<真珠の場合>
 “明るい太陽の下で”と誰でも思うかもしれないが、俺達は、病室でお互いの大切さを思った時も、プロポーズをした時も、家族が一人増えたと聞かされた今日も、綺麗な夕焼けの中だった。

 「俺はずっと一人で生きていくんだと思ってたのに、えりかと娘達、家族が出来て、それで充分だったのに、又家族が増えた。俺は、一人じゃないんだよね」

 「まだまだ増えるのよ。子供達が結婚して、孫が出来て、ひ孫が出来て・・・子供達がそれぞれ独立しても、シンのそばには、嫌だって言ってもずっと私がいるわ」

 “シンが食べろ食べろと言うから、すっかり元の中年太りに戻ってしまったわ”と文句を言っていたポッコリしたお腹が愛しくてならなかった。
 
 「シン名前考えてね」
 「えりか、それ、仁希に付けてもらってもいいかな?」
 「どうして?自分で付けたいでしょ?」
 「俺達、仁希のお陰でこうして幸せになれた。そんな俺達よりも、もっと幸せな子になって欲しいから、仁希に名付け親になってもらいたいんだ。解かってもらえるかな?」
 「そうね。私達、仁希さんにサインをもらう度に幸せになってきたものね。あのLuijiさんが名付け親なんて、それだけでこの子は幸せかも」
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