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     鬼瓦



 住宅の外観デザインに大きく関わる部分と言えば、
まず最初に思い浮かぶのが、「屋根」です。

 日本では雨の多い気候風土ゆえ、そこに水勾配を
付け、軒を深くするのが基本となるため、建物を目に
する時、視界の大半を屋根が占める事も、その理由の
 ひとつです。


  簡素で軽快な 「切妻」 (きりづま)、端正で安定感のある 「寄棟」 (よせむね)、そして
 最も重厚で風格漂う 「入母屋」 (いりもや)など、たとえ同じ間取りであっても、屋根の
 形が変われば、受ける家のイメージは大きく異なります。それらを透視図や模型を使
 って比較すれば、屋根が住宅のデザインに与える影響の度合いがよく解ります。


  さて、日本では屋根を飾る最もポピュラーな建材は「瓦」です。ひと口に瓦と言っても、
 形や色、焼成法、さらに等級や産地など、細かく分類すれば1000を超える種類があり、
 なかなか奥の深いものです。普段なんとなく見上げている屋根瓦も、しばらく観察すれ
 ばそれらの様々な違いに、誰でもすぐに気づくはずです。


  そんな多様な屋根瓦の世界で、トップスターの座にあるのが「鬼瓦」です。


  屋根の最も高く、最も目立つ場所で、たくさんの地瓦を下に従え、悠然と構える姿は
 たのもしくもあり、憧れの存在と呼べるかも知れません。大きな寺院など、屋根の規模
 が大きくなればなるほど、その姿はますます勇猛果敢 (ゆうもうかかん) となり、まるで
 人間の世界と共通しているかの様です。


  しかしながら、一見華やかで、羨(うらや)ましく思えるものの、どんな世界おいても、
 上に立つ者にはそれなりの苦労が付き物で、何事も決して甘くはなく、その立場に
 なって、初めて知る厳しさもあります。

  鬼瓦とて同じで、実際に屋根へ上ってみれば解りますが、そこは、真夏は火傷しそう
 な灼熱地獄、真冬は冷たい北風を受け、凍てつく様な寒さです。台風がやって来れば、
 激しい風雨にまともにさらされます。それに地瓦は多少ずれても、それほど目立ちませ
 んが、鬼瓦は少しでも傾けば、屋根全体が台無しに思われてしまいます。


  少し悲哀さえ感じてしまいそうですが、家の守り神とも言われる「鬼瓦」です。
 たまには、我が家の屋根を見上げて、感謝とねぎらいの言葉をかけてみては
 いかがでしょうか。


  家族を守る屋根に対しても、かわらぬ愛情が必要です...。



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