31 The best of Specialty records

Relic-5054

GG31レーベル:Specialty
設立地:カリフォルニア州・ロサンゼルス
創設者:Art Rupe
活動期間:1953年〜1958年
創設:1953年
関連レーベル:Ultra

01 The Chimes - Tears On My Pillow
02 The Dukes - I'll Find Her
03 Arthur Lee Maye And The Crowns - Don't You Know (I Love You So)
04 Tony Allen And The Champs - Nite Owl
05 The Crystals - Love You So
06 The Chimes - The Chimes Ring Out
07 Ben Zeppa And The Zephers - A Foolish Fool
08 The Dukes - So Long Love

09 The Crowns - Cool Loving
10 The Metronomes - She's Gone
11 The Tropicals - Sweet Sixteen
12 The Pharoahs - My Little Girl
13 The Twilighters - It's True
14 The Chimes - Chop Chop
15 Arthur Lee Maye And The Crowns - Gloria
16 Byron Slick Gipson And The Sliders - I Want Cha Baby

R&Bファンなら誰でも「Specialtyレコード」と聞けば、Little Richard・Larry Williams・Lloyd Priceのような偉大なアーティストやSam Cooke and The Soul Stirrersなどがすぐに思い浮かぶ。Percy Mayfieldの「Please send me someone to love」、Joe Ligginsの「The honeydripper」、Lloyd Priceの「Lawdy miss Clawdy」やGuitar Slimの「The things that I used to do」といったSpecialtyの古典的シングル盤はR&Bのスタンダードとなった。そして、ロックやカントリー・シンガーによって幾度となくカバー・バージョンが世に出た。しかし、Art Rupeがロサンゼルスから発したこのレーベルには素晴らしいグループ・ハーモニーによるシングル盤も残されている。Tony Allen and The Champsの「Nite owl」はR&Bコレクター以外にも知られた例外的に本当に有名な作品である。Rupeがレコーディングした大部分はロサンゼルスとニューオリンズからやってきた才能ある若者であった。本アルバムで取り上げたSpecialty作品は、1953年から1958年にかけてそれらの2都市でレコーディングされたグループである。「The Golden Groups: Best of Specialty Records, Vol. 1」は、50年代のSpecialtyにおける初期のセッションから8曲の未発表のグループを含んでおり特に刺激的なものとなった。ほとんどのグループ・メンバーは歌の経験の乏しいティーンエイジャーであったが、Art Rupeは優秀なR&BのA&R(Artist and Repertoire)で、全くのアマチュアからもプロフェッショナルなパフォーマンスを引き出す事ができた。Art RupeはRoy Milton・Lou Rawls and The Pilgrim Travelers・Sam Cooke・Jesse Belvinや、50代半ばに商業的成功をおさめたR&Rグループ達の制作をやめ、彼の同時代のレーベルオーナーに比べるとはるかに数の少ない「Doo Wop」をレコーディングした。Little Richardが1955年に「Tutti fruitti」がビッグ・ヒットを放った時をさかいにSpecialtyは都会的R&Bとブルースから、より商業的なR&Rに重点を移した。The Chimesの「Chop Chop」のような歌やBenn Zeppa and The Zephersの「A foolish fool」は、拡大するR&Rマーケットを明らかに狙って作られた。幸いなことにSpecialtyは詳細なマスター・ファイルを保管していたので、本アルバムに収録した16曲について年代を追って順番をたどることが簡単にできた。本アルバム中で最も初期の歌はGene Moore and The Metronomesの「She's gone」で、Specialty 472として1953年秋にリリースされた。SpecialtyはMercy Deeの「One room country shack」とFrankie Lee Simsの「Lucy Mae blues」で儲けていた時期であったが、The Metronomesのすばらしいシングルは注目されなかった。ゆえに、おそらくコレクターにとって最も珍しい最初のSpecialtyグループのシングルとなっている(2、3枚のシングル盤だけが現存する)。「She's gone」は1953年7月28日にサウス・セントラル・ロサンゼルス出身のKenneth Shawが率いたグループによってUniversal Recorders(ハリウッド)でレコーディングされ、リード・ボーカルはGene Mooreである。The Dukesによる「I'll find her」と「So long love」は、1954年9月1日にロサンゼルスで行なわれた刺激的な午後のセッションで収録されたが、リリースされなかった未発表テイクである。パサデナ出身のChuck Higginsのバンドが、1955年冬にリリースされたSpecialtyシングル「Ooh bop she bop」のバックバンドをつとめたのもこの日のセッションである。The DukesはOtis J. Lee・James L. McCarey・Phillip Murph・James R. Cousarというメンバー。彼らはたいへん有望で多才な若いグループで、1956年にはImperialから「Teardrop eyes」と「Wini Brown」でも成功したグループである。The Twilightersがどのような経緯でSpecialtyへやってきたのかは明らかでないが、彼らのシングル「It's true」は、1955年2月15日にアトランタ(ジョージア州)でレコーディングされSpecialty 548としてその後まもなくリリースされた。The Twilightersのメンバーは、Russell Davis, Jr・Richard Hunter・Milton Howard Hillsman, Jr.・Julius High, Jr.の5人。彼らのセッションで演奏を受け持ったのはJ.J. Jonesコンボで、Rogers N. Rambo(ピアノ)・Layman Jackson(ベース)・Lafayette Lawson(ドラム)・Marion Booker(ボンゴ)であった。このメンバーによるTwilightersというグループがもう一度レコーディングしたかどうかは不明である。Horace Wootenは、The Chimes(「Chop chop」と「Tears on my pillow」は全米のR&Bラジオから放送され、セールスをのばした数あるSpecialty在籍グループ・シングル盤の一枚だった)を結成した有望なリード・シンガーであった。The Chimesはサウス・セントラル・ロサンゼルス出身のグループで1955年8月10日にSpecialtyレコードとの契約書にサインした。明らかに「The chimes ring out」は完全主義のArt Rupeを喜ばせられなかった。レコーディングした4曲すべてがNGとなって倉庫に眠る事となった。しかし「Chop chop」(Specialty 574・1956年冬にリリースされ、売上げも伸びた)も同じ1955年12月の21日のセッションで収録したものであった。「Tears on my pillow」はSpecialty 555の「Zindy Lou」の裏面に収録され、1955年11月26日付のキャッシュ・ボックス誌のフィラデルフィアR&Bチャートのトップに「Zindy Lou」が登場した。Tony Allen and The Champsの「Nite owl」は、R&R初期の永遠のヒットナンバーとなったすばらしいロックン・ロール・ソングの1曲である。一年(最初のリリースで全米ヒットにはならなかったが、そう考えることは難しい)を通してこの曲はとても有名になった。「Nite owl」は1955年9月1日にMaster Recorder(ハリウッド)でレコーディングされ、プロデューサーのBumps Blackwellは、捉えどころのないThe Champsのために、5人のバック・バンドとともにディレクションした。我々はバンドのメンバーが、William Pyles(ギター)・Roy Lee Porter(ドラム)・John "Duke" Harris(ベース)・Hubert Myers(サックス)・Zebedee Kindred(ピアノ)であったことを知ったが、The Champsの素性はわからないままである。またTony Allenはグループのメンバーでなかった。The Champsはこの忘れがたい日にたまたま彼のバッキングに参加した。Alan Freedの偏見のないラジオ放送のおかげで、「Nite owl」(Specialty 560としてリリースされた)は1955年12月にニューヨークR&Bチャートにランク・インした。Byron "Slick" Gipson and The Slidersは、The Pharoahsとしても知られていた。「I wantcha baby」は1955年12月7日にMaster Recorderでセッションが行なわれたが、リリースされなかった(このセッションからは、若いグループの2~3曲からシングル盤がリリースされた)。The Sliders・PharoahsのメンバーはByron Gipson, Jr.・Judge Dennis・Eugene Jackson・Clarence Alexander・Alexander Leeの5人。Bumps Blackwellのコンボが、彼らのボーカルを楽器で支えた。Bumpsと彼の有能なサイドマンは、数ヶ月後に行なわれたArthur Lee Maye and The Crownsが初めて行なったSpecialtyでのセッションにおいても演奏している。1956年2月1日のMaster Recordersで行なわれた午後のセッションで「Gloria」(翌月にSpecialty 573としてリリースされた)をレコーディング、同時に収録された「Cool lovin」と「Don't you know」は50年代においてSpecialtyから決して発売されなかった。Arthur Lee Maya and The Crownsは疑いなく50代半ばの最高の若きロサンゼルスのグループの1つであったが、彼らが全米ヒットを出せなかったのは残念である。しかし、Modern-RPMからリリースした「Truly」と「Love me always」はわずかながらヒットした。のちにArthur Lee Mayeは野球チームMilwaukee Bravesに(Lee Mayeとして)入団し成功し、歌を聞かせるのをあきらめた。しかし彼の声は50年代のロサンゼルスに登場した最も特徴的なリード・シンガーの一人である。Mayeを加えたThe Crownsは、Johnny Morris(テナー)・Richard Berry・Johnny Coleman(バリトン)がメンバーである。Berryは、ひとりでレコーディングを行ない、ロサンゼルス界隈の多くのグループに補充メンバーとして参加している。Young Benn Zeppa and The Zephersの「A foolish fool」は、Frankie Lymon and The Teenagersに対するSpecialtyの西海岸からの答えであった。The Zephersは1956年4月19日にMaster RecordersでLloyd Priceのセッションを行い、明らかにPriceの完成したバック・バンドとして認められた。ZappaはのちにCaliforniaレーベルという小さなレコード会社で何曲かの疑似ロカビリーとティーンR&Rのシングル盤を作っている。そして現在「I'll bet that Benn」は、終りなきHoliday Innのサーキットで歌うラウンジ・シンガーである。Bumps Blackwellは、The Tropicalsの「Sweet sixteen」(本LPの中でも私の大好きなカットの1曲)をレコーディングするためにニューオリンズに向った。このグループによるSpecialtyシングルは一枚もリリースされていない。現存する黄ばんだ契約書に書かれたサインにはHerbert Meyers・Germaine Rixner・Vontell Lang・Brad Smith・Gloria Allenの名前が書かれている。The Tropicalsはニューオリンズ出身で、1956年10月28日に行なわれて彼らの唯一のセッションに参加したバンドはEarl Palmer・Lee Allen・Tyler・Roy Montrell・Warren Mylesの優秀なミュージシャンであった。ニューオリンズは、The Crystalsのホームグラウンドで、彼らの唯一のSpecialtyシングル「Love you so」が1958年9月17日にニューオリンズのCosimoスタジオで制作された時、メンバー全員18才であった。Allen Toussaintはセッションをリードして、グループを完成させたのだろう。メンバーはCleveland Jackson(リード)・Marcell Scott・Douglas Landry・General Jackson・Emery Johnsonである。The Knights(「Be faithful」と「Sherry」は未発表であった)と呼ばれたグループと、The Crystalsはセッション時間を共有した。The Crystalsのシングルがリリースされた1959年初頭というのは、R&Bボーカル・グループにとっての青年期が終わりへ向っていた。Little Richardは宗教にめざめ、Larry Williamsはもう売れていなかった。そしてArt Rupeは新曲のリリースを徐々にやめていった。Rupeのような目先がきくビジネスマンでさえ、50年代当時にSpecialtyセッションが長続きするかどうかを予見することができた、とは思わない。R&BとゴスペルへのRupeの貢献は有名である。本アルバムによって彼がグループ・ハーモニーを聞く良い耳があったことは明白となった。
by Donn Fileti

Pelican's impression

ライナーにもありますが、Specialtyといえばやっぱり一番に出てくるのはR&Rですよね。Little Richard・・Larry Williams・Don & Dewey・Lloyd Price…みんなよ〜く聞いたなぁ。ここではもっともっとかっこいいボーカル・グループの隠れた名曲がこれでもかっ、とでてきます。シリーズ30に続いてかなり中身の濃い一皿となっておりますので、ぜひごゆるりとご堪能ください。それと、タイトルに「Volume 1」とありますが、結局「2」はリリースに至っていないようです。おそらくマスターには山ほどの未発表があると想像できるのですが、はたして。