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     そろばん


 アルミサッシやドア、ふすま・障子など、建具と呼ばれる
ものは、住まいの中で唯一「動き」を伴う部分です。

 それ故、他には無い特殊な装置が必要となります。
丁番・取手・Vレール、敢えて動きを止めるための錠など、
建具金物と呼ばれるものが該当します。

 開き扉の開閉をコントロールするための金物の代表に
“ドアクローザー”があります。台所の勝手口のドアの上で
よく見かけるアレです。扉が開いたままの状態を維持し、
勝手に閉じることもできる、とっても便利な金物です。

    われわれ現代人は恵まれている、なんて思ったりしますが、昔の人だって負けていません。
   滑車を通した錘(おもり)が、扉を開けると吊上り、その重みを利用して、自然に扉が閉じる
   仕掛けの、立派なドアクローザーが存在しました。


   こちらの方が、単純なメカニズムで、より故障も少ないはずです。



 一方、引き戸には、動きをスムーズにするための“戸車”
と言う金物があります。戸の底に取り付けられているコマの
事です。普段は全く目に留まりませんが、毎日休まず建具を
支え、陰になり活躍してくれる縁の下の力持ちです。

 その寿命は、延べ回転数で決まるそうです。それならば
   なるべく径の大きいコマを使えばいくらでも長持ちすると考えますが、
   建具そのものは決して大きくはなく、その下部には取付スペースの限界があります。


   さて、防火のため、土とシックイで塗り固められた、大きくてずっしりと重い土蔵の引き戸の場合、
  いったいそのコマはどうなっているのだろうと、考え込んでしまいますが、やっぱり昔の人は賢明
  です。逆転の発想で、大きなコマを取付けた木製のレールを敷居の溝の中にはめ込んだのです。
  取替えが簡単なばかりか、おかげでびくともしない頑丈な戸が、そのコマの上に乗ったまま、何とも
  心地よくスイスイと滑っていきます。

   先人たちの知恵と工夫には、まったく頭が下がります。住まいの伝統技術には、現代のハイテク
  技術にも決して引けを取らない、優れたアイデアがたくさん詰っているようです。

   ところで、先ほどのたくさんのコマの装置は、その形状から「そろばん」と呼ばれているそうです。

  「そろばん」だけに、さすがによく計算されています。




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