<真珠の場合>
初めて会った時、君は俺の心の家にノックもせず、何の挨拶もなく入ってきて、部屋という部屋、トイレからクロゼットの引き出しの中まで覗いていった。
俺は、呆気にとられながらも嫌じゃなかった。
むしろ、いつでも君が来てくれる様に、門も扉も開けっ放しだった。
でも君は、心の家には入れてくれなかった。
それがどれだけもどかしく、苦しかったか・・。
でもそれも、今は懐かしい気分だ。
腕の中にいる君を決して離さない。
「愛してる」
<えりかの場合>
初めて会った時から、こうなると解かっていたのかもしれない。
だから、心の家には入れなかった。
社長の気持ちや、自分の気持ちに気付くのが怖かったから・・・。
でも今は、はっきりと言える。
「愛してる」
なぜ、お見舞いに来て欲しくなかったのかって?
病院のベッドで社長の顔を見たら、きっと、その胸に飛び込んで泣いてしまうと解かっていたから・・・。
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