皆が帰ってから「今度でいい」と嫌がるえりかを「午後診がまだあるから」と病院へ連れて行った。

 色々検査をし、先生に呼ばれた。
 「少し胃が荒れていますが、心配ないでしょう。ただお薬の方は、産婦人科の先生の方で」
 「あの、何か悪い結果が・・?」
 「それは大丈夫だと思いますよ。これを持って、産婦人科の方へ行って下さい」とファイルを渡され、指示に従った。

 問診、検査の後、俺も呼ばれた。
 お腹の辺りのエコーを見ながら

 「ちゃんと覚えておられないので、はっきりした日が分からないですけど、2月位でしょうか?」
 「解かりますか?これが手、これが足・・」

 モニターの中に小さな何かが写っていた。
 俺はまだ、理解出来ていなかった。

 「まさか。私つわりがひどいからすぐ解かるのに」
 「親孝行な子だと言う事ですね。お父さん聞いてます?」

 「え?え?お父さん?」
 「そう、おめでたです」
 「・・・えりか?」
 「シン、パパになるのよ。ううん、もうこの子のパパよ」
 「俺がパパ?」涙が止まらなくなった。

 「お父さんの方が心配ですね。帰られて、病院が決まったら連絡下さい。お大事に」
 診察室を後にした。

 「えりか、結婚しよう。娘達に話して、籍も入れて、式も挙げよう。仁希にも報告しよう。式は、明日がいい。あのホテルの庭で夕日の中で挙げよう。そうだ、電話しよう」

 俺は、思いつく事をすべて並べ立て、娘達に電話をした。
 子供が出来た事、この子の為に別姓ではなく籍を入れたい事、式も挙げたいので出席してほしい事。
 「歳の離れた妹か弟や、しっかり守ってやって、パパ」と祝福してくれた。

 ホテルにも無理を言い、明日、夕焼けの中で式を挙げたいのでと、準備を頼んだ。
P38へ  トップへ P40へ
前へ  トップ  次へ