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     関守石(せきもりいし)


 茶室への道すがらの庭を、「茶庭」と呼びます。

 別名 「露地」とも呼ばれる茶庭は、「日常の現実世界から
茶の湯の世界へ浸るための序章であり、そこに創造される
山里の庵の風情は、まさに市中の山居...。」 などと表現
されています。

 その露地を進むと、飛石の上に棕櫚縄(しゅろなわ)で
十文字に結ばれた丸味のある石が、何気なく、ぽつんと
置かれている事があります。


  これは、関守石(せきもりいし)と呼ばれているもので、ここから先には入らないで欲しいという、
 亭主の気持ちを表す標識であり、飛石がいく筋にも分かれている場合は、その石が行先案内の
 役目も果たすそうです。

  その約束事を知らない客の中には、「誰かがつまづくと大変!」 と、親切心で片付けてしまう
 人や、「今日の茶会のお土産なのかな?」 と勘違いする人もいるかも知れません。


  どんな世界にも様々なルールがあるもので、茶道にこそ及びませんが、例えば木造建築の
 世界にも、たくさんの決まり事があります。

  建築基準法のように、文章にこそ規定はされていませんが、造作材の「木材種の取合せ」 や、
 「木割り」 と呼ばれる部材の割付寸法、「祝儀・不祝儀の納め方」 など、伝統的に受け継がれて
 いる、「作法」 とも言えるルールが存在します。


  昨今、住宅雑誌や街中で、オリジナリティ溢れる設計の建物を数多く目にしますが、中には
 首を傾げてしまうものもあります。 自由な発想で、個性を発揮することは素晴らしい事ですが、
 やはり、基本とすべき「作法」は、蔑ろ(ないがしろ)にはできないはずです。それが欠ける建物
 には、何か納得できない「味気なさ」 さえ感じます。


  何事においても、万人に感動を与えるオリジナリティは、基本が丹念に積み重ねられた、
 しっかりとした土台に支えられてこそ、卓越した魅力が発揮されるのかも知れません。


  お土産に関守石を持ち帰らぬ様、気を付けたいものです。



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