「えりか。俺は、君がそばにいないと生きる気力も出ない弱い男だと思い知った。そして、君をどんなに愛しているかも・・」
「私も、自分がこんなに弱いと思わなかった。そばにいてくれないと、ご飯も食べられないし、眠れないし、涙も流せない」
「俺は、ずっとえりかのそばにいて、世界一幸せにする。だからえりかも、ずっと俺のそばにいてほしい。そして俺を世界一幸せにして欲しい」
「駄目よ。私が世界一なら、社長は世界で二番目よ。言い直して」
「・・・俺は、ずっとえりかのそばにいて、世界一幸せにするよ。だからずっと俺のそばにいて、俺を世界で二番目に幸せにして欲しい」
「社長はずっと私のそばにいて、私を世界一幸せにして。そしたら私は、ずっと社長のそばにいて、愛して、守ってあげる。そして、社長を、この世で一番幸せにしてあげる」
夕日が恥ずかしそうに、ワインより真っ赤になって沈んでいった。
「俺がえりかを守る」と、ルビーのリングをえりかの指にはめた。
「私が社長を守ってあげる」と、サファイアのリングをはめてくれた。
ルビーは俺の誕生石、サファイアはえりかの誕生石、この日の為に作り替えた。
「ところでえりか、いつまで社長と呼ぶつもり?」
「だって・・・じゃぁ、なんて呼ばれたい?」
「“シン”とか“しんじゅ”とか“あなた”でもいいよ」
今夜の俺達は、波の音が、隠してくれそうだ・・・。