バスの最後尾に座って、手を振りながら見送ってくれる二人を見ていたら、嬉しいような、淋しいような複雑な気持ちになり、涙が出そうになった。

 監督と先生がやって来た。

 「Luiji、ちょっといいか?先生と話していたんだが、映画やらないか?」
 「映画?どんな?」
 「ラブストーリー。あの二人を見ていたら、創作意欲が沸いてきて。二人がモデルの映画作らない?」
 「駄目だよ。色々あって、幸せになったんだから、そっとしておいてやって」
 「不思議だと思わない?あの歳のカップルで、あの二人みたいな人達って知ってる?もちろん、キャラはまったく変えるし、モデルだなんて分からない様にするから。その為にはLuijiさんから、二人の事を聞かせてもらわなきゃならないけど」
 「僕が知ってるのは、たぶんほんの一部分。二人でいる時の事まではネ」

 兄貴の気持ちは僕にしか解からないし、僕の気持ちも僕にしか演じきれないので、僕が二役をやるという事で、話が進んでいった。

 「じゃあ、そういう事でヨロシク」

 「ところで、Luijiさん、“Love Dream”って知ってる?」
 「いいえ。それ何ですか?」僕はごまかした。

<仁希の場合>
 少し、まだ辛いような複雑な気持ちだが、これを二人へのお祝のメッセージにしよう。
 心からおめでとうと言えるように。
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