イラスト1

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花粉症治療のアレコレ

イラスト2 (この文書は、2017年2月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

巷では様々な花粉症の治療法が流布されています。

主だったものについて、効果や問題点をできるだけ客観的に紹介します。

甜茶

昔から使われているバラ科植物の健康茶です。

含有されているポリフェノールが効くとされていますが、効果確認試験の報告では、効いた14%・効かなかった51%・不明35%という結果だったそうです。

何を基準にして判定したのかは詳しく説明されておらず、おそらく使用者の主観で算定した数字だと思われます。

お茶なのに7人に1人には効いたと思うか、評判の割には7人に1人しか効かなかったと思うかで評価の分かれる品です。

バラ科ではなくユキノシタ科やアカネ科などを原料としている品もあるようで、これらの効果は更に劣るとされています。

健康食品の一種ですから、補助的に服用することはありかもしれませんが、治療効果を期待して使用するには無理があるようです。

また、東洋医学では、花粉症は水分代謝の不調が主因とされていますので、余分な水分を摂取することで症状を悪化させる可能性にも留意する必要はあります。

L-92乳酸菌(ヨーグルト)

腸の機能と免疫機能には相関があり、腸内の善玉菌を増やすヨーグルトは、花粉症症状の軽減に有益な食品と言われています。

細菌話題となっているL-92乳酸菌は、アレルギーに関係する体内物質に作用することが確認されています。

症状緩和の効果も確認されており、開始前まで服用していた抗アレルギー薬を減らしたり、弱い種類に変更できた人も少なくありません。

ただ、薬を全く不要にできる程の効果ではないようです。

また、効果発現までに8週間近くかかり、体質改善をしているわけではありませんので、花粉時期だけの使用では元に戻ります。

症状の有無に関係なく、良い腸内環境が定着するほどの期間継続すれば、効果がアップする可能性はあります。

さらに、原理的には、花粉症以外のアレルギー疾患にも効果が期待できます。

悪い作用はほとんどありませんので、数年後を目標に症状を軽減したい人には良い品かもしれません。

ただし、あくまでも健康食品ですので、薬のような効果を期待してはいけません。

バナナ

バナナも毎日食べていると、ヨーグルトと同程度の予防効果が確認されています。

ただし、バナナにはヒスチジンという成分が多く含有されており、ヒスチジンは体内でヒスタミンに変換されます。

ヒスタミンは炎症症状に深く関係する物質であるため、アレルギー症状が強い時に食べ始めると、症状を更に強くする場合があります。

食ベるのであれば、症状が出ていない時期に開始して、毎日継続することが重要です。

ちなみに、バナナ以外で症状の軽減に多少とも有効とされる食品は、レンコン・シソ・タマネギ・きくらげ・フキ・ワサビなどです。

もちろん、これらは食べないよりは少しましという程度の効果でしかありません。

シダトレン

花粉症の根本治療法として、減感作療法があります。

原因となる物質を少しずつ投与していくことで、免疫の異物としての認識を消していく治療法です。

数年前までは針で皮下投与するしかなかったのですが、3年前にスギアレルゲンを舌下投与するシダトレンという医薬品が登場して扱いやすくなりました。

とは言いましても、アレルギー原因物質を投与するために、不快な症状を我慢する必要がありますし、量を間違えると非常に苦しむ可能性もあります。

体を徐々に慣らしていくわけですから、年間をとおして継続する必要があり、効果を実感できるまでには3~5年もかかります。

しかも、有効率は6割程度と報告されており、労多くして効果がないという結果もありえます。

もちろん、スギ以外の花粉に対しては効果がありません。

アレルギーの原因がスギ花粉に限定され、他の対応方法では我慢ができない程に症状が強い人の選択肢だと思います。

ステロイド筋注

以前から、半月程症状が出なくなる注射があると噂されていた療法です。

強力な免疫抑制効果があるステロイドホルモンを筋肉内に注射し、効果を持続させるようにしたものです。

ステロイドには好悪両面があり、長期間暴露されると骨粗鬆症・高血糖・筋委縮などの悪影響があるために。厚生労働省や日本医師会は望ましくない療法としています。

保険適応がない方法なので自費扱いで、数百円の薬を一万円くらいの値段を付けて注射している医院があります。

様々な意味でお勧めはできません。

体質改善(漢方)

東洋医学では、水分代謝の不調による水滞と、自律神経の乱れが花粉症誘発の二大要因とされています。

生まれつき花粉症という人はいないので、ある時に水や気のバランスが崩れて発症したわけです。

漢方では、この崩れを元に戻すことで治療しようとします。

崩れの状態が固定化していない段階であれば治癒率は良いのですが、長期間になると固定化が進んで治癒率は低下します。

経験から、発症後5年を過ぎたあたりで治癒率は大きく低下するようです。

体質によって適合する処方が違いますので、選定によって効果の良し悪しが分かれます。

発症してから間もない人は、試す価値があると思います。

クリプトシアニン

本来無害であるものを、免疫が悪者として認識してしまうことでアレルギーは起こります。

この認識に関係する細胞がマクロファージで、クリプトシアニンはマクロファージの正常化に作用する薬です。

つまり、アレルギー発症の根本部分を修復するわけで、花粉症に限らずリウマチなどの全アレルギー疾患にも効果が期待できます。

欠点としては、それほど作用が強くありませんので、効果発現に時間がかかることです。

(認可されている適応症は、急性化膿性疾患・末梢神経性疾患・急性湿疹・慢性湿疹・一般創傷・熱傷・凍傷・汗疱性白癬ですから、花粉症は適応外使用になります)

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