「駄目だわ。やっぱり私には無理」と書いたものを破こうとした時
「それ、いいかも。いえ、いいわ!それにしましょ、監督」
「そうだな。すぐ手配するよ」と監督は出て行った。
「さすがね。ところで社長、お仕事柄ご存知かと思ってお聞きしたいんですけど」
「今度は何です?何だか恐いなぁ」
「"Love Dream"って知ってます?」
「"Love Dream"?」
「ネットで短い詩を書いてた人ですけど、“好きな人が出来てもう書けなくなった”って書くのを止めてしまったんだけど」
「・・・・・」
「もったいないと思いません?好きな人が出来たら書けないなんて、本当に書いてないのかしら?」
「・・・・・」
「えりかさんはどう思う?」
「え?私?」
「貴女も好きな人が出来たら書けない?」
「私は・・その人のことは良く解からないけど、私ならやっぱり書けないと思います。頭と心と別々に考えられないから、好きな人が出来たら、何を書いてもその人へのラブレターになってしまう。だから書けないと思います」
「もったいないわねぇ。書いていて欲しかったわ」
「その人はきっと、“もったいない”と思ってないと思いますよ。それにきっと、この世でたった一人だけの為に書いてると思いますよ。たぶんラブレターでしょうけど」
「フフフ、そうかもね」