会社案内


     



 日本の伝統的な建築材料の中でも、「畳」は瓦や漆喰
などと異なり他国には例が見られず、わが国オリジナル
の建材として発達を遂げたもので、「生粋の日本育ち」と
言えます。

 その歴史は奈良時代にまでさかのぼり、「御床畳」
 (ごしょうのたたみ)と呼ばれる、ゴザの様なものを数枚重ねたものが最古とされ、
 それは今でも奈良東大寺の正倉院に保管されているそうです。

  時代が進み鎌倉時代になると、それまで権力者の座具として必要な場所のみに置かれて
 いた畳が、書院造の発展と共に室内全体に敷かれる様になり、その後、江戸時代中頃から
 明治にかけてようやく一般社会に普及したと言われています。


  さて、そんな歴史ある畳の構造ですが、「畳床」(たたみどこ) と呼ばれる心材の部分には、
 乾燥させた30kgを超える「稲わら」が使用されており、約40cmの高さにまで積み上げられた
 ものが、5pの厚さにまで圧縮されているそうです。また、その畳床を包む表面材は、「畳表」
 (たたみおもて) と呼ばれ、そこに規則正しく織り込まれている「い草」の総数は、一畳につき
 約5000本近くに及ぶそうです。

  こうして見れば、畳はまさしく自然素材そのものであると言え、その特性による優れた性能や
 効能が知られています。

  例えば、畳は素材の持つ吸放湿性により、室内の湿度を調節する機能があり、畳一枚には
 約500ccの水分を吸収する能力があると言われています。また、そこに保有する空気層により
 優れた断熱性や弾力性、そして吸音性までも発揮します。さらには、「畳表」に用いられている
 「い草」には空気中の二酸化炭素や二酸化窒素を吸着する機能があり、室内の空気浄化にも
 役立っています。


  生活様式の洋風化にすっかり慣れ親しんでいる現代にあっても、私たち日本人が和室に
 身を置いた時、何かしら安らぎや懐かしさを感じ、心身ともにリラックスする事ができるのは、
 長い伝統を持ち合わせ、機能にも優れた「畳」が大きく影響していると言えそうです。

  足裏に感じる優しい感触、心なごむ「い草」の香り、繊細で端正な畳目や直線的に敷き詰め
 られた畳の整然とした様子など、畳の空間には多くの魅力が溢れています。

  和室に入ると、不思議と心の落ち着きを覚え、凛(りん)としたものを感じるのは、その機能の
 すばらしさだけでなく、私たち自身が畳に対する何か特別な遺伝子を古来より受け継いでいて、
 日本人には、それが作用する共通の感覚が存在するのかも知れません。


  慣れ親しみが強く、普段は少しも気に留めないものの、実はしっかりと私たちの生活を
 支えている事を思えば、「畳」はまさに、さりげなく奥ゆかしい「和の文化」を代表するもの
 だと言えます。

  たまには、和室に座して心を穏やかにし、足もとの畳を「景色」としてのんびり鑑賞すれば、
 そのすばらしさを改めて再認識できるかも知れません。

  「稲わら」や「い草」の、多様な効能による 草上効果(そうじょうこうか) も相まって、そこに広がる 畳感(じょうかん)
  豊かな 畳景(じょうけい) は、まさしく畳のいい (とこ) です。



戻る


Copyright (c) 2007,Seki Koumuten