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セルフメディケーション税制

イラスト2 (この文書は、2016年11月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

新しい医療費控除

セルフメディケーション税制とは、2017年の1月から施行される医療費控除の一種です。

従来の医療費控除については、ご存知の人も多いと思いますが、違いを知るために簡単に紹介します。

年間に支払った医療費の総額をA、保険一時金や高額医療の還付などで受け取った金額をBとすると、医療費控除対象額=A-B-10万円です。

Bが0であったとしても、Aが10万円以下であれば、控除は受けられないわけです。

(上限は200万円。式末尾の10万円は、課税所得が200万円未満の場合では5%の額です)

対象となる医療費は、医療機関で支払った費用(差額ベット代は対象外)・介護保険の自己負担分・治療のための薬代や鍼灸の費用・通院に要した交通費(自家用車のガソリン代や駐車料金は対象外)等です。

人間ドックや予防接種などは、治療目的ではないために対象とはなりません。

ただし、出産のための入院費用は、治療目的ではありませんが、対象となります。

生計を同じくする者の支出は合算できますが、大病や事故がない家庭において10万円はかなり高いハードルです。

セルフメディケーション税制は、市販薬のみを対象とした控除制度で、指定された成分を含む薬を年間で12000円以上購入した場合に受けられます。

控除対象額=年間購入額ー12000円で、上限は88000円です。

大幅にハードルが下がったことで、高額な医療費を支出していない人でも、控除を受けられる可能性があります。

ただし、健康の自己管理を行っている人を対象としており、申告には健康診断あるいは予防接種などを受けた証明を添付する必要があります。

さらに、最初に述べた、従来の医療費控除と併用ができません。

入院や手術などで医療費が高額になった場合は、従来の医療費控除で申告すべきですが、年間の医療費が少額の人には、セルフメディケーション税制が選択肢になると思います。

注意していただきたいのは、従来の医療費控除は治療目的であればどの医薬品でも対象となりましたが、セルフメディケーション税制の対象となる医薬品は特定成分を含むものだけです。

現在、1500品目程度が対象品にリストアップされており、成分名および品名は国税庁のホームページで確認できます。

控除とは、課税所得から減額する制度ですから、上の式で計算した対象額が戻るわけではありません。

還付されるのは、所得税や住民税の算定に使用される所得税率(5~45%)を掛けた額です。

例えば、控除対象額が5万円で所得税率が10%であれば、5000円が還付されることになります。

所得税や住民税を納付していない人は、戻すべき元の税金がありませんので、高額の医療費支出があっても還付されません。

対象となる医薬品

医療用で使用されていた成分を市販用でも使用できるようにした、スイッチOTC薬が対象です。

鼻炎などのアレルギーに使用する成分が多く、アレグラFXなどの最近に発売された薬は、点眼・点鼻薬を含めて、大部分が該当します。

水虫薬の大部分が対象で、膣カンジダ治療薬も成分が同じなので該当します。

鎮痛解熱の成分では、昔からあるアスピリン(バファリン等)やアセトアミノフェン(セデス等)は対象ではありませんが、イブプロフェン(イブA等)やインドメタシン(バンテリン等)以後に登場した成分は全て対象になっています。

イブプロフェンは痛み止めだけではなく、風邪薬に配合しているものもあり、両方とも対象です。

また、内服薬だけでなく、湿布や塗り薬などの外用薬でも、該当する成分を含むものは対象になります。

胃腸系の薬では、胃酸の出過ぎを抑えるガスター10などのH2ブロッカー、あれた胃粘膜を修復する成分、胃腸の動きを調整する成分が該当します。

ただし、同じような成分でも該当していないものがあり、若干の不統一感があります。

かぶれなどに塗る薬では、ヒドロコルチゾン酪酸エステル・プレドニゾロン吉草酸エステルやウフェナマートが該当成分です。

口内炎治療のトリアムシノロンアセトニドや、ヘルペス治療のアシクロビル・ビダラビンも該当成分ですが、これらは素人判断で使用する薬ではありませんので、薬剤師に相談した上で選択してください。

ニコチンのパッチやガムも対象となっており、禁煙を目指す人にはありがたいことだと思います。

中性脂肪やコレステロールを下げるイコサペント酸エチルやソイステロールも該当成分です。

これらは高価な品ですので、継続する場合は、十分に控除の対象になります。

賢い選択を

全体的に見れば、対象成分を含む薬は、旧来品よりも効果や安全性に優れていると言えます。

しかし、旧来品よりも定価が高めに設定されているものが多く、無条件に推奨できません。

購入額や所得税率でかなり違いますが、セルフメディケーション税制での減税率は10~20%です。

これ以上の価格差がある場合は、無理に該当品を選択する金銭的なメリットはありません。

もちろん、効果・安全性・使用感などで勝る要因があれば別です。

また、新成分がご自分の体に適していない場合も考えられますので、薬剤師のアドバイスを参考にして賢い選択をしてください。

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