15 The best of Times Square records part 1

Relic-5032

GG15レーベル:Times Suquare
設立地:ニューヨーク州・ニューヨーク市
創設者:lrv "Slim" Rose
活動期間:1959~
創設:1959年
関連レーベル:Relic

01. Stormy weather - The 5 Sharks
02. It's gonna be alright - The Decoys
03. I've got a feeling - TheTimetones
04. Go back where you came from - The Summits
05. Bells - The Jaytones
06. House where lovers dream - The Timetones
07. I want only you - The Decoys
08. Get a hold of yourself - The Timetones

09. In my heart - The Timetones
10. Oh darling - The Jaytones
11. Tomorrow - The Decoys
12. My love - The Timetones
13. If you love me - The 5 Sharks
14. Give me a chance - The Pharotones
15. Pretty pretty girl - The Timetones
16. Times square stomp - The Summits

Times Squareレーベル物語は、タイムズ・スクエアの中心地「ブロードウェー42」に店を構えた伝説的な「Times Squareレコード・ショップ」の話を抜きには語れない。1959年、R&Bを中心とした大流行が始まったマンハッタンの中心通り。広く「Slim」と呼ばれるlrv Rose(以下Slimと表記)の所有する地下鉄のアーケードにある店は、60年代前半にアメリカ全域に向けてのラジオ放送による記録的なレコード・セールスに成功した。Times Squareレーベルの多彩な起源を知るために、少しだけ過去を再検証してみよう。1959年9月のある日曜日の正午、Times Squareを訪れた人々は、何百人という革ジャケットを着た少年たち(そのほとんどが十代の男の子であった)が地下鉄の階段に列をなすのを目撃した。そして長身で極端に痩せ型、そして眼鏡をかけた男も、この日の午後に同じ情景に出会った。彼はこの小さな地下鉄の店でいったい何が起きているのかと疑問を持った。しかしすぐに彼はわかった;前夜、WHOMからAlan Frederick(Alan Freed)の「Night Train」というオールディーズ番組が放送を開始、この番組のスポンサーとなったのが、ここTimes Squareレコード・ショップであった。大都市のまっただ中に登場した、初めてのR&R・オールディーズ専門店を、(グループのハーモニー・サウンドに渇望していた)熱心なリスナーはようやく知ることとなった。ブルックリン在住のコレクターJerry Greene・Harold Ginsberg・Jared Weinsteinらの助けを借りて、Slimは非常に珍しいR&Rシングル盤を1ドル以上で売り始めた。The 4 Deucesの「W-P-L-J」はその年の9月の時点で、おそらく最も見つけにくい古いもので、この素晴らしいシングルは3~4ドルの値をつけた。オープン後まもなく、Times Squareレコード・ショップはAran Freedのラジオ番組(後にWOVから放送した)の影響力増大とともに、より有名になっていった。見つけにくい絶版のシングル盤(当時、アルバムを「集める」マニアがいるとは誰もが思わなかった)を求める客に直面したSlimは、自分の店に置くために、有名・無名にかかわらず、そのグループのレコードを小数枚抑えておくよう手配した。60年代前半のニューヨークではこれらの「オールディーズ」がまさに最新の流行となり、いくつかの再発シングルは、より広域にわたってラジオ放送され全米チャートに着いた。The Caprisの「There's a moon out tonite」がまさにそれであった。この頃には4人の従業員を抱えていたSlimは、倒産したPlanetレーベルからThe Shellsの「Baby oh baby」、The Chantersの「My, my darling」とThe Edselsの「Rarna lama ding dong」を200ドルで購入した。もちろん、Slimの噂はレコード業界の間で広まり、またたく間に有名人となっていった。彼は常に新しい方向や販売方法を工夫した。Times Squareレコード・ショップの名が業界に知れ渡るにつれ、ほとんどすべてのレーベルのレコード会社の担当者、そしてお気に入りを手に入れようとする若者達は、地下鉄の下へと訪れるようになった。そこには「Slimサウンド」とも呼ぶべき、彼自身が認めた「熱狂的な高域のリード、豊かなテナーやファルセットのコーラス、遍在するベース、そしてもちろんバッキングのすべてにサックス・ギター・ピアノ」の音があった。50年代前半のグループ(The Orioles、The 5 Keys)のコーラス・ワークは、この店に群がる熱狂的なティーンエイジャーにとっては、あまりにも口当たりのよすぎるまじめなものに聞こえた。洞察力に長けた少数のコレクターは、The SwallowsやThe Dominoesを認めていたが、少年がリードを歌うThe Elchordsの「Peppermint stick」やThe Chantersの「Row your boat」といった小手先のDoo-Wopは受け入れなかった。The 5 Discsの「I remember」やThe Deltasの「Lamplight」といった響き、そしてThe Admirationsの「Bells of Rosa Rita」やThe Desiresの「Let it please be you」のような悲しげなバラード、それが「Slimサウンド」の典型といえるものであった。本作の主人公であるTimes Squareレーベルは1961年冬に発足した。Slimはいくつかのマスターの権利を購入し、オリジナル・レーベルで再発しようと考えていた。その頃、Clarence Johnson(「Desire」の作者で、Cee-Jayという弱小レーベルのオーナー)から連絡があり、The Timetonesという特別グループを紹介された。当時のSlimは、店の経営で精一杯という状態で、自身のレーベルが制作を行なうことには断固として反対であった。しかしWayne Stierle(Slimの店を手伝い、再発盤の供給を行なった)は、「カスタム・レーベルの発行」を行なう事がTimes Squareレコード(そしてSlim Rose本人)を大いに強化するだろうと、Slimを説き伏せた。Stierleは「黒地に銀文字のシンプルなレコード・ラベル」を考案、このデザインはTimes Square初のシングルThe TimetonesとThe Summitsレコードにだけ使われた。続くTimes Squareレコードにはやや品のない「オレンジ地に黒文字のラベル」(Slimがシカゴで有名だったChanceレコードのロゴをコピーした)を使用、これは現在最も多くのR&Bコレクターに知られているラベルとなった。Times Square-421としてリリースされたThe Timetones(地元出身の黒人3人と白人2人のグループ。Roger La RueというリードシンガーにGeorgesという名前の2人、WalterとBertの5人編成)の「In my heart/My love」は、1961年2月に全米に販売網を持つJubileeレコードから販売し、ローカルヒットとなった。続くThe Timetonesの「Pretty, pretty girl/I've got a feeling」は、Atcoレコードにリースすることにより、全米チャートヒットとなり十分に再三の採れる結果となった。The Summitsの「Go back where you came from」はTimes Square-422として1961年の晩夏にリリースされた。カップリングはClarence JohnsonとSlim Roseの共同プロデュースによる「Times square stomp」というインストゥルメンタル・ナンバーで、オールディーズ・ファンの間では彼等の作り出すサウンドがニューヨーク市で人気を得ている事を改めて証明することとなった。オールディース・ファンが集まるようになるより以前のSlim Roseは、マリリン・モンローのカレンダー販売の大ヒットで出世した。彼は若者の探しているサウンドを熟知していたし、なにより彼自身の強固なまでの嗜好と店に群がる顧客達の望むものとが一致していた。60年代前半のTimes Squareレコード、それは数有るなかでも独自性を持ったオールディーズ・レーベルとして存在感を持っていた。最も大きな過ちは、「オールディーズ・ファンは、誰がレコードをかけるのか、を重視していない」という誤った確信を持ち、「Alan Freed」ではなく「Swingin' Slim」として放送することをしなかった点にある。当時からコレクターの間では、カラー盤は非常に人気があったこともあって、初期のTimes Squareからリリースされた盤(421・422を除く)は、青・緑・赤・紫もしくはレインボーカラーが多用されている。(自身で再発権を買い取った曲に関して)レコードを独占販売することができたSlimは、都市中の客を店に集めたかったのは当然の事であるし、成功していた。同じような若者達が求めるアイテムを持つEd Griesのようなディーラの出現によってSlimの独占状態は壊れたが、それまでは各々のレコードを何百枚も売ることができた。彼らはどちらも1ドルという値が付けられていたが、当時は多くのシングル盤がオリジナルでも再発盤でも値段が同じであった。60年代前半にSlimの取引は急成長し、グループもののレコードやマスターを所有したプロモータ達はさかんに彼と接触しようした。ほとんどのR&Rシングルは、あっという間に流行遅れになったものだが、店ではシングルがほぼ完売、またそれが流行遅れになる前に権利を売って収益を上げて嬉々とした。Times Squareレーベルにおける最高の歌ともいえるいくつかの曲は、本シリーズの他のアルバムにも収録されている。Slimは倒産寸前のMarty Kugellレコード(ニューヘーヴン)からThe NutmegsとThe Five Satinsの優れた「In the still of the nights」を購入、オルタネイト・テイク等のクズのようなものをLanaレーベルを運営するSutton兄弟に売却し、1000ドルの利益を出した。The JaytonesとThe Pharotonesの作品はソングライターのJulius ("Lollipop") Dixonがプロデュースし、彼が運営するTimelyレーベルから1958年夏にリリースされた。The Jaytonesの「Oh darling」は、TS-5として、1963年2月にリリース(裏面の「Crying for you」はThe Centuriesという全く異なるグループが歌っており、弁護するならSlimはこの歌を全く気に入っていなかった)された。The Five Sharks(Bruce Garland・リード、John Monforte・ベース、Dave Weber・第一テナー、Bubba John Crawford・第二テナー、Richie Jankow・バリトン)の「Stormy weather/lf you love me」は、1960年にヒューレット(ロングアイランド)の小さなクラブで当時The Floralsと呼ばれたグループによってレコーディングされた。伝説ともなったThe 5 Sharpsの「Stormy weather」に対し(それがJubileeのシングルである事を知らず、さらに多額の)出資を続け、Slimは(The Floralsの名前を変えて)5 Sharksバージョンとしてリリースした。最初の100枚は特別多色ビニール盤プレスによるロング・バージョンで、これはすぐにコレクターズ・アイテムとなった。1963年5月1日、Times Squareレコード・ショップは通りに1ブロック先(6th. Avenue and 42nd. Street)にある似たようなみすぼらしい地下鉄のアーケードへの移転を強制された。移転後のTimesはスペースが小さくなったにもかかわらず成功を収めたが、店舗自体はそうではなかった。The Timetonesは全員が黒人のグループ(おそらく時代の動向であろう)で、TS-34として「House where lovers dream/Get a hold of yourself」をレコーディングした。そして1963年5月にリリースされ、Slimが制作した中でも最も強力な一枚となった。「It's gonna be alright(AI Browne・Slimが共同でTimesのために制作した)」を歌ったThe Decoysの物語はこの時期のグループの多くに見られる共通点があった。彼らは新聞広告をみて応募した若者達で、ベテランのアレンジャー・製作者(JoyceでThe Crestsを制作した)Al Brownに会った。Connie Strachan(現在はConnie Questell・リード)、Malcolm Quick(バリトン)、Herb Joseph(第一テナー)、Marian Green(ベース)、Isaac Gordon(第二テナー) (2nd. tenor)は、ブロンクスのメルローズ出身の夢見る少年達であった。The Harptones・The Cadillacs・The Valentinesらがお気に入りで、1963年という年はまだまだヴォーカル・グループの活躍の場はあった頃である。「It's gonna be alright」は、最も人気のあるTimes Squareシングルの一枚で、初回プレス盤は予想した売上高をはるかに越えるものとなり広く知られるようになった。The Decoysの第二弾シングル「Tomorrow/I want only you」は1964年にAankoレコードでレコーディングされたのち、Times Squareに売られた。グループは、Connieが新曲のキーを覚える間もなく、Village Gate・Brooklyn Baby Grand・Carlton TerraceそしてもちろんPalisades Parkといった会場で開催されたオールディーズ・ショーに出演した。これらのステージ上で、彼女は自分のヒールのかかとが引っかかるのを知り、Decoyは裸足のままで歌う事になったという。1972年、Al BrownのAljonレーベルから「Memories」をリリースしている。これがTimes Squareの歴史の第1章である。「Best of Times Square Vol.2」 へ続く。 
Donn Fileti

私が書いているのは20年以上も前の出来事だが、しかしまるで昨日の事の用に思われる。Teddyが連れてきたHaroldとともに、私はTimes Squareの中心であるタイムズ・ビルあたりを歩いていた。TeddyはSlimのところで働く黒人であった。普段と変わらないその夜、とある建物の階段の下の人だかりのある場所へやってきた。人だかりはどうやら店に入りきれずに締め出された客のようであり、店への階段で彼等にレコードを売っていたコレクターもいた。よく見ると、そこには小さなウインドウ(と小さな店)があった。それがTimes Squareレコード・ショップという、私には未知だが伝説的だという店であった。店のドアがロックされていたので、私は窓を軽くたたいた。カウンタでトーストにバターを塗りうつむいて食べている男が私の方を振り返った。それがSlimだった。いつもそうしているように私を招き入れ「何を持ってきてくれたWayne?ジャージー以外の物は?」と尋ねた。Donn Filetiと私は、合わせて数百枚のシングル盤を持ってきていた。(今なら20ドル以上の価値あるものが、この頃は卸売りでたったの35セントだった)。そこには他にもJennyや Rosalieがあり、そして、Mike(誰も気づかないままに永遠にそこにあろうかと思えるほどだった)は一枚10セントと書かれた箱の中にあった。天井は壊れかけてへこみ、床もひどい状態であった。地下鉄が地響きを立てて通るたびに、店中がガタガタと揺れた。店は奇怪な個室ではないけれど、とても小さかった。そのミステリアスな暗い部屋には、ほとんど這ってはいらなければならなかったし、さらにそこはゴキブリ天国でもあった。だが、それがTimes Squareレコード(どこもオズの国のR&Rバージョンと言えそうだ)であった。最も見込みのなさそうなこの場所から、「レア」レコードに対する新しい概念が創造され、コントロールされた。もしあなたがそこにいるなら、きっと私が書くように、この天国は地獄であるかのように描写しただろう。私は決してこのショップに終わって欲しくなかった。私には、それが「何か」であったと話すことができるだけである。私は心から惜しむだけである。
by Wayne Stierle

Pelican's impression

Doo Wopファンなら一度ならずとも聞いた事のある「スリム・ローズ」という名前の人物が今回の主人公です。70年代以降では当たり前となった「古いレコードの価値」を60年代にとっくに見抜いていた先駆者(というか早い話が彼もコレクターなわけですね!)であり、優れたあるいは埋もれた名作の再発に力を注ぎ、結果的にオールディース・ブームにまでしてしまったのはスゴイの一言に尽きます。本シリーズを世に送り出しているRELICレコードも彼の血を受け継いだ会社だし、ライナーの著者ドン・フィレッチもスリムに最も近い男の一人といえます。というか、現在のアメリカにおけるヴォーカルグループを育てて来た熱い流れの中心を作り上げた創始者の一人とも言えそうです。さてレコードですが1曲目からやけにソウルフルな感じです。スパニエルズなんかのStormy Weatherとは全く別の曲となっていてDoo Wop感(そんな言葉はないけど…)ゼロですが、ライナーではこれがレア・アイテムだそうです、わからんもんやね。The Five Sharksのもう一曲(13曲目)と聴き比べるとすぐにわかりますが、まったく別グループ(ライナー参照)ですね、これは。The Decoysはキッズ・グループといって良いでしょう。わりとイケてますよ。The Timetonesの「I've got a feeling」はイイ曲ですね〜。ボックスに収録されていた「In my heart」もいい曲ですがこちらも素敵な歌です、おススメ。ところでこの「In my heart」って歌詞の最初に「Story untold」ってでてくるので余計にそう聞こえるんですがThe Nutmegsの「Story untold」をそのまんまアップテンポにしたように聞こえて仕方がない!ま、この頃ってのはそんなのいっぱいありますけどねー。The Jaytonesの「Bells」も夢見心地の佳作、地味ですがいい曲ですよね。皆さんはお気に入りの曲みつかりました?