一般には、3歳の夏までにオシメがとれるのが普通とされていますが、小学生になってもおねしょが残る子供は少なくありません。
なかなか他人には相談しにくい内容だと思います。
簡単ではありますが、まとめて原因を紹介します。
①膀胱の筋緊張が強い:少し尿が溜まると尿意を催すために排尿の回数が多いです。神経質な性格があり、日頃から腹痛を訴えることも多いです。
②尿道括約筋が弱い:筋力の発育が不十分で、尿意を催すと我慢ができません。他の筋力も弱い傾向があり、姿勢が悪かったり体育が苦手です。
③脊髄反射が鈍い:下半身の運動調節が上手くできません。腎虚とも関連し、つまづいたり転倒しやすいです。乳歯が長く残る場合もあります。
④中枢反射の調整不良:簡単に言えば寝ぼけです。脳の切り替えが上手くいかず、夜に走り回っているが朝の目覚めが悪いタイプです。
⑤冷え性:冬だけで、しかも朝方にたくさん出ます。昔は子供にはなかったタイプですが、最近では低体温によって子供でもあります。
⑥過剰栄養の摂取:美食が過ぎて、一時的に糖尿病に似たような状態になって起こります。好き嫌いが多い・虫歯が多い・歯型が小さいなどの傾向があります。
⑦神経過敏:乳児の「疳の虫」と同様に、外からの刺激に過敏に反応することで起こります。喉が弱い人が多く、比較的くすぐったがり屋です。
複数の原因が関係している場合もあり、対応方法は個々で違います。
①と⑦の場合は、強く叱ると逆効果になりますので注意が必要です。
西洋薬で治療する場合、三環系抗うつ薬やクレンブテロール(スピロペント)というβ受容体作動薬が使われることが多いです。
三環系抗うつ薬は、名前のとおりうつ病の治療に使用する薬ですが、中枢性の排尿反射を抑える作用と、蓄尿を促進する作用+排尿を抑制する作用を持っていますので、遺尿症の適応も持っています。
作用から考えて、上記の①④⑦による夜尿症には効果があると思われますが、他の要因には効果は期待できません。
また、眠気・倦怠感・便秘・口渇・吐気などの副作用を起こす頻度が比較的高い薬ですので、病気と呼ぶ程ではない夜尿症に対して使うには少し抵抗があります。
クレンブテロールは三環系抗うつ薬に比べれば副作用の少ない薬なのですが、作用は排尿筋弛緩による腹圧性尿失禁の防止であり、この薬が有効な夜尿症はごく一部に過ぎません。
漢方で治療する場合の代表的な適合薬も、上記の原因別に紹介しておきます。
- ①:小建中湯、柴胡桂枝湯
- ②:補中益気湯
- ③:六味丸
- ④:麻黄湯
- ⑤:苓姜朮甘湯
- ⑥:防風通聖散
- ⑦:抑肝散加陳皮半夏
ただし、漢方は体質によって適合する処方が違いますので、使用する場合は、名前だけで選択せずに、漢方治療に詳しい医師や薬剤師にご相談ください。