11 The best of Relic records part 1

Relic-5027

GG11レーベル:Relic
設立地:ニュージャージー州・ハッケンサック
創設者:Eddie Gries・Joe Martin
活動期間:1962年10月~運営中
創設:1962年10月
関連レーベル:50~60年代のマイナーレーベル多数

01. I love you - The Four Most
02. Love only one - The Teenos
03. My life's desire - The Verdicts
04. My dear - The Starlarks
05. At my front door - The Academics
06. I lost my baby - The Darvels
07. Heavenly father - The Starlarks
08. Darla my darling - The Academics
09. The breeze - The Four Most

10. Too good to be true - The Academics
11. Hey boy - The Illusions
12. Heavenly love - The Academics
13. Gone - The Darvels
14. Run fast - The Unique Teens
15. Lonely solder - The Illusions
16. Whatcha know new - The Unique Teens
17. Our love is a vow - The Melloharps
18. Forgotten spring - The Martels

1959年9月はすべてのオールディーズ・コレクターにとって歴史的な瞬間を迎えた。Ivy 'Slim' Rose の設立した Times Square レコード(ニューヨーク市・ブロードウェー42番街)が提供する番組「Alan Frederic's Night Train radio show」の放送が始まったのである。Alan Frederic とはもちろん Alan Freed のことである。この番組は50年代の古典的 Doo Wop グループなど初期のロックン・ロール・グループへの関心を若者から集めることとなった。Ivey Rose には Jared Wenstine・Jerry Greene(後年フィラデルフィアでヒットしていた The Capris の There's a moon out tonight を買い、地元ブルックリンから Lost Night レコードとして世界的なヒット・シングルをリリースする)という弟分的存在(そしてライバルとも言える)がいた。Candlelite レコード(Wayne Stierle 設立)は、今やDMやテレビ・ショッピングで業績を伸ばしている大きな会社だが、1962年に Ivy Rose からわずかな金額で2つのマスターを購入して起業した会社であり、また Eddie Gries の Relic レコードが1962年10月にハッケンサック(ニュージャージー州)で設立された。Ivy Slim とは異なりこれらのかけ出しの起業家たちは、若く(その多くが20代の若者であった)攻撃的でもあった。元々コレクターでもあった彼らがオールディーズの可能性を見いだすのも時間の問題であった。Eddie Gries は大学在学中から自分の車にレコードを積んで各地へ売りに回り、卒業後に Sam Goody の元を離れニューアーク(ニュージャージー州)で活動的に販売を行っていた Joe Martin と意気投合し Relic Rack(オールディーズの小売りや卸売りが主な事業)の運営にあたり、新しい Relic レーベルへの構想を練っていた。メイン・ストリート136 にあった Relic Rack(開店当時の所有者は George Lavatelli)小売店は、世界初のオールディーズ・ストアの1つとなったのである。Eddie Gries は50年代から60年代にかけての作品群をマスターから再発する事を考えていた。なぜならこの時代の作品は、すでにラジオから流される事もなく、コレクターに対して需要が望めたからであった。Ivy Rose がすでにオールディーズとして復活させた名曲の数々(例えば Baby oh, baby - The Shells・Moon out tonight - The Capris・Rama lama ding dong - The Edsels)、また The Timetones の2枚のシングルが全米ヒット・チャートに送り込むなど Ivy Rose の Times Square レコードはその存在を周知させていたからである。当初、Relic レコードのリリースのすべては Eddie Gries の個人的な好みが色濃く反映されている。I love you(Relic-501・裏面は The breeze and I)は、地元ニューアークのグループで Bobby Moore(The Fiestas の So fine で聞けるリード・ボーカル)を中心にした The Four Most の作品で、1959年の遅くに Milo レーベル(Joe Flis 設立・ハリソン、ニュージャージー州)からの再発としてリリースしたが、Relic 初のシングルとしてはほとんど成功しなかった。コレクター向けの何種類かのカラー・ビニール(盤の素材に色付きのプラスティックを用いた。現在では一般に通常盤よりも高価で取引される。Ivy Rose は赤や黄色の盤をわずかな枚数だけプレスして希少性をもたせた)の I love you はニューヨーク市を中心に販売され、Danny Stiles(DJ・WNJR-AM 局)の「Katman show」でも集中的にオン・エアされた。続いてのリリースは、Relic レコード独自の編集による Onix(Jerry Winston 設立・Relic LP-5005参照)であった。彼らは1963年6月に Jerry Winston 本人から直接2500ドルでマスターを購入し、このなかからシングルカットした Randy and The Rainbows の Denise(第77位)と The Classics の Till then(第67位)がキャッシュボックス誌のトップ100にチャート・インするヒットとなった。The Teenos の Love only one は1957年に Dub レーベル(Foster Johnson 設立・リトルロック・アーカンサス州)からリリースされた作品で、The Edsels の Lama rama ding dong のヒットを送り出したレーベルである。私は Foster Johnson(彼はレコード・ビジネスで多額の赤字を出していた)とコンタクトをとり、1960年の冬に The Edsels のシングル盤を購入し Ivy Rose に売った。Ivy Rose は私と私のパートナーである Wayne Stierle に対し、実際には存在しない数百枚の The Teenos のシングルを送って寄越した。Ivy Rose はまだ何枚かのレコードをリリース(多くはなかった)していたが、私が1963年の春に Eddie Gries に会った時、彼は自分のお気に入りが Relic により再発されると言う事に非常に興味を持っていた。私は喜び勇んで契約書を Johnson レコード(リトル・ロック)に送り、1963年9月に150ドルでこのレーベルを購入した。Johnson に在籍していたグループらはすでに跡形もなく消え去っていたが、我々は再発にあたっての諸題に関しては、マスター所有者から法律上の権利を得るまでは細心の注意を払った。こういった取引については、かつて私が大学生活最後の年に Relic に参加して以来経験したことが大いに役立っている。The Verdicts の My life's desire のオリジナル・リリースは1961年8月に East Coast 103 から行われ、レーベル創設者の Bill Downs はのちに The Ablibs も獲得している。The Verdicts はブルックリン出身のグループで、Robert Burroughts・Victor Rice といったメンバーが在籍し、マネージメントは The Crests の Sixteen candle 等を手がけた Al Brown が行った。上品で飾りのない Al Brown の素晴らしいピアノが聞ける My life's desire は、Relic がリリースしたレコードの中でも最も販売スピードの遅い(5年で300枚だった!)ものとなった。オールディーズ・ファンは、テンポのあるニューヨークの Doo Wop サウンドを好み Ivy Rose はこの方面では無敵であったが、本当のマニア達はこういった R&Bハーモニーに精通し、擁護するようになったことも事実であった。1963年8月に Eddie Gries と私はニューヘブンに向かい、弁護士の Joel 市会議員から3本の非常に魅力的なマスターを獲得した。Ancho(創設当初は Anchor)レーベルが1957年4月(Too good to be true・Heavenly love)、1957年8月(My dear・Heavenly father)、1958年1月(Darla my darlin・At my front door)にリリースした The Academics と The Starlarks の6曲のマスターを(我々が思っていたよりも)公平な価格で Relic が購入したのである。The Academics はニュー・ヘブンの Hillhouse 高校出身で、メンバーは David Fisher(リード)・Bill Greenburg(テナー)・Marty Cantor(セカンド・テナー)・Ron Marone(バリトン)・Richie Greenburg(ベース)の5人。Richie Greenburg は1958年に Charie Luth とメンバー交代している。こののち Elmont レコードから Something cold をリリースして解散し、David Fisher は Michael のヒットを持つ The Highwaymen を結成、Charie Luth は The Frontiers(Philips と契約した)に参加した。The Starlarks は、Wes Forbes(リード)・Gordon Henry(ファースト・テナー)・Richie Freeman(セカンド・テナー)・Fred Harris(バリトン)・Joe Bush(ベース)の5人で、The Academics と同じ高校出身のグループで、Fountain of love を Elm レコード(Joel 設立・のちに Ember と賃貸契約する)からリリースしている。Heavenly father は、Wes Forbes と Fred Harris が参加した The Five Satins(Cub)・Fred Parris と Lou Peeples の The Wildwoods(Swallow come back to Capidtrano・Caprice)・The New Yorkers(Miss fine・Wall)らとともにニュー・ヘブンで特に人気を博し Ancho の運営は軌道に乗った。Eddie Gries は1963年秋に The Illusions の Hey boy(裏面は Lonely solder)を再発、これは一風変わった音楽である。このシングルは1962年冬に Tom Fausto の Mail レーベル(フィラデルフィア)からリリースされ少し話題になっている。The Illusions は、Freddie Faulkner(リード)・Jack Fox(バリトン)・Freddy Jones(ファースト・テナー)・Anthony Antoniolo(セカンド・テナー)の 4人で、Mannyunk(フィラデルフィア州)出身の4人の若者で結成されたグループである。このグループは、Tom Fausto の所有した Little Debbie レーベルからリリースされた The story of my life でも素晴らしいハーモニーを聞かせてくれる。Bill Downs から The Verdicts のマスターを受け取ったが、その時にブロンクスで結成したグループ(Warren Gradus が結成しのちに The Belmonts となる)のシングルをリリースしたばかりだという彼の友人にも会っている。The Darvels の Gone(裏面は I lost may baby・Eddies レーベルがリリースした最初で唯一のシングル)を Relic から1963年にリリースした。Stan Creuse(Relic における Eddie Gries のパートナー)と私は、チェスターからウィルミントン一帯にかけてのラジオ局を巡りこの新しいシングルを買ってもらおうと訪ね回ったが、どこも即座に断られ(丁重に)出口まで連れて行かれた。しかしこの Gone は、1963年12月付のキャッシュ・ボックス誌で「B+」の評価を受け「Teen memory-seekers(かつてのティーン・エイジャーの思い出を発掘する探求者)によって懐かしい10代の想い出がかき立てられるだろう」と評価した。Relic-505 としてリリースされた Our love is a vow は、複雑な歴史を持っている。このバージョンのアルバムは「The Leeve Songstars」(私はこのタイトルの意味についてコメントする必要があるだろうか?)として Karen レコード(Sam Wigler 設立)から1959年にリリースされた。このマスターからは以前、非常に珍しい Rengo 45 レーベル の The Teentones がリリースされている。The Teentones は Malone Gowder・Joseph Gowder(この二人は The Leaves にも在籍した)と Daniel Elder・Bobby Hawkins・Ron Fox・Arnold Malone・Vernon Staley がメンバーで、1955年に Love is vow を Do-Re-Mi レコード(Morty Craft 設立)からリリースした。ブルックリン出身の The Mellow Harps もまた Tin Pan Alley や Casino から秀れたシングルをリリースしたグループである。あまり知られていない The Martells は、サンノゼ(カリフォルニア州)出身で Eulis Mason をフューチャーしたグループである。1967年に Relic は、このマスターからピックアップした Forgotten spring を Cessna and Bella レーベル(Gradie O' Neal と John Pusateri 設立)でリリースした。1961年初頭(オリジナルのリリース年)にリリースされた愛すべきバラードであったが、当時と同じくこの Relic の再発シングルは、収益のほとんどがプレス代金と経費で消えていくという失敗作であった。The Unique Teens の Run fast(裏面は Whatcha know new)は1959年に短命レーベル Dynamic(Ulysses Smith 設立)からリリースされた。Eddie Gries は1963年に50ドルの現金でこのマスターを購入し Relic から再発、こちらは投資のほとんどを取り返したと思われる。Jeannie は The Unique Teens が Hanover Ivy レーベルで最初にレコーディングした作品で、1958年にニューヨークでローカル・ヒットとなったシングルである。本アルバムは1963年の終わり頃まで(ビートルズ登場の直前)に発表された作品を取り上げている。この続きは「Best of Relic volume 2」を待っていただこう。 Rhythm n' News 誌の Ron Baldino の行った「Joel Alderman インタビュー」に感謝します。 Jim Hunt と Auther Berlowiz に感謝します。
by Donn Fileti

Pelican's impression

本作がリリース中だった頃のSoul On誌上ではこのRelicを「海賊盤メーカーながら貴重な音源リリースをする会社」と捉えられていました。Relicはマスターを買い取って(レーベル創設者との直接交渉した場合も多々あるようです)販売している再発専門のレコード会社と言えます。オーナーの趣味(の域を超えてます)である50~60年代に流行した歌を人種を問わずに(とはいってもやはり黒人グループが多いです)収集・再編・発行しているレーベルです。さて本作ですが、まずジャケでわかるのがThe Academics・The DarvelsはホワイトDoo Wopのようです。音の方はどうでしょう。1曲目~2曲目はあまり他にないタイプの音作りです。A面最後にも登場するThe Four Mostはどちらの作品もかなり特異です。うまく表現できないですが、何度聞いてもヒットするとは思えない作品です。こういったタイプの作品もあるのですね。3曲目は素晴らしいバラードで、ドンもライナーで書いているように淡々とした演奏にのせて「熱く」歌っています。本アルバムの中で出色の出来と思います。彼らの作品は1曲だけの収録ですが、もっと聞いてみたいと思わせる実力のありそうなグループ、ススメです。5曲目はThe Eldoradosで大ヒットした作品のカバーです。こちらはオリジナルの「なんともいえない頼りなさ」感(これがよかった)がなくてちょっと残念でした。The Academicsなら8曲目の方が断然良いできでした。続いて6曲目も前曲とおなじくホワイトDoo Wop作品ですが、こちらの方が個性を感じられて好感が持てます。The Starlarksは大ヒットしただけあってさすがにいい曲です、4曲目と同じグループには聞こえませんね。続いてB面へ。The Illusionsはなかなかいいグループです。15曲目のLonely solderともに良い作品で、なぜかThe Impressionsを思い浮かべました。The Unique Teensはリードを担当しているのが女性のようです。再発でかなりヒットしたとライナーに書かれています。16曲目ともにThe Teenagersタイプな作品となっています。17~18曲目はともに各グループ唯一の収録ですが、私の好みの作品です。特にB面ラストのThe Martels作品はThe Verdictsと並んで本作のベストではないでしょうか。意外な名曲に出会え、発掘マニアには超おススメでした。