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     ストラディバリウス




 ヴァイオリンの銘器に、「ストラディバリウス」と呼ばれる
楽器があります。17世紀から18世紀にかけて、イタリアの
クレモナで製作された楽器で、その名は製作者に由来し、
特に優れたものには固有の通称も付けられています。

 現在は、世界中に約600本の存在が確認されており、
そのうち日本国内には約50本があると言われています。
中でも、「デュランティ」や「ドルフィン」など、名の付いた
 楽器は、演奏しているヴァイオリニストと共に、愛好家によく知られています。



  その演奏会では、優れた職人技から生まれた楽器に、300年の歴史の重みや、深い
 味わいが加わり、独特の優美な音色で、現代の私たちに大きな感動を与えています。

  しかし、そんなストラディバリウスも、楽器であるが故に、ただの美術品として飾られ
 ているだけでは、その能力が封じ込められてしまうそうです。長い間、コレクターのもと
 ショーケースの中で眠りについていた楽器は、プロの演奏家に弾きこまれても、本来の
 音色を取り戻すには、数年を要すると言われています。


  なんとも高尚で奥深い話ですが、身近な私たちの「住まい」にも、よく似通ったところが
 ある様に感じます。
  
  ストラディバリウスには及ばないものの、日本には木造ながら、築100〜200年の歴史を
 刻んだ魅力的な古民家がたくさん現存しており、その多くが現役です。

  堅牢な梁組や、素材の特徴を巧みに生かした造作、地元の風土に培われた伝統の
 技を駆使し、職人が手間ひまを惜しまず創りあげた建物を、家人が実生活を通して、
 代々大切に守り受け継いだ結果として、それらは強くてやさしい、魅力あふれる建物に
 なっているのかも知れません。



  昨今は地球環境問題が大きく取り上げられ、「いいものを創り、きちんと手入れを施し、
 長く大切に使用する」、ストック型社会への転換が求められています。

  現在の住まいの寿命は30年程度と言われ、造っては壊す、使い捨ての状態だとも言われ
 ています。そんな中、耐震性や耐久性を高め、長期使用に対応するための可変性やメンテ
 ナンスの性能を重視した「200年住宅」などが提唱されています。


  将来を見据えて、現存するすばらしい古民家や、今日も魅力ある音色を奏でる古楽器の
 歴史には、学ぶべき事がたくさんありそうです。



  とは言え、現実に目を向けると、個人レベルではそんな理想的な長寿命住宅の実現には、
 悲しいかな、やはり先立つものに限界を感じる事もいなめません。

  オーケストラには、ヴァイオリンを筆頭に、艶やかな「弦楽」が欠かせませんが、
 住まいにおいては、ささやかでも「減額」が必要で、それもまたネックです...。




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