街に出て、宝石店で彼女の誕生石の指輪を買った。

 彼女の携帯がなり、娘からだと。
 「今、何処?二人で近くまで来たから、ついでに家に寄ったらいないから」
 「ちょっと遠出してるけど、帰るから」
 「帰らなきゃ」と言う彼女と新幹線に飛び乗った。

 娘さん達に俺たちの事を認めてもらいたかったので、いい機会だと思ったから。
 予定では、今夜の便で出張なので、彼女を送りがてら、近くの空港から発つつもりでいた。

 当然、二人は驚き、猛反対だった。
 もちろん、最初から認めてくれるはずはないと思っていた。
 俺の気持ちを正直に話し、彼女ももう一度幸せになってみたいと説得した。

 彼女達は思った以上に大人で、
 「お母さんが幸せになれるのならいい」
 「だけど泣かせたりしたら承知しないから」
 「将来結婚するなら、別姓にしてね。実家がなくなるのは寂しいから」
 「それは駄目よ、ちゃんと籍を入れなきゃ。何の保証もないじゃない」

 「別姓でも構わない。どんな状態であっても気持ちは変わらないし、彼女の気持ちも同じだと思う。二人で幸せになると約束する」

 「ごちそうさまです。家の事は心配しないで。こんな母ですがヨロシク」とあっさり認めてくれた。

 「社長は、出張だから空港まで送って、帰ってくるわ。荷物も少し持って行かなきゃ駄目だし」
 娘さん達に見送られ、空港に向った。


 「いってらっしゃい。気をつけてね」初めて彼女に見送られた。
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