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医薬品副作用被害救済制度とは

イラスト2 (この文書は、2016年2月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

どのような制度?

名前が示すとおり、医薬品によって副作用が発生した場合に、その治療に要した費用や後遺障害を補償する制度です。

製薬会社の拠出金と国の補助金で費用をまかない、医薬品医療機器総合機構という行政法人が運営をしています。

なぜこのような制度が存在するかと言えば、現代医学はまだ人体の仕組みを完全に解明できていないからです。

個体差などを含む未知の部分がある限り、細心の注意を払って薬を使用しても、予想できない副作用が発生する可能性があります。

このような不測の事態を補償するために創られた制度ですが、あまり一般に認知されていません。

適応となる場合、ならない場合

副作用と言いましても、食欲不振などの一時的な不調程度では救済対象となりません。

入院を要したり、死亡や障害が残るレベルが対象です。

適応に絶対必要な条件は、薬が使用される過程のどこにもミスがないことです。

異物混入などの製造段階でのミスによる場合は、製造物責任法によって製薬会社が補償義務を負います。

医師や歯科医師が薬の選択を間違えた場合や、薬剤師が調剤ミスをしたり使用方法を誤って伝えたことで発生した副作用では、そのミスを犯した者が責任を負います。

指示された使用方法と違う使い方をした場合は、使用者にミスがあるので対象外です。

小児用の薬を大人が使用した場合や、指定された量よりも多めに使用した場合も、適応外の使用ですから対象になりません。

ミスとは別に、副作用の発生をある程度覚悟して使用する抗癌剤や免疫抑制剤では、最初から適応除外とされています。

これらの薬を使用する場合は、患者に了承を得ることが必要とされていますが、不安をあおるという思いから十分な説明をしない医師もいるようです。

また、救命のためにやむを得ず過量に使用したことで起こった副作用は、適応除外です。

予防接種の場合は少し複雑で、インフルエンザワクチンなどの任意接種は適応となりますが、はしかなどの定期接種では予防接種健康被害救済制度という別の制度の対象です。

輸血などの血液製剤による場合も、生物由来製品感染等被害救済制度という他の補償制度で対応します。

似たような制度がいくつもあってややこしいです。

それぞれで拠出する先や負担率が違うためですが、事務的に統一できそうにも思います。

重要な制度なのですが、お役人が考えればこうなるんだろうなと思う点も少なくありません

市販の薬でも適応されます

抗癌剤などの適応除外の薬を除いて、医薬品に分類されているものであれば医療用でも一般用でも対象になります。(動物用医薬品はさすがに対象外です)

ご注意いただきたいのは、度重なる区分変更で、指定医薬部外品・特定保健用食品・栄養機能食品・機能性表示食品という紛らわしい分類や、これらの指定すらない健康食品が混在しています。

当然ながら、これらは制度の対象とはなりません。

価格が高い・安いや、新聞やテレビで広告しているなどとは関係なく、医薬品の指定を受けていることが重要です。

コマーシャルでよく見かけるクロレラやグルコサミンは、医薬品に似ていますが健康食品ですので適応外です。

請求の手順

医薬品による副作用を見つけた医師や薬剤師などの医療関係者は、その報告を義務付けられています。

しかし、この制度における給付請求は、医療関係者からの報告によって自動的に処理されるわけではありません。

健康被害を受けた本人またはその遺族が、医薬品医療機器総合機構に請求を行う必要があります。

指定された請求書の他に、医師の診断書・投薬証明書や受診証明書・医療費請求書などの添付が必要です。

給付請求をすれば全て認められるわけではなく、厚生労働大臣の諮問機関である薬事・食品衛生審議会で協議され、医薬品が原因であると判定される必要があります。

1種の薬のみを使用していた場合は比較的簡単ですが、複数の薬を併用していた場合や、複数の治療を受けていた場合などは原因特定が難しく、認定されない場合もあります。

障害に対する給付には請求期限がありませんが、治療の場合は2年以内・死亡の場合は5年以内という請求期限があります。

いずれの場合でも、時間の経過とともに因果関係が不明瞭になる可能性がありますので、早い時点での請求が望ましいです。

給付の種類

給付対象には7種あります。

治療で回復した場合は、実際に支出した「医療費」と通院交通費などの「医療手当」。

障害が残った場合は、18歳以上では「障害年金」、18歳未満では「障害児養育年金」。

死亡事例では、生計維持者の場合は「遺族年金」、それ以外の者では「遺族一時金」、および「葬祭料」です。

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