イラスト1

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想定外の副作用

イラスト2 (この文書は、2012年7月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

血圧降下剤で咳

ACE阻害薬と呼ばれる血圧降下剤は、腎臓から分泌されて血圧を上げる物質の作用を抑え、穏やかに血圧を下げます。

血管を拡げたり心臓の機能を抑制しないために、副作用の少ない薬として登場しました。

ところが、大規模な症例調査によりまして、服用者に空咳を訴える人が多いことが判明しました。

最初は薬との関係が不明だったのですが、炎症に関係するブラジキニンという物質の分解を抑制する作用もあることが判明し、この薬の作用だと解明されました。

肺そのものの炎症で起こっているわけではありませんので、強くはありませんが乾いた咳が続きます。

医師や薬剤師には認知された副作用ですが、一般の人には血圧の薬で咳が出るとは連想しにくいため、風邪だと勘違いする人が多いようです。

風邪薬に配合されている咳止め成分は、一時的ですが原因に関係なく咳を止めるため、効いたように思ってしまう場合もあります。

もちろん、原因が別ですので、咳止め成分の効果が切れれば、咳がぶり返します。

発現は100人中数人という程度で、全ての人に起こる症状ではありません。

運悪く該当した人は、薬の種類を変更する必要があります。

最近の日本では、同様の作用で血圧を下げるけれどもブラジキニンの分解を阻害しないAⅡ阻害薬を使用するケースが多く、高血圧の治療にACE阻害薬が使われる頻度は減りました。

しかし、外国での主流はAⅡ阻害薬よりもACE阻害薬であり、血圧を下げる目的ではなく腎臓を保護する目的で使用されるケースもあります。

血管拡張剤で胸焼け・歯茎の腫れ

カルシウム拮抗薬は血管を拡げる作用を持ち、血圧降下と心臓の負担軽減を目的として、高血圧症や心臓疾患に多く使われています。

血管を拡げることで想定される副作用は、ほてり・めまい・頭痛などで、実際に数%の発現率が報告されています。

また、胃もたれや胃痛は、多くの薬で出現する副作用ですが、この薬には胸焼けという特異な報告があります。

この薬に胃下部の動きを抑える作用があり、胃液が順調に腸へ送られないことによって、逆流性食道炎に似た症状を引き起こすと考えられています。

若い人は噴門部(食道と胃の境界)の筋肉が強いので、胃酸が食道に逆流することは少ないようですが、筋力が低下する高齢者ではかなりの頻度で起こります。

血圧や心臓の治療を優先しているためか、この副作用を重視する医師は少なく、多くのケースで胃酸の分泌を抑える薬を追加して済ませています。

服用者自身も胃が悪いと思っていることが多く、薬の影響を想定する人は非常に稀です。

もっと連想しにくい副作用として、歯茎の腫れがあります。

明確な原因は不明で、歯茎そのものに問題がないため、歯医者を受診しても異常なしと診断されます。

もちろん、薬を中止すれば回復します。

湿布で強い日焼け

貼り薬や塗り薬でかぶれたという人は少なくないでしょう。

使用した部位が赤くなったり痒くなることは10人に1人くらいの率であり、ある程度は想定できる副作用です。

しかし、ケトプロフェンやインドメタシンなどの消炎鎮痛成分を含む貼り薬や塗り薬では、非常に強い皮膚症状が出る場合があります。

日光過敏症と呼ばれる副作用で、紫外線に過敏となることで起こります。

使用した部位だけではなく全身に起こる場合もあり、時として入院治療が必要となるケースもあります。

また、使用をやめて1カ月後に発症したケースも報告されています。

薬の使用中や使った同一部位であれば気付きやすいのですが、関連を想定できない時期や部位で発症することも少なくありません。

発現率は1万人中に数人と報告されていますが、程度が軽くて気付いていない例も相当にあると思われます。

化粧品に含まれている紫外線防止剤と関連があるとされていますので、今までに化粧品や日焼け防止剤でかぶれた経験がある人は要注意です。

胃薬で貧血

昔は手術の適応であった胃潰瘍ですが、今では内服薬で治せるようになりました。

これは、胃酸の分泌を強力に抑制するH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬のおかげです。

胃酸は胃潰瘍の増悪因子であるのですが、鉄やカルシウムなどのミネラルの吸収に必要な物質でもあります。

長期間にわたって胃酸分泌を強力に抑える薬を服用していると、ミネラルの吸収が順調にできず、貧血や骨粗鬆症などを起こす可能性があります。

胃潰瘍や胃炎の治療では、症状が強い段階には胃酸分泌の抑制を主体にしますが、回復に伴って胃粘膜の保護・増強を主体にした薬に変更するのが一般的です。

しかし、患者さんが希望するためか、漫然と強い胃酸分泌抑制剤が処方されているケースも少なくありません。

抗うつ薬でギャンブル狂

脳が幸せを感じるにはセロトニンという物質の量が関係しています。

現在、うつ病治療の主流となっている薬は、このセロトニンの作用を強める種類で、一昔前の薬よりも格段に優れた効果があります。

しかし、頻度は非常に少ないのですが、この種の薬を服用している人が、それまで興味を示さなかったにも関わらず、異常にギャンブルが好きになり、破産にまで至ったケースが報告されています。

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