13 The best of X-Tra records

Relic-5029

GG13レーベル:X-Tra
設立地:ニューヨーク州・ニューヨーク市
創設者:Ben Smith
活動期間:1956~1959年
創設:1956年
関連レーベル:Trax

01. Let's go for a ride - The Collegians
02. I do - The Youngtones
03. You and me - The Unknowns
04. Heavenly night - The Collegians
05. Tell me why - The Belairs
06. One more chance - The Unknowns
07. You I adore - The Youngtones
08. Oh baby - The Belairs
09. It's over now - The Youngtones

10. Patricia - The Youngtones
11. Rosa - The Belairs
12. Oh so much - The Heartspinners
13. Can I come over - The Youngtones
14. I've searched - The Heartspinners
15. Bells - The Belairs
16. Where are you - The Belairs
17. Mixture of love - The Admirations
18. Once in a lifetime - The Sonics

もしあなたが1956年6月16日付のキャッシュ・ボックス誌を持っているなら、そこに掲載された小さな広告を見つけるのは容易だろう。ベテラン・アレンジャーでミュージシャンでもあった Ben Smith(彼は Atlas レーベルで Roscoe Thorne のバッキングを担当している)の設立した X-Tra レーベルは、最初のシングル The Swensons の Remember me to my darling(ポップで、非常に退屈な作品はこのアルバムには適していない!)をリリースしたばかりであった。キャッシュ・ボックス誌のこの号からは「イングルウッド出身のグループ The Avons がブロードウェーにある Hull レコードにおいて契約書にサインしたこと」も知るだろうし、「J&S レコードが The Preteen の This is the night(The Kool Gents のカバー作品・Vee Jay からリリースした)という最初のシングルをリリース」し、「Charlie Feathers の Tongue tied Jill がメンフィスでヒットしている」事も知るだろう。レコード・ビジネスに携わる者にとっては非常にエキサイティングな時で、ブロードウェイの Tin Pan Alley(1650 Broadway)の510号室にあった X-Tra がすべての行動の中心にあった。Ben Smith は Al Sears(50年代中頃に黒人ミュージシャンとしては異例の音楽出版ビジネスを始め Castle rock などを出版している・ベテランサックス奏者でもある)とオフィスを共有した。Al Sears は自分の会社を Sylvia Music(のちに彼の娘となる)と命名し、制作したR&B作品はよく知られていた。これらのR&Bソングはアメリカ東部の主要な都市において黒人ディスク・ジョッキーによって放送された。彼はまた Alan Freed バンドの Right now, right now ではサックスホーンを演奏しており、Al Jefferson(ワシントン)・Ernie Durham(デトロイト)・Ramon Bruce(ニューアーク)といった各地の有名なディスク・ジョッキーとも頻繁な連絡を行ない太いパイプを持っていた。このことは Sylvia-Styletone 作品のオン・エアを(事実上)保証していたともいえたが、これとは逆に X-Tra レコード作品の大部分は極めてわずかな放送しかなく、リリースからすぐに市場から姿を消していった。こうした中からいくつかのグループ(特に The Sonics・The Heartspinners・The Collegians・The Four Belaires など1957~58年にかけてリリースされたシングル盤)が、オールディーズ・マーケットにおけるコレクターズ・アイテムとなった。Anthony Primola(The Unknowns のベース・シンガー)は You and me(1957年初頭にリリース・X-Tra 102)が、ニューヨークでは Jocko Henderson の WOV Rocketship show で頻繁にオン・エアされていたことを覚えている。X-Tra レーベルの典型的なグループといえる The Unknowns は Ben Smith によって発掘されるまでブリル・ビル(1650ブロードウェー)界隈で活動していた。彼らは数人のジャズ・ミュージシャンのバッキングにより Ben Smith(Ben はバリトン・サックスを演奏している)の制作で1956年秋にあわただしいセッションでレコーディングを行った。The Unknowns はジョージ・ワシントン高校(マンハッタン州・ワシントンヘイツ)の生徒が結成した。彼らの住んだ地区を反映しているようにメンバーの人種も雑多で Fred Burnner(リード・アフリカ系)・Anthony Primola(ベース・イタリア系)Edward Williams(ファーストテナー・アフリカ系) ・John Alicia(セカンドテナー・スペイン系)で、同じ学校の同級生だった Flankie Lymon and The Teenagers のデビューに影響を受け1955年から学校ジムや176番街の街角やオーデュボン通りで歌い始めた。メンバーの Anthony Primola はそれまでに The Downbeats に在籍し China Doll(Gee レーベル・1956年)のレコード・リリースの経験を持っている。The Youngtones の Partricia は、私が覚えている限りラジオで流された X-Tra レーベルの中で唯一のヒット曲である。この曲以外の作品は、ビルボード・キャッシュボックスのいずれの音楽誌においても取り上げられていないと思われる。You I adore・It's over now はこの新興レーベルから最初にリリースした作品で、コニーアイランド出身の The Youngtones が歌った。グループは Johnny Marsi の高音のキッド・ボイズをリードに、Gilbert Rivera(ファースト・テナー)・Joe Crespo(セカンド・テナー)・Willy Rivera(バリトン)・Louis Figueroa(ベース)の5人編成である。このグループ最大のヒット・レコードは Patricia で、1958年2月に X-Tra110 としてリリースされた。X-Tra が提供した2回目の(そして最後となった)広告が掲載されたキャッシュ・ボックス誌は、1958年2月15日に発行された。この時の広告では Patricia をメインに売り込んでいる。この号では他に The Shirelles の I met him on a sunday(Tiara)、The Chandeliers の Blueberry sweet、The Charts の Dance girl の広告も掲載されている。The Youngtones は1958年夏の終わりに Brunswick と契約し一枚のシングルをリリースしている。グループ最後のシングルは X-Tra に残した作品 Can I come over で、1959年に登場した。この曲でリードを歌っている Ronald Jackson は、Winley レーベルに在籍した The Jesters のリード・シンガー Adam Jackson の兄弟である。本アルバムに収録された The Youngtones の I do は X-Tra 運営当時は未発表作品であったが、Ben Smith から X-Tra レコードのカタログを購入した Times Square レコード(Ivy "Slim" Rose 設立)により60年代初期にリリースされた。The Sonics と The Heartspinners は、いずれもグループのオリジナル作品ではないが、このレーベルにおいて最も珍しい作品となっている。The Sonics の Once in a lifetime(X-Tra 107)の裏面である It ain't true は James Leston によって書かれ、1956年1月に Sylvia 出版のカタログに含められた。Ben Smith は1955年6月に Groove レーベルからリリースされた The Sonics の As I live on の作者だったことから同グループが X-Tra と契約したと我々は想定している。Earl Caulton(もし本アルバムに収録したグループのメンバーがこの文章を読んでいたなら、ぜひあなたへのロリヤリティのために我々に連絡を取ってください!)が作曲した The Heartspinners の2つの作品と Oh so much は、すべて1957年7月3日に著作権を得て X-Tra 109 としてすぐにリリースされた。Zoom zoom zoom を Winley レーベルからリリースしてニューヨークでヒットした The Collegians は、Harlan Jackson・Roger Hayes・William Tarkenton・Henry Brown・Vernon Riley のメンバーで、Ben Smith のもとでも2つのニューヨーク・クラシックとなる作品をレコーディングした。Times Square Record Shop が開店したのは1959年秋で、Ivy Rose のお気に入り Let's go for a ride を発売(オリジナルがリリースされたのはおよそ1年前で、ヒットとは全く縁のない状態だったけれど)して以降、彼はオールディーズを求め続けた。1959年12月頃、私は The Collegians の X-Tra マスターを再発するために Ben Smith に電話を入れた。彼に Ivy Slim と連絡を取ってもらったわけである。60年代初期の最も一貫した売り手の Times Square レコードの所有するうちの一つのレーベルを復活させたかったからであった。The Four Bel-Airs(Albert Robinson・Vernon Ricks・Warren Ricks・Robert Russell)を発掘したのはワシントンのディスクジョッキー Al Jefferson であった。The Mellomoods の Where are you は Tell me why とのカップリングで1958年に X-Tra 113 としてリリースされた。Oh baby は Times Square が発売するまで、このグループの未発表作品であった。そして Rosa と Bells を収録したのは本アルバムが最初である。The Admirations の Mixture of love は Times Square からのリリースが最初で、Gonnafind my pretty baby は1960年4月に X-Tra からリリースされた。X-Tra の全カタログは1962年に Ivy Rose によって購入され、その後に Ivy Roze が特に好きでなかったマスターのいくつかを彼のパートナーに売却した。You I adore・Once in a lifetime・Can I come over は Wayne Stierle の設立した Candlelite レコードが購入し再発、コレクターであった Bill Pensabene は The Unknowns のシングルを自身の一発レーベル Shield から再発リリースしている。Ben Smith はこの頃に自身の Trax を設立し、バルチモア出身の無名グループ The Ensenadas をプロデュースした。彼は現在もマンハンッタンの CBSビルで、アレンジャー・編曲家として小さなオフィスで働いて健在である。Jim Hunt と Arthur Berlowitz のおかげでグループに関する貴重な情報が得られた事に感謝します。
by Donn Fileti

Pelican's impression

地味だけれど、渋い作品が揃っているというなかなかマニアックなレーベルのようです。とはいえこのような形でちゃんと再発されているのは嬉しいことです。実は一曲一曲にそれぞれ強烈な個性や歴史があるのですが、このシリーズのように同じデザインで一連のシリーズ物のように見てしまうと、案外そのことを忘れがちになります。膨大なシリーズものの中の一曲となってしまわないように私も気をつけなくては、です。さてさて中身ですけど、The Youngtones はキッズ・グループながらになかなか聞かせてくれます。特に13曲目のCan I come overは本文にも何度か登場するだけあったイイ曲であります。このレーベルに限らず、解説に頻繁に登場するTimes Square Recordsなんかにも興味を持っていただければもっとこのシリーズが楽しくなりそうです。