09 The best of Club records

Relic-5022

GG09レーベル:Club
設立地:ニューヨーク州・ブルックリン
創設者:Carl Edelson・Lloyd Pemberton・Dan Terry
活動期間:1956年秋
創設:1956年9月下旬
関連レーベル:Times Square

01. Don't push, don't pull, don't shove - The Willows
02. I'm still in love with you - Jay Saunders
03. Heaven have mercy - Jay Saunders
04. My tears - The Crescents
05. I wanna be free - The Duvals
06. Tender love - The Pageants
07. Burting ground - The Relations
08. Little little - The Cherlos
09. Betty - Little Freddy & The Gents

10. Darling come back - The Crescents
11. This is the end - The Willows
12. When we get the world - The Relations
13. Yes I do - The Relations
14. All nite long - The Relations
15. 99 1/2 won't do - The Cherlos 16. Cry fool - The Cherlos
17. Push, kick & shout - Little Freddy & The Gents
18. Tell it like it is - The Cherlos

もしあなたが1956年の秋に売れないグループのメンバーとして歌っていたとしよう。あなたは「いつかはラジオからは自分達の曲がAlan Freed・Dr. Jive・Hal Jacksonといった人気DJらによってオンエアされニューヨーク中で聞かれるほどのビッグスターになろう、そしてきっとブルックリンパラマウントやアポロといった劇場に出演するぞ」という夢を持っているだろう。そしてあなたがマーケットに向けて満足できるレコードを出したいと感じたとき、まず目に止まるのが1950 Broadwayだろう。そこは20年以上の間最も創造的でエキサイトな独立レコードレーベルがあった有名な住所である。1956年9月下旬、それまで都市中に多くの深夜バーを経営していたCarl Edelsonは、Clubレコードを設立するためにLloyd Pemberton・Dan Terryとチームを組んだ。Clubレコードは、1956年秋にほんの少しのシングルだけを送りだした極めて短命のレーベルであった。設立の前後には数多くの小さな会社が乱立した。競争は厳しく、そして金銭的にもハードであった。Clubも同様に最初のリリースから次のリリースへと続けることは至難の技であった。シングルは地元で評判となり若干枚数が売れた。しかしClub物語は50年代後半から60年代初期に設立された多くの弱小レーベルの典型であった。Clubレコードは1956年11月の第1週に公式に着手された。初めての広告はキャッシュボックス誌に掲載され、最初に4枚のリリースを告知している。Tony Middleton and The WillowsのThis is the end・Don't pull, don't push, don't shove、Jay Saunders and The DuvalsのI'm still in love with you・Heaven have mercy、Pat Cordel and The CrescentsのDarling come back・My tears、Phil Johnson and The DuvalsのYes I do・I wanna be free(すべて収録は1956年9月19日に行われた)の4作品であった。これらのグループのレコーディングには、King Curtis・Bernard Purdieらが在籍したThe Cherokee Conyersというバンドがすべてバッキングを担当し、1テイクあるいは2テイクだけのレコーディングでマスター制作を行った。Carl Edelsonの運営方法は、Eldorado・Luniverse(Buchanan・Goodman はHansonのDrug Storeから移籍したばかりであった!)・Gametime・Ferris・New York Ace(The SharptonesのI'll always rememberをリリースした。アーティストに自身のセッションやプレス費用を支払わせたレーベル)・Tin Pan Alley・Jaguar・MelbaやBruce・Tip Top・Lidoといった「1650 Broadwayレーベル」の典型的なものであった。Leo RogersはちょうどThe Three FriendsのBlancheでスマッシュヒットを放ったばかりで、Alan Freed制作の映画Rock, rock rockが公開されたばかりで、彼の WINSでの番組の時間帯が午後の3時30分~4時30分に拡大されたところであった。そしてどんなに素晴しいオリジナルを持っているグループでも、地元での放送や販売のためにこの番組で放送される機会を狙っていた。1650 Broadway界隈にはそういったグループやマネージャの往来でごった返していた。Phil Johnson and The Duvalsはブロンクス出身のハイスクールキッズであった。彼らのClubシングルは、すべてのClub レコードの中でも最も少ない露出度であった。彼らはのちにErvin Litkeiの設立したKentレーベルに在籍し60年代初頭までそこに留まった。The Willowsは50年代の典型的な契約を取り交わしてClubに入社した。The Willowsは弁護士のAbner Greenbergを通しChurch bells may ringに関する著作権の未払いに対し、Morty CraftとMelbaレコードを訴えていた。Abner Greenberg(非常に短命のManhattanレーベルを運営したこともある)のオフィスは同じ1650 Broadwayにあった。Carl EdelsonはMorty Craftからグループの契約を引き継ぎくこととなる。見返りに彼はDon't pull, don't push, don't shoveの作者の一人としてクレジットされた。1956年でさえヒットしなかったこの作品との取り引きであった。この曲の裏面のThis is the endを書いたDan Terryは、The Willowsとの仕事の大部分を行ったイーストサイド出身の年下の子供であった。Dan Terryは1957年の初めに殺害され、Carl Edelsonはレーベルの運営をしばらく見合わせることに決めた。一方、Pat Cordel and The CrescentsはのちにThe Elegants(Little starで有名になる)となる。2年後にグループとの契約を解除したがCarl EdelsonはABC Paramount-APTと和解した。VIto Piconeは Darling come back・The Staten Islandの作者で、いくつかのニューヨークグループは、無数のインディーズレーベルの中から(ほとんど偶然ともいえる確率で)Clubと契約を交わしていた。The Willowsはすでに彼にとって最良の日を過ごしてた。The Duvalsは本格的なコレクターの間で騒がれているだけの不運なグループ(15年後にはその名も知られていくが)であった。Carl EdelsonはJay Saundersに可能性を見いだし、数回のレコーディングを行ったがヒットを出すことはできなかった。レコードビジネスに携わる人間の多くと同じように、Carl Edelsonもこの最初の失敗でClubの運営に落胆することはなかった。続いて彼はMadison Square Boy's ClubにおいてThe Pageants(元The Ultra D'Ors)を見いだし、1963年2月4日にTender love・Burying groundをレコーディングした。これらの作品は結局リリースされなかったが、同じセッションではThe Relations(The Del Fi'sとして知られる)のAll night long・When we get the wordも収録されており、こちらは1965年8月にCarl EdelsonのもうひとつのレーベルMicheleからリリースされた。また Carl EdelsonはSlim Roseが設立したTimes Squareレコードの要望でDarling come backをMicheleから再発した。Times SquareはFlankie Lymonのようなキッズ・リードのものなら何でも手当りしだいに買った。Little Freddie and The Gentsはフォートリー(ニュージャージー州)出身の白人3人のトリオグループである。Bettyはヒットしないままに彼らの最初で最後のリリースとなった。なぜならこのシングルは当時のマーケットとしては極めてあまりにも時代遅れであった。1965年のポップスマーケットではThe Beatles・The Jive Five・The Temptations・The Ronettes・The Roling Stonesらとの競争となっていたからだった。最後の10年の間、Carl Edelsonはマンハッタンのミドルタウン(42番街)でVarietyレコーディングスタジオ(スタジオ42)を使い、様々なレーベルからレコードをリリースした。Carl Edelsonは、有名なEverard Bathsのパートタイム会計士・ナイトマネージャなど依然として多くの音楽ビジネスにおいて数字と契約の日々を送っている。彼は「1650 Broadway」に対してこれといった楽しい思い出はないという。しかしClub レコードは、50年代のニューヨークの一発屋の典型として記録されるべき素晴らしいレーベルである。
by Donn Fileti

Pelican's impression

のっけから軽快な曲が飛び出します。The Willows はなかなか実力のあるグループでここに収録された作品もイカしてます。Jay Saunders・The Duvals はちとポップスよりの作品でしたがレーベルの意向なのか本人たちの志向なのか…。Cordel and The Crescents は女性がリードをとっています。The Pageants はなんとなく妖し気なコーラスワークでこういうのけっこう好きです、ワタクシ。The Relations はゴスペル色を濃く残したグループで、なかなかパワフルなボーカルが聞けます。The Cherlos はかなりファンキーなサウンドのグループで、このアルバムの中ではかなり異質な印象を受けましたが、スローナンバーはなかなかの出来であります。Little Freddy and The Gents はマージーグループあたりに好まれそうな…というかそっちに近いサウンドのように聞こえましたです。本作はかなりマニアックでありました。