜を徹してカジカ鳴く
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今までのありようで咲くこの結果
方向を少し違(たが)えて精一杯
人は人 寄り添うまでで手は出さず
流星群期待をすれば曇り空
反動を繰り返し収縮する
その陰に寄り添う人も拒み逝く
過去で咲きつぼみ見届け今日の雨
長い旅行き着く果ては里帰り
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甘樫で日本の夜明け見渡せる
河ひとつ暴れるままに国を割る
年号に年齢重ね歴史視る
柴錬遊戯吉川坊主司馬学者
教科書で故郷の歴史を教えられ
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薔薇の花 少し離れて蜜を獲る
未来から逃げてきたのか風が鳴る
現実を総て散らせる桜力
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妻一人自粛させれぬ安倍総理
マスク来ず一事が万事後手の安倍
汚れ付き小さく遅い安倍マスク
メイドインジャパンの誇り何処いった
隠蔽のしっぺ返しに巻き込まれ
増築の限界超えた屋台骨
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夜明け前騒ぐカラスが西にゆく
ベンチ掛け時の流れを噛みしめる
跳び登り間合いを計る黒いネコ
見上げさす 日を浴びた花少し揺れ
移りゆく季節ささやく遊歩道
ピーチクと三羽のスズメ花散らす
風紋にさくらが添えた花化粧
現実を散らせるサクラ空覆う
車窓からポツンとネオン今も有り
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財布見た母と二人でスパゲッティー
あの頃の悲しい歌はまだ余裕
下宿屋で餃子囲んで熱き夢
長い春キスを許して区切りつけ
線を引き気持を秘めて守る華
その地名辛(つら)い記憶が疼きだす
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胸に手を気付かぬことは分からない
ヨタヨタと自分の足で生きる母
人柄に尊敬加え愛続く
夜深く母の命を考える
深呼吸魔法のことば大丈夫
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老いてなおどうして生きる手をみつめ
生きるとは苦しみなのに何故生きる
籠開き飛べない自分知らされる
星見入り総てのことを忘れてる
行間の暗号文で送信す
溜まるのはほこりストレス不眠症
外せない思い強くて句に成らず
突き放し他人事として詠む視点
ペケ覚悟切れぬ想い出詰める句
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新型コロナウイルスによって、世界はここ数カ月支配されている。回復する
人々が増えてきたが、そして地域によってばらつきが出来来たが、基本的に
は、感染者数も死亡者数も増加傾向が続いている。有効な薬剤もワクチンも、
まだ模索状態で、不要不急の外出を控え、手洗い、消毒の徹底、マスク使用と
いう、消極的な対処にとどまっている。しかし、今現在、それがもっとも有効な
手段に思われる。中国や韓国では、感染者数が減少したが、また第二派の増
加の兆しがみられる。一筋縄ではいかない様子である。
令和2年(2020年)5月16日現在、新型コロナウイルスによる現状は、国内
感染者数:16,237名。死亡者数:725名。退院者数:11153名。世界感染
者数:4,338,658名。死亡者数297,119名。回復者数1,636,306名。
生命も財産も社会もコロナウイルスに脅かされている。精神的に余裕が無くな
り、疲れがとれないと、五七五(娯秘稚語)が詠めなくなった。当たり前のことが
当たり前にできることの喜びを、強く感じる日々である。
今回まとめた作品は、令和2年4月1日から4月30日までの一ヶ月間に詠ん
だ作品から、自選しました。何か一句でも、心に触れる作品があれば、これほ
ど嬉しいことはありません。
2020年(令和二年)5月24日
福井正敏
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