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抗癌剤の実態

イラスト2 (この文書は、2012年10月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

癌の治療レベルは格段の進歩をとげており、モノクロナール抗体や重粒子線など、昭和時代では夢でしかなかった技術が治療に使われています。

抗癌剤の種類も増え、有効率も大きく上昇しています。

進歩を目の前で見ている医療従事者は、「昔とは違う優れた薬」という思いがあり、患者や家族に対する説明でも、優れた点を強調する傾向があります。

しかし、患者や家族を含めた一般人と、医療従事者が抱く「優れた」には大きな差があります。

鎮痛剤のような薬の場合では、対象とする疾患によって若干の違いがありますが、おおよそ有効率80%・副作用発現率20%程度が標準的だと思います。

「優れた」という称号は、それよりも有効率が高い薬や、副作用発現率が低い薬に対して付けられます。

ところが抗癌剤では、有効率30%・副作用発現率50%でも「優れた」と称されます。

有効率の計算には、現状維持であっても進行を抑制したとして有効にカウントすることがあり、一般にイメージする有効率=治癒率ではありません。

また、副作用が強くて継続使用できなかった症例は、脱落例として計算に入れていない場合もあります。

どれほど優れた抗癌剤でも、治癒率は50%に大きく届きません

医薬品を正しく使用したけれども副作用によって健康被害が発生した場合は、医薬品副作用被害救済制度によって補償を受けることができます。

しかし、抗癌剤に関しては、この救済制度の対象外とされています。

癌細胞は、増殖に歯止めがきかなくなった細胞で、元は自分の細胞です。

癌細胞と正常細胞に大きな違いがあれば、そこを攻撃することで、正常細胞にダメージを与えずに癌細胞だけを撃退することができるかもしれません。

しかし、両者は兄弟のようなもので非常に似ており、最大の違いは増殖のスピードです。

抗癌剤の多くは、細胞増殖に必要な成分や機能を阻害するもので、増殖のスピードが速い細胞ほど大きなダメージを与えます。

最大の違いをターゲットにしているわけですが、正常細胞であっても増殖しますので、影響が皆無であるはずがありません。

正常細胞の中でも増殖が活発な毛髪や骨髄は特に影響を受けやすく、抗癌剤の使用で脱毛や貧血が起こるのはこのためです。

逆の見方をすれば、正常細胞に影響がない程度であれば、癌細胞にもダメージがないと考えられます。

つまり、抗癌剤は、最初から副作用を覚悟して使う薬なのです。

手術ができない部位や広範囲で癌が見つかった場合、望みを託して、抗癌剤治療を選択する人が少なくないと思います。

しかし、治癒は思っているよりもはるかに少なく、副作用は思っているよりもはるかに多いです。

抗癌剤によって寿命を縮めてしまう場合もあり、使用しなかった方が良かったと思う事例も相当に多いのが現実です。

使用するかしないかは本人や家族の選択ですが、十分に考えてから決断してください。


私が癌になった場合の考えを紹介しておきます。

切除可能な部位で転移がない段階であれば手術を選択します。

それが不可能な場合、モノクロナール抗体などの分子標的薬が適応となるのであれば、単味で使用します。

分子標的薬は、癌細胞と正常細胞の小さな違いを攻撃する薬で、細胞増殖を阻害する抗癌剤よりも格段に副作用が少ない薬です。

ただし、特定の遺伝子が変異している等の限定した場合にしか効果がありませんので、適応にならない可能性の方が高いでしょう。

また、多くの分子標的薬は、従来の抗癌剤と併用することが使用条件に入っていることが多く、単味での使用は難しいかもしれません。

もしも併用が必要であれば、使用はしません。

性ホルモン依存性の腫瘍である場合は、抗ホルモン剤を使用します。

男性では前立腺癌、女性では乳癌や子宮癌で、男性ホルモンや女性ホルモンが癌細胞の増殖に影響しており、その作用を阻害する薬で進行を遅らせることが期待できます。

治癒させることは不可能であり、副作用も少なからずありますが、細胞増殖を抑制する抗癌剤に比べればはるかに少ない負担です。

最近話題となっている免疫療法薬は、適応であったとしても使用しないと思います。

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