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薬膳の基礎

(この文書は、2017年7月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

医食同源

この言葉を聞いたことがある人は多いと思います。

中華料理(特に宮廷料理)には陰陽五行の考えが生かされており、食を通して体調改善や病気の予防をします。

陰陽五行は漢方薬の基本となる理論で、薬(医)と食が同じ理論で構築されているわけです。

漢方薬は食間に服用することが通例ですが、食に生かされている陰陽五行を邪魔しないようにという配慮からそうなっています。

日本でも中華料理は食べますが、好みで選択する場合が大部分で、陰陽五行を考慮して選択しないと薬膳としての意味はありません。

また、和食においても、陰陽五行に基づいた食材の選択や味付けをすれば薬膳になります。

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陰陽五行とは

漢方では、臓器・感情・味などの健康に関係しているものを5種に分類します。

臓器には中が詰まった臓と、中空状態の腑があり、臓を陰・腑を陽とすることから陰陽五行と言います。

上表が一部を抜粋したもので、縦に並んだものが同一グループで、深い関連があります。

例えば、右列の腎は耳・骨・髪と同じグループで、漢方での老化は腎の虚弱とされており、腎虚から耳が遠くなる・骨が脆くなる・髪が抜けるなどの症状を誘発します。

右2列目はアレルギーに関係の深い臓器が並んでいます。

アトピー性皮膚炎のある人が花粉症や気管支喘息を起こしやすいのは、皮毛・鼻・肺が同じグループだからです。

陰陽五行を生かすためには、グループ内の関係だけでなく、グループ間の援助・抑制の関係を知ることも大切です。

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五角形の図にある実線の→は助ける関係で、破線の→は抑える関係を示しています。

心が弱っている時は、心を刺激するだけではなく肝の援助も受けると更に効果的です。

脾が亢進し過ぎている時は、直接の阻害は悪影響もありますので、肝を刺激することで二次的に抑制します。

漢方薬にはこれらの理論を元に構築されており、副作用が少ないという特徴は、直接的な作用だけでなく間接的な作用も活用していることが関係しています。

食事に生かす

食材もそれぞれが持つ性質によって陰陽五行で分類されます。

代表的なものを列記しますので、参考にしてください。

なお、食材には寒冷と温熱という区分もあり、消炎や鎮静をさせたい場合には寒冷・温めたり機能を高めたい場合には温熱の食材が適しています。

生の食材が冷で火を加えた食材が温と考えている人が多いようですが、火入れの有無で変化する性質ではありませんので、誤解しないでください。

(温)(平)(冷)で区分して記載します。(平は温でも冷でもないものです)

(温)桃・キンカン・鰤
(平)レモン・リンゴ・梅・枇杷
(冷)トマト・ミカン
(温)ウド・フキ
(平)春菊・銀杏
(冷)レタス・クワイ・ミョウガ
(温)南瓜・鯵・鮪・鮭・海老・牛肉・鶏肉・米・サクランボ
(平)キャベツ・蓮根・トウモロコシ・鰹・鰈・鰻・鯛・卵・蕎麦・椎茸・牛乳・胡麻・豆・ジャガイモ・サツマイモ・山芋
(冷)ホウレン草・白菜・牛蒡・胡瓜・茄子・筍・セロリ・バナナ・西瓜・柿・小麦・鱧・牡蠣・コンニャク・豆腐
(温)人参・紫蘇・パセリ・ネギ・玉葱・大蒜・生姜・唐辛子・山椒・胡椒
(平)里芋
(冷)大根
(温)栗
(平)アワビ・クラゲ
(冷)アサリ・蜆・蛤・昆布・ヒジキ・海苔・蟹・大麦

味は上表にありますように、酸味は肝・苦味は心・甘味は脾・辛味は肺・塩味は腎を刺激します。

味付けは濃くする必要はなく、わずかに感じられる程度で十分です。

まずは、自分の体調を陰陽五行に当てはめて癒すべきグループを見つけます。

次に、機能を高めたいのか抑えたいのかによって、五行の相関図から刺激する部位を決めます。

最後に、その部位に属する食材と味付けによって調理します。(抑える関係にあるグループの食材と味を控えると更に効果的です)

これだけで薬膳料理になります。

全ての料理を合致させることは大変ですし、厳格に過ぎるとメニューが偏ってしまいます。

まずは1日1品だけでも作ってみてください。

陰陽五行を少しでも意識していれば、健康管理に役立つと思います。

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