これまでのトピックス
《 古民家再生中 》
昨秋より、岡山県備前市にて、およそ築100年の古民家の再生リフォームに
取り組んでいます。現場は市内北部に位置し、背後に里山がせまり、南向の
表側には田園を挟んで清流が流れており、古民家にとってはとてもふさわしい
閑静な地域です。
今回の再生工事では、茅葺屋根を瓦葺に改修する計画としましたが、趣き
のある旧来の外観スタイルを維持するため、最上部の越屋根と下屋根には
「桟瓦」を、そして大屋根には「平瓦」を用いてコントラストを付けました。
また、茅葺が瓦葺に変わるのに伴い、小屋組を「さす組」から、梁を組み束を
立てて屋根を支える「和小屋組」に全面的に改修しています。さらには屋根の
荷重の増大に対応するため、基礎はベタ基礎コンクリートを新設し、躯体には
構造用合板を用いた耐力壁で補強を施しています。
ちなみに、正面の軒桁は長さが15mあり、檜丸太の一本ものでした。もちろん
古材を再利用する計画です。
年が明け、今は4月末の完成に向け、大工さんが内外の造作を順次進めて
いるところです。
※「さす組」とは...下段《古民家》を参照
《 店舗竣工 》
先日、姫路市内にて新築工事で取り組んでいた、ある薬局店舗が無事に
竣工を迎える事ができました。
建築物は鉄骨造2階建で、延床面積が150u足らずの小規模店舗ですが、
建設場所が市道幹線交差点の角地に位置し、その姿全体が周囲からよく
見通せる場所にあります。
外観はキューブを重ねたシンプルなデザインですが、階別に外装に変化が
あるのが特徴で、モノトーンの色分けに加えて、1階部分のGL鋼板立ハゼ葺
の垂直ラインと、2階部分のサイディングボードの水平目地の対比が印象的な
建物となっています。
ところで、「ハゼ」とは建築板金工事において、金属板を継ぐために端部を
折り曲げた部分を指します。その部分の形状により、「平ハゼ」、「立ハゼ」、
「巻きハゼ」などの種類がありますが、今回施工の「立ハゼ」は、ハゼの部分
がシャープでスマートな連続ラインとなるのが特徴です。
《
この度、前回ご紹介した大石内蔵助の寓居が、無事に工事の完成を迎え、
先日、来賓や地元自治会、工事関係者出席のもと、竣工式が行われました。
完成した建物は、和瓦切妻葺の平屋建で、外観は武家屋敷をイメージした
ササラ子下見板の腰板張に、やや粗い土壁風の塗装仕上が施されています。
軒裏や隅柱、窓格子、腰板などの木部は伝統的なベンガラで濃色に塗装され、
落ち着きと同時に、キリットした緊張感を持ち合わせています。
また、史跡内の庭園に向けて、控えめな濡縁が建物前面に添えられており、
風情を楽しめるだけでなく、下屋根と合わせて建物に情緒を加えています。
竣工を迎え、鮮やかな新緑に包まれた建物の様子を目にしていると、史跡の
環境に上手く溶け込んでおり、元禄の往時を彷彿させるものが創造できたので
はないかと思います。
今後は同様に、現代の地元の皆さんにも、馴染んでもらえると幸いです。
※室内の様子はこちらから。
《
元禄の刃傷事件の主役である大石内蔵助が、城 明け渡し後、京都山科へ
移り住むまでの一時期、仮住まいをしていたと伝えられる場所が、赤穂市内
にあります。市指定史跡の「伝大石良雄仮寓地跡」、地元では、「おせど」の
俗称で親しまれている場所です。
この度、弊社は当地にて文献を頼りに当時の間取りを再現し、外観も古風
にイメージした意匠の、武家屋敷再建に取り組む事となり、先日無事に上棟
を迎える事ができました。
敷地内には、瓢箪池や薩摩藩から赤穂藩に送られたとされる「牛石・馬石」
と呼ばれる巨石などが残されており、建物再建には絶好のロケーションです。
八幡宮の境内にも隣接し、その静かな佇まいに、当時の三間建平屋の邸は
随分小さいながらも、内蔵助はとても気に入っていたと伝えられています。
今般の建物は、地区の集会施設として利用されます。内蔵助と同様に、
地域の皆さんに大いに親しまれる建物を完成させたいと考えています。
《 確認申請 》
先日、昨秋に設計がまとまり、11月初めに受付をしてもらっていたある物件
の建築確認申請が、ようやく下りてきました。
一昨年6月20日の改正建築基準法施行後、一定の条件に該当する建物は、
従来の確認審査に加えて、指定の判定機関で構造計算の適合性判定を受け
る事が求められる様になりました。
本物件は、単純な矩形の鉄骨造平屋建の工場でしたが、条件に該当する
部分があり、上記の判定を受けていました。確かに、以前に比べると細部に
わたって厳しいチェックがあり、設計図や構造計算書の記述は、かなり詳細
なものを求められるため、法令への適合性がより明確となり、その信頼性は
向上していると思われます。
しかしながら、年をまたいで手元に戻って来た申請書を見ると、いくばくかの
懐かしささえ感じ、改正法施行直後の混乱時に比べてかなり改善されている
とは言え、もう少しスムーズに短期間で審査ができないものかと思う次第です。
《 地鎮祭 》
この度、設計から取り組んでいたある新築の店舗併用住宅が、無事に
工事着工のはこびとなり、先日地鎮祭が行われました。
地鎮祭とは、建築工事に先立ち、その地の氏神様へ土地をお借りして
これからそこに建物を建てる事を報告し、真心を示して神の怒りを鎮め、
工事の安全無事を祈る儀式です。
新築工事の場合は必ず行う地鎮祭ですが、工事に携わる者にとっては
それが節目となり、新たに始まる工事への期待を込めて気分を一新する
いい機会となります。神官に祝詞を奏上していただき、玉串を捧げて一連
の儀式を終えると、何か大切な許しを得た様で、少しホットするものです。
言うなれば、神様の確認申請がもうひとつ下りた気分です。
《 吹抜空間 》
この度、ある棟梁より依頼を受けて、年始より設計監理をしていた住宅の
工事が完了し、竣工検査が行われました。
今回の住宅には、玄関ホールに連続して階段室が配置され、その上部が
一体の吹抜空間となっています。階段を上る途中には、ステージ状に中2階
のスペースが設けられており、そこから玄関の土間や窓を通して外の景色を
望む事もできます。
見上げると、太い丸太梁が整然と組み合わされており、階段の登り降りの
際には、変化に富んだ空間が視覚的に充分楽しませてくれます。
また、複雑になればなるほど無骨になりがちな手摺も、力強い丸太梁にも
負けずしっかりとしていながら、すっきりと端正にデザインされていています。
壁の漆喰と古色に塗られた木部のコントラストも美しく、吹抜全体のバランス
が良くて、とても居心地のいい空間が創造されています。
この吹抜空間全体のディテールは、その棟梁が手がけたものです。
《 金毘羅神社完成 》
この度、赤穂八幡宮金毘羅神社の本殿が完成し、先行して完成して
いた拝殿と合わせて、昨夏より取り組んでいた再建工事全体が完了し、
無事に竣工を迎える事ができました。
拝殿の前面には、新たな玉垣も設置され、周囲も綺麗に整備されて、
境内は新たに生まれ変わった印象です。
本殿は、総檜(ひのき) の一間社流造 (いっけんしゃながれづくり) です。
力強くありながら、どこか優しく、端正な姿の社殿です。まだ生まれたての
本殿は、新鮮で瑞々しい木肌と、屋根の銅板の輝きが、神社にふさわしい
清々しさを醸し出しています。
本工事は、弊社が設計・施工で手がけたものです。
竣工の式典を終えた今、この先末永く、大いに地元の皆さんに親しまれ、
この地で長い歴史を刻んでもらいたいと期待しています。
《 テナント完成 》
この度、兵庫県姫路市内で、4階建マンションの1階部分に入居予定の、
あるテナントの工事が完成しました。
着工前は、壁や天井も、躯体の鉄筋コンクリートがむき出しで、ガランと
した、少しばかり薄暗い空間でしたが、新たに内装が施され、明るい照明
に照らし出されて、室内は短期間の内に、見違えるぐらいに変化しました。
これから、この場所で新たな営みが始まり、たくさんの人々が訪れる事を
思うと、竣工を迎えた充実感だけでなく、不思議にも何かしら期待感までも
感じます。
いつかは解体されるテナントですが、できるだけ長期に利用され、充分に
使命を果たしてもらいたいと願っています。
《 クリニック竣工 》
この度、岡山県備前市にて、1月の末から取り組んでいた診療施設の
新築工事が、無事に竣工を迎えました。
鉄骨造2階建で、切妻屋根のシンプルなデザインですが、ファサードの
大きな連窓や、ガラス屋根のエントランスがアクセントになっています。
最近の福祉や医療施設では、従来型の機能を重視した無機質な空間が
見直され、癒しの時代にあって、利用者にとって居心地のいい環境づくりが
求められており、それは結果として患者の病状回復、さらに不安やストレス
の緩和につながるものと考えられています。
今回の建築物も、周囲の自然環境に溶け込んだ、とても優しい色調で
外観がまとめられています。
《 BEFORE & AFTER 》
この度、地元地区の集会施設のリフォーム工事が竣工しました。
当施設は、もともと保育園として建設された木造平屋建の建物で、
立派なステージを備えたかつての遊戯室があり、そこは多目的室と
して、また各保育室も会議室として再利用される事になりました。
しばらく日常的に使用されていなかった事もあり、各部の老朽化が
進んでいましたが、フローリングや腰板を張替え、壁面や天井を塗装
して化粧直しをすると、すっかり生まれ変わりました。
着工時は、もう解体間際とも思える建物でしたが、今回のリフォーム
により、新たな活躍の場が与えられ、大いに利用されて地元の皆さん
に喜んでいただければ、建物にとって幸せな事なのかも知れません。
《 耐震改修 》
この度、昨年来取り組んでいた、兵庫県発注の県立相生高等学校体育館
の耐震改修工事が、無事に竣工を迎えました。
現行の耐震基準は、1981年 (昭和56年) に施行されたもので、それ以前の
建築物については、耐震改修促進法により、耐震診断を実施し、耐震補強を
行う事が求められています。
本体育館は、昭和53年に竣工したもので、今回の工事では耐震診断結果
に基づき、コンクリート柱の増打や、鉄骨プレースを増設して補強が行われ、
合わせて内外各部もリフォームされました。
耐震改修工事は、新築と異なり地味な工事ですが、近い将来発生が予想
される大地震による建物の倒壊を防ぎ、多くの人命を救う事を目的としており、
たいへん有意義なものであると言えます。
《 神社完成 》
夏から工事に取り組んでいた、赤穂八幡宮金毘羅神社の「拝殿」が、
年末に無事完成しました。
当初の計画通り、残存していた境内の雰囲気に、新建物を上手く溶け
込ませる事ができました。
正面屋根の下に見られる彫刻は、懸魚 (げぎょ) と呼ばれる妻飾りです。
それは、その名の通り屋根に魚を懸ける風習に由来し、水と縁を持つ事
から、火伏のまじない (火災防止) を意味するものです。
当拝殿の懸魚は、その形から「蕪懸魚 (かぶらげぎょ)」と呼ばれます。
ちなみに、実績紹介のコーナーで紹介している落地八幡神社の懸魚は、
「梅鉢懸魚 (うめばちげぎょ)」です。
これから現場は、いよいよ「本殿」に取り組みます。
《 虫籠窓 》
現在、弊社がリフォームを手がけている旧家の正面に、美しく立派な
「虫籠窓」 (むしこまど) があります。
格子に荒縄を巻き、漆喰などで塗りこめられた「虫籠窓」は、町屋の
外観のシンボルでもあり、特徴的なデザインのひとつです。
その名の由来は、「虫籠」に似ているとか、お米や酒を蒸す際の「蒸子」
に似ているからだとも言われ、その形や模様には様々なバリエーション
が見られます。
「虫籠窓」は、江戸中期には丸形であったものが、後期にはしだいに
横長丸形となり、明治・大正期には長方形へと変化しており、そこには
しっかりとした様式変遷の歴史あるそうです。
つまりそれは、建物の建築年代を知る重要な手がかりのひとつであり、
また、その建物にとって大切な履歴でもあると言えます。
リフォームに当たっては、単なる趣向でそのデザインを変更するなど、
歴史を刻んだ建物に対しては、軽率な行為は慎むべきかも知れません。
《 神社上棟 》
先日、以前このコーナーでご紹介した、赤穂八幡宮 「金毘羅神社」の
「拝殿」を無事に上棟する事ができました。
今般の再建計画の拝殿は、木造平屋瓦葺きで、後部本殿側に幣殿を
一部併設しており、拝殿部分は土間とし、天井は設けず、小屋裏を化粧
表しとしています。
拝殿土間の中央に立ち、上を見上げると、屋根をしっかりと支える、太く
て大きな虹梁 (化粧梁) が目に飛び込んできます。
美しく整形された虹梁は、堅固でありながら清楚な印象です。
年末にかけて造作を進め、年明けには本殿に取り掛かる予定です。
《 夏休み 》
8月末の約10日間、岡山県の美作大学で建築を学ぶ学生さんが
夏休みを利用して企業研修に来られました。
研修は授業の一環でしたが、特に内容については指定が無いとの
話でしたので、設計業務の補助作業を色々と手伝ってもらいました。
本人曰く、「建築模型製作が好きです...。」 との事、それならばと、
現在計画中の建物の模型を製作してもらう事になりました。
好きと言うだけあって、出来栄えはなかなかの物です。
当社の若手社員より、腕前は上かも知れません。
現在その模型は、設計打合せの場で大いに活躍中です。
《 神社再建 》
この度、弊社の設計施工で地元赤穂八幡宮の末社、「金毘羅神社」を
再建する事となり、地鎮祭がとり行なわれました。
今も玉垣、石段、灯篭等が残存する建設地には、大正七年頃に赤穂
東浜塩田より移築され、金毘羅神社と天神社が合祀された「塩釜神社」
が建っていました。
今回の計画は、残存する当時の延べ石や、土台石組を手がかりに
木造平屋瓦葺の拝殿と一間社流れ造りの本殿を再建するものです。
竣工は来年の春を予定しています。
( ※ 参考図はこちら )
《 古民家 》
先日、築120年の古民家を調査する機会がありました。
昔話にでも登場しそうな、とても趣のある茅葺屋根の民家でした。
残念ながら、屋根はトタン板ですっぽりと覆われていたのですが、
室内に入り、天井裏をのぞくと、茅葺独特の、開放的な空間が拡が
っていました。
そこに現れた小屋組は、「さす組」と呼ばれるもので、屋根の勾配に
合わせて丸太を組み、三角形の空間を形成する構造です。
養蚕の棚を、できるだけたくさん設置するため、この工法を用いて、高く
切立った屋根の下に、何層もの空間を造ったものが、皆さんよくご存知の、
あの「合掌造り」です。
雨仕舞や、積雪時の荷重に対応するための「急傾斜の屋根」、そして
そこに生じた屋根裏空間を、有効に利用する事を可能にした「さす組」、
深く知れば知るほど、民家がとても合理的に出来ている事に気づかされ
ます。 しかも、そこにある意匠は何とも魅力的です。
はしごの上から見えた薄暗い空間は、ちょっと神秘的な世界でした。
《 古本発見! 》
広島県のふくやま美術館で 「フランク・ロイド・ライトと武田五一」と
言うタイトルの建築展が開催されています。 (〜3月11日まで)
フランク・ロイド・ライト(1867-1959)は、日本にも多くの作品を残した
世界的に有名なアメリカ人建築家です。一方、武田五一(1872-1938)
は福山市出身の建築家で、関西を中心に活躍し、現在の京都大学
の工学部建築学科の創設者でもあります。
本展は日本での二人の親交をテーマとした企画展です。
さて、会場の武田五一コーナーで、「住宅建築要義」という五一氏の
著書がガラスケースの中に展示されているのを見て、何気に見覚えの
ある本だと思っていたのですが、なんと当社の設計室の書棚の奥から
同じものが出て来ました。
最終ページに、「大正十五年八月二十日印刷」、「定價金七圓五十錢」
と印刷されています。
もしかして、たいへん貴重な古本なのかも...??
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