「今日のお礼に食事でも」ということになり、ホールを出た。

 「ちょっとトイレに」とえりかは行ったがなかなか帰ってこないので、先生が様子を見に行ってくれた。

 「どうしたの?気分でも悪い?」
 「大丈夫。あれから真珠さんが、食べろ、食べろって言うものだから、ついつい食べてたら、食べ過ぎて胃をこわしたみたい」
 「えりかさん、おめでた?」
 「まさか!この歳ですよ。娘達の時につわりがひどくて、食べてはもどしの毎日だったから解かるわ」
 「なぁんだ。でも、なかなか健康診断なんてしないから、一度病院へ行った方がいいわよ」
 「そうね。歳も歳だし。来週にでも行ってみるわ。もう大丈夫、ありがとう」

 「顔色が悪いけど、どうかした?気分でも悪い?」
 「大丈夫、きっとお腹がすいたのよ」
 「じゃあ、予約もしたし、早く行こう」

 このホテルのレストランは、景色もいいし料理も美味しい。
 しばらくオフだという仁希とも、久しぶりに食事や酒をゆっくり楽しんだ。

 えりかも食事をしたら、顔色も良くなってきたので安心していたが、先生が「胃の調子が悪いみたいだから、“一度病院へ行った方がいい”と言っといたわ」と言ったのが気になっていた。
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