その夜俺は、遠足の前日の子供のように、なかなか眠れなかった。
次の日は、とても幸せな日だった。
彼女を迎えに行き、写真集を見ていて寝不足だとまだ眠そうな彼女と、少し遅い朝食をとり、流行のスポットだの、カフェだの、若者たちがするような、いわゆるデートを満喫した。
夕食をとり、彼女を駅まで送って行った。
ドアが閉まり「ありがとう」と笑顔で手を振る彼女を見送った時、夕べの仁希の言葉を確信した。
(俺は、彼女を愛している)
新幹線が動き出した時、なにかで刺されたように胸が痛くなった。
(帰したくないとなぜ引き止めなかった。離したくないとなぜ抱きしめなかった)
後悔で胸が痛く、動けなかった。
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