12 The best of Beltone records

Relic-5028

GG12レーベル:Beltone
設立地:ニューヨーク州・ニューヨーク市
創設者:Les Cahan
活動期間:1960~1963年
創設:1960年秋
関連レーベル:Lescay・Leopard

01. Long tall girl - The Carnations
02. Because I love you - The Corvairs
03. You know what I would do - The Jive Five
04. Valarie - The Leopards
05. Walk softly - The Mellokings
06. Night before last - Dean Barlow
07. The girl with the wind in her hair - The Corvairs
08. Watching the rainbow - George Jackson & The Unisions
09. Is there such a world - The Carnations

10. My true story - The Jive Five
11. B. I. Moore - The Headliners
12. She's my girl - The Jive Five
13. Mah mah (chicken pot pie) - The Leopards
14. Never never never - The Jive Five
15. I know - Johnny & The Jokers
16. Comin' on down - The Cameos
17. Let's start anew - The Meteors
18. Lovers reunion - The Dontells
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Les Cahan が1960年秋に Beltone レコードを設立した頃、彼はすでに何百というグループのレコーディング風景を伝説的な Beltone スタジオ(4 West 31st.・ニューヨーク市)で見ていた。彼は、Ansonia レコードの Ralph Perez とともに軍隊に入隊していたこの時期にレーベルを設立した。そして設立間もない最初の月に2本のメジャー・ヒットを送り出した。Bobby Lewis のビッグ・ヒット作 Tossin' and Turnin' は1960年12月27日に、もう一つのヒット The Jive Five の My true story は1961年2月17日にレコーディングされた。1961年においてはボーカル・グループによる「オールディーズ・サウンド」はまだまだ強力であった。There's a moon out tonight(The Capris)・Baby, oh baby(The Shells)・Angel baby(Rosie and The Originals)は全米ヒットとなり弱小レーベルにとってもまだまだ大ヒットを出せるチャンスのあった時代でもあった。ストリート・コーナー・グループ・サウンドのピークは50年代の終わりで過ぎ去ったが、ニューヨークやロサンゼルスでは早くもオールディーズ懐古の機運が上がり R&Rグループの再登場を求めていた。そんな背景の中、Eugine Pit(リード)・Norman Johnson(ベース)・Jerome Hanna(ファースト・テナー)・Billy Prohpet(バリトン)・Richard Harris(セカンド.テナー)のブルックリン出身の若者による The Jive Five を Les Cahan が世に紹介したのであった。My true story がヒット(Cashbox 誌での最高位は1961年9月30日に第6位となった)の中、彼らの2作目となる Never never never を時間をかけて検討し、1961年9月27日にレコーディング、そして10月下旬にリリースされた。本アルバムも含め21もの Never never never の別テイクを収録している(他のテイクについては The Jive Five's Greatest Hits / Relic LP-5020 を参照)。You know what I would do は1962年1月18日にレコーディングされたが未リリースに終わっている。一方 She's my girl は1963年3月11日に収録後リリースされている。本アルバムに収録されている She's my girl の別テイクは、Feldman - Goldstein - Gottherer がプロデュースにあたり、Rain とのカップリングで1963年春に Beltone から The Jive Five の最後のシングルとしてリリースされた。この She's my girl は、もともと1962年9月17日に Ugene Pitt のソロ作品 Everyday is like a year のB面としてレコーディングされた作品だが本作はグループ全員が参加しているバージョンである。My true story の大成功により Les Cahan は Beltone のための新しいグループを探し始めるとともに全米で配給できる体勢を整えるために、Tin Pan Alley として名高いブロードウェイ(1650 Broadway)にオフィスを構えた。そして A&R部長として Joe Rane を迎え、King レコードと配給関係を結んだ。The Jive Five を管理した Otis Pollard は Beltone 全般のプロモーション担当の責任者となり、Lescay と名付けられた子レーベルを1961年9月に着手した。忘れ難いジャンプ・ナンバー Long tall girl とバラード作品 Is there such a world ? は、ブリッジポート(コネチカット州)の Yellow Mill River ゲットー出身である The Carnations がレコーディングしたもので、Matthew Morales(リード)・Carl Hatton・Edwared Kennedy・Tommy Blackwell(ベース)・Harvey Arrington のメンバーで1961年3月2日に収録が行われたが、最終的なミックス作業は9月27日まで待たなければならなかった。Long tall girl は、60年代初期に人気を博したフィラデルフィアの DJ だった Jerry "Geator" Brabat が頻繁にオン・エアしたことで、東海岸で徐々に人気を獲得していった。Carl Hatton によると、Beltone はこの Long tall girl のシングルをおよそ75,000枚売り、人気のあるうちにと Bo Diddley(Checker レーベル)の I'm sorry のバッキングにまで参加させている。本アルバムに収録されている他の作品は、1962年から1963年にかけてレコーディングされたものである。これらのサウンドは当時のグループ人気の終焉を反映しているように、様々でどちらかと言えばわかりにくいグループが多い。もっとも良く知られている例外は、1962年に Walk softly(Lescay-3009)をリリースした The Mellow Kings である。1957年に Herald からリリースした Tonite tonite が大ヒットしたが、その後の再起をかけてのリリースであった。Larry Esposita・Bob Scholl・Jerry Scholl・Neil Arcara・Eddie Quinn の5人がメンバーで、彼らは The Drifters のストリングスを取り入れた新しいサウンドをコピーすることでカムバックを狙った。Dean Barlow の Night before last は、1962年年9月17日にエンジニアによって The Tone Deafs と呼ばれた無名のグループのオーバー・ダブが行われた作品で、彼はすでに The Crickets(MGM・Jay Dee)・The Bachelors(Earl)・The Montereys(Onyx)のリード・シンガーとして何年もの間 R&Bで成功していた歌手である。本作に収録されたバージョンの Night before last は未発表テイク、Lescay レーベルからソロとしてリリースした Third window from the right も若干のヒットとなった。この頃(単独出資企業の子会社や、適当なパートナー・シップという関係でしかなかった多くの弱小レコーディング会社とは異り)ようやく組織化された会社へと変わりつつあった Beltone だったが、King の社長であり Beltone の全米販売業者でもあった Syd Nathan が1962年8月に突如理事会を辞職することを発表した。10月初旬に Beltone は、King に対し「特許料の計算違いを満たすこと」など300万ドル(当時には非常に大きい金額)の支払いを求めて訴えをおこした Les Cahan・Joe Rane の二人だったが、King との大勝負に対する耐久力が十分でなかったたこともあり、その後は1枚もヒット・シングルを作り出すことができなかった。そんな中で契約した The Headliners の B. I. Moor は、プロデューサーでソング・ライターだった Bob Brass・Irwin Levine の作品で1962年の早くに Beltone-2020 としてリリースした。この二人は George Carroll の When in love(Kapp レーベル)でも知られている。The Cameos の Comin' on down は1962年4月17日にレコーディングされたが、世に出ることはなかった作品である。マスター・テープ・ボックスによると、Johnny and The Jokers の I know は1962年遅くに Beltone-2028としてリリースされたが、1962年9月19日に Gait(Alfred Gaitwood 設立)作品としてレコーディングされており、このグループに関する詳細はいまだにミステリアスである。ワシントンにある古い Edgewood Studios で1962年にレコーディングされた Watching the rainbow を歌う George Jackson and The Unisons は、バルチモア出身のグループで、George Jackson は The Plants の Dear I swear(J&S)でリードを歌ったシンガーである。彼らのシングルは Mrs. Frankenstein とのカップリングで Lescay レーベルからリリースされたが、ごく短期間でラジオから聞こえなくなった。The Crystals の He's a rebel・The Miracles の Way over there が試みた新しいサウンド、The Duprees の My own true love や The Emotions の Echo といったスムーズサウンド、といったさらに精巧で洗練された作品群が1962年秋には登場したが、これらは50年代のストリート・コーナー・サウンドから生まれたことは明白であった。The Leopards の Valerie・Mah mah chicken pot pie は1962年11月15日にレコーディングされ、新設した子会社 Leopard レコードから1963年早くにリリースされた。The Jive Five の Girl with the wind in her hair をカバーした The Coevairs のバージョンは1963年4月18日にレコーディングされ、同じく「成功しなかった Leopard 作品」となった。しかし、1963年1月1日にリリースされた彼らのアカペラ曲 Because I love you は確かに一聴に値する。おそらく最もレアな Beltone シングルは、最後にリリースされた2枚である。John Wood がプロデュースを担当し、Edgewood Studios(ワシントン)で1963年7月15日にレコーディングされた The Meteors の Let's start anew(Beltone-2041)。そして Russ Vestee(Buddy Holly の Well all right を Emy レーベルでレコーディングしている)制作・Larry Nestor と Leroy Dandridge(ともにグループのメンバー)によって書かれた The Dontells の Lover's reunion(Beltone-2040)の2枚である。これらのオリジナルを所有するほんの少数のコレクターの間では高く評価されている。1963年秋頃にこの話を知り、この2枚のタイトルに興味をそそられた私はコピーを受けとるために Joe Rene に電話をした。これらは数週前にリリースされていたが、Beltone は完全にこれらのヒットを断念していた。Pat Lundy は次のメジャー女性R&Bボーカリストと予想されたが、Joe Rene は彼女も含めて The Meteors・The Dontells についても何も覚えていなかった。このように短命なグループ(この場合およそ4週間!)が数多くいたことだろう。「その後の The Jive Five」「King とのトラブル」「他のグループの不振」「1964年に始まった The Beatles とブリティッシュ・サウンド攻防」といった多くの要因。これらに Beltone・Lescay・Leopard レーベルは揺れ動き、静かにロックン・ロール史の中に埋もれていった。
by Donn Fileti (メモ:I don't want to be without you についてはRelic LP-5020を参照)

Pelican's impression

A面1曲目とB面最後の曲との時間的な差を「音」という物差しで比べてみるのもなかなか興味ある行為ではないかと思いました。このシリーズの1~10まですべて50年代に誕生したレーベルばかりですが、ここで初めて60年代の音が登場します。かなり雑把なというかバラエティのある音で、それは解説にもある通り「時代」なのでしょうか。解説にあってアルバムに収録されていないもののひとつにBobby LewisのTossin' and Turnin'があります。これはもちろんDoo Wopではありませんが、初期のR&Bっぽさが溢れたカッコイイ曲です、機会があれば聞いてください。