リアルな話
植物や古い建物など、腰を据えじっくりスケッチすると、
一見だけではわからない豊富な色彩や、繊細な形に
改めて驚かされる事があります。
ふだんよく知っているはずの近所の路地や、毎日の
通勤途中に目にする道端の風景にも、車や自転車
を降りてゆっくり歩いてみれば、今まで気づいていない
新しい発見がたくさんあふれているものです。
赤穂市を流れる千種川の河口付近には、三つの大きな橋が架かっています。
最も上流の最も古い「赤穂大橋」のたもとには弓張提灯(ゆみはりちょうちん)の形をした街灯が
あります。橋の風情にも溶け込んで、歴史の街をイメージさせるとてもいいデザインです。
最も下流の、最も新しい「海浜大橋」の街灯は、よく見ると
羽ばたくカモメの姿に見えます。
等間隔に並んだ街灯が、車で橋に近づくにつれ、運転席
からは橋のむくりに合わせて飛んでいるカモメの群れの様
にも見えてきます。
目をこらして、街のあちこちにころがる様々なデザインを拾い集めるのも楽しいかも知れません。
ところで、橋の設計者も予想外だと思いますが、先ほどの街灯の上では時々本物のカモメが
羽根を休めるので、ちょうどおしりの辺りから本物のフンが落ちて来る事があります。
良いか悪いかは別にして、なんともリアルな話です。
Copyright (c) 2007,Seki Koumuten