業務に関する話題をレポートします。
トピックス
《 屋根の上にて 》
この度、市内にあるマンションのリフォーム工事を実施しました。
建物は平成元年の竣工で、今回の工事では主に外壁のコンクリートや
タイルの補修、各部の塗装及び金属葺による屋根の改修を行いました。
今般の工事に携わり、35年前 真夏の炎天下に3m近く掘削された穴の中に潜り
灼熱の中で基礎工事を進め、屋根工事の時には真冬の冷たい北風にさらされ
凍えながら作業をした新築当時の記憶がよみがえってきました。
また、マンションの周囲は低層の住宅地域で海岸からも近く、屋根の上からは
市内を一望する事ができ、しばらく街の風景を眺めながら昔を懐かしんでいると
昭和天皇崩御の日にも同じ場所で何かを感じていた事も思い出しました。
今回の様なリフォーム工事は多くの入居者がいる中での作業になりますので
新築とはまた違った難しさがありますが、何とか無事に完了する事ができました。
マンションはサラリーマンに例えると定年後が気にかかる時期にありましたが
工事を終えて、見た目は予想以上に若返った印象です。
今回はとても気候の良い時期の工事でした。屋根の上にいると瀬戸内から吹く
海風はとても心地よく、作業後には小豆島の傍らに沈むきれいな夕日を見る事も
できました。
《 解体工事、再び 》
いささか惜しまれる話ですが、まだ築20年に満たない建物の解体工事を
実施しました。
建築当時には、既に前面市道の拡幅計画が存在し、その建物は、時期こそ
未定ながら将来の立ち退きが予定されておりました。しかし、従前の建物の
老朽化がかなり進行していて、やむなく建替えに踏み切った経緯があり、
とうとう、その時が訪れたという次第です。
今般、弊社は同じ場所で2度目の解体工事を施工した事となり、担当者と
しては、新築を手掛けた建物を壊してしまうのは、今回が初めてのケースと
なりました。
誰もが古い写真を目にして昔の記憶がよみがえるのと同様に、現場監督や
職人は、自身が工事に携わって来た建物を前にして、そこでの苦労や失敗談、
そして現場を通じて学び身に付けた事などを思い返すものです。
言わば実感のある経歴書の様なものであり、それを一棟でも早々に失うのは
やはり残念な事です。
実は、今回姿を消した建物は当ホームページの実績紹介のコーナーで
取り上げている地元の和菓子店です。
お店は以前に新築させていただいた支店で営業しています。
《 古民家リフォーム 》
この度、たつの市で 明治元年上棟 と伝わる古民家のリフォーム工事を
施工させていただきました。
その頃の時代背景はまるで大河ドラマの様で、慶応3年(1867年) 第15代将軍
徳川慶喜による大政奉還の後、函館の五稜郭が陥落して旧幕府軍の敗北で
戊辰戦争が終結、明治天皇が京都を離れ江戸が東京となった頃の話になります。
建物は何度か増改築されている様子で、天井を落とすと堅牢でありながら
趣のある丸太梁が姿を現しました。
折角なので今回はそれを生かして室内の意匠をまとめる事としました。
天井は設けず吹抜とし、壁の合板を剥がして漆喰塗を施すと、雰囲気は
がらりと変化しました。
築150年余りの建物に携わり、工事を通じていつになく歴史を深く感じる事が
できました。
ちなみに新政府による廃藩置県で、当時 初代兵庫県知事に就任したのは
伊藤博文だったそうです。
《 石張工事 》
この度、ある住宅の玄関廻りの外構工事を施工しました。ポーチの階段を
1段だけ撤去し、歩道からスロープを接続させるリフォーム工事です。
今回の工事で仕上材に用いた材料は御影石です。岩石分類上の正式な名称は
「花崗岩」ですが、神戸市六甲山麓南斜面の御影から産出されていた石の俗称が
その品質にあやかり各地で使用される様になり、いつのまにか「御影石」の名が
総称として全国に定着したそうです。
確かに「御影石」と呼んだ方がずいぶんカッコよく、その響きは高級なイメージの
大理石の横文字にも引けを取らない気がします。ちなみに本家本元である神戸産は
良質で玄人受けする事を区別するためなのか、マグロと同様に「本御影」と呼ばれて
います。ただ、現在その採掘は困難な状況でとても貴重な石材となっているそうです。
御影石は堅固で重量があり、整然と敷き詰めると端正でどっしりとした安定感を
感じさせてくれます。また、何と言っても自然素材であるが故に切断や仕上などの
加工を施されていても、その表情は豊で趣があり落着きを感じます。
今回の計画では、切石独特の直線的で固くなりがちな印象を抑えるため
少しむくりを付けた設計としました。そのため緊張感が和らぎ、全体が少し
柔らかな雰囲気になりました。歩きやすさはもちろん、家人が優しく迎えて
くれる事を予感させるアプローチが完成しました。
※石割付図はこちら
《 古民家再生完了 》
以前にご紹介した岡山県備前市の古民家再生工事が、この度無事に竣工を
迎えました。そこでは、家人にとって新しくもあり、それでいて、これまでと
変わらぬ慣れ親しんだ生活が、再び始まっています。
再生された住まいは、柱梁が補強・補修され、内外装共に綺麗に化粧仕上を
施され、一見するとその姿がすっかり変わったかに思えますが、今般の工事が
単なる改築ではなく、再生であるが故に、共に刻んできた一家の大切な歴史を
ちゃんと受け継いでいるかの様で、そんな面影さえ感じさせてくれます。
凛とした佇まいは、民家の大きな魅力です。再生により少しばかり趣きが変わり
ましたが、何の違和感もなくすっかり周囲の環境に馴染んでいる姿を目にすると、
家がこの地で永い時を重ねてきた事がよく解ります。
工事途中は、隠れていた傷みの激しい部分を目にする事もあり、時には心配も
しましたが、南表側の田んぼの中から見上げていると、再生により長年の疲れが
すっかり癒され、元気を取り戻し、「さて、ここからまたふん張るぞ!」 と言う
声が聞こえて来る様です。
《 文化財復元〜城門完成 》
この度、赤穂城跡にて取り組んでいた、赤穂市発注の城門復元整備工事が
無事に竣工を迎えました。今般の工事は、赤穂城の二の丸を南北に二分する
西仕切城壁の途中にあったとされる「西仕切門」を、隣接する版築土塀と合わ
せて復元するものでした。
赤穂城二の丸には、古絵図や文献などから池泉の存在が知られていましたが、
平成7年からの調査で大規模な遺構の存在が確認され、平成10年から始まった
全面発掘調査により明らかとなった、城郭庭園の整備が現在進められています。
この西仕切門は、控柱付きの「棟門(むなもん)」と呼ばれる形式で、親柱の上に
切妻屋根をかけた単純な構造形式ですが、遺例はとても少ないとされています。
また今回復元の門は、扉の部分の一部に横板が張られず、竪格子の上下の
部分が透けているので、「透かし門」とも呼ばれています。
そのため完成した門は、少しばかり緊張感が和らいでいるのか、シンプルな姿
ながら、城郭らしい力強さと、情緒ある優しい佇まいを兼ね備えた門となりました。
二の丸庭園内には一般の入場はできませんが、赤穂城跡公園の南側からは、
門の表側を直接見学することができます。
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