デジタル邪馬台国

1.神獣鏡の図像学

 

 
(1) 鏡作神社三神二獣鏡
(2) 唐草文帯
(3) 傘松文様
(4) 三神二獣鏡の系譜
(5) アマテラスの鏡
(6) 方格規矩鏡
(7) 青龍三年鏡
(8) 神獣鏡様式論

概要

三角縁神獣鏡は、一説に卑弥呼が魏から下賜された鏡とされ、邪馬台国大和説の根拠となってきました。しかし、この鏡は、中国本土では一枚も発掘されず、魏鏡説を疑問視するむきもあります。ここでは、笠松文様から三角縁神獣鏡は国産という結論を導き出します。そのうえで奈良県田原本町の鏡作神社の三神二獣鏡をとりあげ、様式の変遷から、国産鏡である三角縁神獣鏡が向かっていた方向を考察します。
この三神二獣鏡のデザインには中国馬王堆出土の帛画と共通の要素が見られます。伝統的な神獣鏡の西王母の図像を継承発展させて、主神として西王母の属性を持ちながら、帛画の中心に描かれた 女媧、燭龍、祝融という天帝もしくは太陽神の属性を持たせた、新しい神「アマテラス」が造形されたのではないかと推測します。
その時期は三角縁神獣鏡の様式論からは、後期と考えられ、発掘品からは、鏡作神社鏡は三角縁神獣鏡のデザインに一定の影響力を持つものの、世界観を限定するまでの力は持たなかったことがうかがえます。

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