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漢方をもっと身近に

西洋薬と東洋薬のハイブリットにより、
より効果的で安全な治療を。

薬における子供と大人

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薬には「15歳未満は服用しないこと」のように、15歳を境にして服用できなかったり、服用量が違うものがたくさんあります。

なぜ、20歳や18歳でなく、15歳なのでしょうか?

15歳で体格が大人と同じ程度になると考える人が多いと思いますが、これは正解ではありません。

体重は薬の量を調節する要因の一つではありますが、15歳で線を引く理由とは関係ありません。

薬は体内で、①吸収され、②効果を発揮し、③排泄されます。

小児期では、この一連の流れが十分に発達していません。

一般に、子供は大人よりも吸収や排泄が遅く、一部の薬では効果が出なかったり副作用が強くて使えなかったりします。

代謝系が大人と同等まで発達する年齢が15歳で、これが15歳を特別な年齢にしている理由です。

体重が大人の半分だから大人用の薬を半分にして服用させることは厳禁です。

逆に、子供用の薬は穏やかだろうと勝手に解釈し、大人が服用することも危険です。

小児に汎用されるある種の解熱剤は、飲酒をする大人に肝障害を起こすことが報告されています。

子供は化学物質に敏感

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小学校に入学する頃の子供は、1日あたり約9平方メートルの空気を呼吸し、1200g程度の食品を食べています。

大人は約15平方メートルの空気を呼吸し、2000gくらいの食事量です。

外から子供の体内に入る物質の量は、大人の6割程度なので、大人よりも影響が少ないように思えます。

しかし、この量を体重換算しますと、呼吸でも食事でも、子供は大人の2倍近くの数値になります。

子供は体形が小さいために、摂取する物質の影響は、大人よりもはるかに大きいのです。

特に神経系は、1歳で大人の25%・6歳で大人の90%となる急速な発育過程にあり、ほとんど成長することがなくなった大人とは比較にならないほどの影響を受けます。

大気汚染物質・食品添加物・薬品はもちろんですが、タバコの副流煙の影響も小さくありません。

子供は化学物質に対して非常に敏感で、自ら排除する力もありませんので、大人が注意を払わねばなりません。

注意したい食品添加物

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食品に貼付されているラベルを見ると、非常に多くの添加物が記載されています。

それぞれが目的を持って添加されているのですが、問題視されている物質にリン酸塩があります。(ポリリン酸やメタリン酸なども同類です)

リン酸塩は、食品をしっとりさせる・味や色を安定させる・保存性を高めるなどの働きがあるので、非常に多くの食品に添加されています。

しかし、リン酸はカルシウムと結合しやすい物質で、結合してしまったものは吸収されません。

つまり、リン酸塩を多く摂取していると、カルシウムの吸収が低下することになります。

もちろん、一つ一つの食品には安全基準以内の量しか添加されていませんが、多種の添加された食品を食べ続けていると、カルシウム不足となる懸念があります。

レトルト食品やインスタント食品には、ほぼ例外なくリン酸塩が添加されています。

食品を選ぶ際には、ラベルの小さな文字にも少し注意を払ってください。

ペットボトル症候群

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あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、成人型糖尿病(Ⅱ型糖尿病)を起こす原因の一つとされており、小児で増加しています。

ジュースや炭酸飲料には、かなり多くの糖分が含まれています。

これらの飲料を多量に飲むと、一時的に血糖が急増します。

インスリンという血糖を下げるホルモンが働いて、異常値にならないように調整しているのですが、この働きにも限界があります。

多量を継続的に飲んでいると、糖の処理が間に合わず、尿中へ漏れ出ることになります。

糖が出る時には多量の水分も一緒に出ますので、体内の水分が不足気味となって、喉が渇きます。

そこで再び糖分の多い飲料を飲むと悪循環が起こり、常にペットボトルを抱えているような生活となってしまいます。

この状態を形容して付いた名前がペットボトル症候群です。

昔は、中年以後に発症することが多いと言われていた成人型糖尿病の予備軍と言われています。

加糖されているジュースや炭酸飲料の飲み過ぎには注意しましょう。

スポーツドリンクにも糖分は含まれていますので、適量を心掛けてください。

シックハウス症候群

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新築や改築、あるいはパソコンやピアノなどの備品を新しく購入した時に、思い当たる原因がないのに、皮膚の痒み・目の充血・喉の痛み・咳・鼻水・頭痛・倦怠感などを起こす人があります。

これは、建材や装材などから放散されたホルムアルデヒドやトルエン等の揮発性有機化合物や、カビ・ダニ等に対して起こった一種のアレルギー反応だとされています。

反応には個人差が大きく、家族で一人だけ症状が出るという場合も少なくありません。

しかし、原因物質に頻回に接していると感受性が高まるとの報告があり、誰もが発症する可能性はあります。

室内だけ、あるいは特定の部屋だけで症状が強くなりますので、発見は簡単なように思えますが、予想外の原因であるために気付く人は多くありません。

また、花粉症のように強い症状が出る場合だけではなく、集中力がない・もの忘れが多い・朝起きられない・感情が不安定などの軽微な症状しか出ない場合もあり、疲労と誤解してしまう人もあります。

原因物質を除くことが最良の対応ですが、内装などでは簡単に除くことができません。

そんな場合は、積極的な換気と清掃をしてください。

学校でのシックハウス症状群を防ぐ一環として、学校薬剤師は教室でのホルモアレデヒドの濃度測定を行っています。

排水に気をつけて

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水の清浄さを示す値には数種類ありますが、最も自然環境に近い指標とされるのは生物化学的酸素要求量(BOD)です。

水に含まれる、有機物などの不純物を数値化したもので、値が小さいほどきれいな水です。

きれいな水を好むヤマメやイワナは、1mg/l以下の値でないと生きていけません。

汚れに強い魚とされるコイやフナでも、5mg/l以上では住めないと言われています。

皆さんがふだん口にしているジュースを、フナが住める水質にするためには、10000倍の純粋な水で薄める必要があります。

もう少し例を示すと、味噌汁1杯なら風呂桶10杯分、牛乳1瓶なら風呂桶30杯分、てんぷら油コップ1杯なら風呂桶100杯分のきれいな水がないと、魚が住める水にはできません。

汚れた水を浄化するのは大変なことなのです。

環境のことを少しは考えて排水しましょう。

おねしょ

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一般には、3歳の夏までにオシメがとれるのが普通とされていますが、小学生になってもおねしょが残る子供は少なくありません。

なかなか他人には相談しにくい内容だと思います。

簡単ではありますが、まとめて原因を紹介します。

①膀胱の筋緊張が強い:少し尿が溜まると尿意を催すために排尿の回数が多いです。神経質な性格があり、日頃から腹痛を訴えることも多いです。

②尿道括約筋が弱い:筋力の発育が不十分で、尿意を催すと我慢ができません。他の筋力も弱い傾向があり、姿勢が悪かったり体育が苦手です。

③脊髄反射が鈍い:下半身の運動調節が上手くできません。腎虚とも関連し、つまづいたり転倒しやすいです。乳歯が長く残る場合もあります。

④中枢反射の調整不良:簡単に言えば寝ぼけです。脳の切り替えが上手くいかず、夜に走り回っているが朝の目覚めが悪いタイプです。

⑤冷え性:冬だけで、しかも朝方にたくさん出ます。昔は子供にはなかったタイプですが、最近では低体温によって子供でもあります。

⑥過剰栄養の摂取:美食が過ぎて、一時的に糖尿病に似たような状態になって起こります。好き嫌いが多い・虫歯が多い・歯型が小さいなどの傾向があります。

⑦神経過敏:乳児の「疳の虫」と同様に、外からの刺激に過敏に反応することで起こります。喉が弱い人が多く、比較的くすぐったがり屋です。

複数の原因が関係している場合もあり、対応方法は個々で違います。

①と⑦の場合は、強く叱ると逆効果になりますので注意が必要です。

西洋薬で治療する場合、三環系抗うつ薬やクレンブテロール(スピロペント)というβ受容体作動薬が使われることが多いです。

三環系抗うつ薬は、名前のとおりうつ病の治療に使用する薬ですが、中枢性の排尿反射を抑える作用と、蓄尿を促進する作用+排尿を抑制する作用を持っていますので、遺尿症の適応も持っています。

作用から考えて、上記の①④⑦による夜尿症には効果があると思われますが、他の要因には効果は期待できません。

また、眠気・倦怠感・便秘・口渇・吐気などの副作用を起こす頻度が比較的高い薬ですので、病気と呼ぶ程ではない夜尿症に対して使うには少し抵抗があります。

クレンブテロールは三環系抗うつ薬に比べれば副作用の少ない薬なのですが、作用は排尿筋弛緩による腹圧性尿失禁の防止であり、この薬が有効な夜尿症はごく一部に過ぎません。

漢方で治療する場合の代表的な適合薬も、上記の原因別に紹介しておきます。

  1. ①:小建中湯、柴胡桂枝湯
  2. ②:補中益気湯
  3. ③:六味丸
  4. ④:麻黄湯
  5. ⑤:苓姜朮甘湯
  6. ⑥:防風通聖散
  7. ⑦:抑肝散加陳皮半夏

ただし、漢方は体質によって適合する処方が違いますので、使用する場合は、名前だけで選択せずに、漢方治療に詳しい医師や薬剤師にご相談ください。

大切な朝食

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最近、朝食を食べない子供が増えています。

朝食は1日の食事の中で最も重要で、これを抜くと様々な体調不良の原因となります。

朝に十分な栄養を摂取しないと、体温が上がらずに体がだるく感じるだけでなく、脳の気機能も高まらないので、勉強に集中できません。

また、人間の体には胃結腸反射という仕組みがあり、胃に食物が入ってくると結腸(大腸の一部)が刺激を受けて排便をしたくなります。

朝はこの反射が最も効果的に働く時で、朝食抜きは排便のタイミングを逃してします陽陰にもなります。

菓子パンにジュースという朝食、食べないよりははるかに良いのですが、糖分が多くて胃に溜まりにくい食事を続けていると、胃酸の分泌過剰によって吐気や腹痛を起こしやすい体質になってしまうことがあります。

朝食は栄養を考えたものをしっかりと摂りましょう。

運動系遊具について

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ブランコ・スベリ台・ジャングルジムなどは、公園や幼稚園・小学校で目にする遊具です。

遊んでいる子供を見て、時として危ないと感じる場面もあります。

しかし、運動系遊具には運動能力向上という目的の他に、危機回避能力の向上という役割もあります。

つまり、ある程度のリスクは許容しないと、遊具の目的を充足しません。

とは言いましても、大ケガにつながる構造・保守上の欠陥(ハザード)は許されるものではなく、公園法で安全基準が定められています。

リスクはあるがハザードがないものが、理想的な運動系遊具です。

幼稚園や小学校では教職員の見守りがありますので、公園の使用状況と違いますが、ハザードのチェックは大切です。

寝る子は育つ・睡眠不足は太る

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「寝る子は育つ」は」昔からの諺ですが、医学的な裏付けがある事実です。

骨や筋肉うぃ育て・新陳代謝を促す成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。

このホルモンだけで成長の早さが決まるわけではありませんが、重要な要素であることは確実です。

なお、成長ホルモンは脳神経の発育や修復も担っており、睡眠は記憶の定着にも必須なので、睡眠は体だけでなく脳にも重要です。

睡眠時間と成績が比例するという報告もあります。

少量ですが大人でも成長ホルモンは分泌されており、傷ついた細胞の修復や疲労回復に活躍しています。

睡眠不足で肌があれるという現象は、成長ホルモンも関係しているのです。

また、睡眠が不足すると、レプチン(食欲抑制ホルモン)の分泌が減少します。

つまり、食欲が増すことで過食傾向になります。

食欲を抑える強い意志と十分な運動があれば別ですが、しっかりと寝ている人に比べれば太る可能性は高くなります。

暖房と換気

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暖房の効いた部屋でくつろいでいると眠くなる、という経験をした方は多いと思います。

暖かさで緊張が緩むという要因はありますが、二酸化炭素の増加が関係している場合もあります。

二酸化炭素の感受性には個人差があるのですが、3000ppmを超えると倦怠感を感じ、5000ppmを超えると頭痛や動悸を感じる人が増え、20000ppm以上では生命の危険もありえる濃度になります。

一般に、大人よりも子供の感受性は高く、もっと低い濃度で症状が出る可能性があります。

学校保健安全法では、教室内の二酸化炭素濃度の上限目安を1500ppmにしています。

教室の広さ・人数や暖房の強度で変わりますが、教室を密閉して灯油ストーブを中程度の火力で使用した場合、30分程度で1500ppmを超えてしまいます。

よって、休み時間に窓を開けた換気と、授業中の欄間換気(上部の窓を少し開けておく)を行うことで上限を超えないようにしています。

最近の家屋は機密性が高くなり、二酸化炭素が増えやすくなっています。

6畳の部屋は小学校教室の1/8程度の容積しかなく、灯油やガスなどの燃焼系の暖房器具を使用した場合は、短時間に3000ppmを超えます。

せっかく温まった空気を逃したくないと思われるでしょうが、5分程度窓を開ければ換気できますし、壁や天井が温まっていれば室温はすぐに回復します。

是非とも30分に1回程度の換気を心掛けてください。

(ちなみに、外気の二酸化炭素濃度は約400ppmです)

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