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女性疾患

イラスト2 (この文書は、2018年3月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

出産との関連

女性の社会進出などにより、一人の女性が産む子供の数は、戦争直後の4.5人から1.4人にまで減少しました。

妊娠中は月経がありませんので、出産回数の減少は月経回数の増加を意味します。

月経は子宮や卵巣・乳房に大きな負担をかけるため、月経回数の増加に伴って婦人科系疾患が増えてきていると言われています。

子宮では、月経の度に増殖と剥離を繰り返している内膜が逆流し、子宮以外の場所で増殖する子宮内膜症・子宮壁内部で増殖する子宮腺筋症・筋肉内に良性の瘤をつくる子宮筋腫を起こす可能性が高まります。

卵巣は排卵の度に傷つき、損傷と修復を繰り返しています。

このサイクルの増加は、卵巣癌の可能性を高めることになります。

乳房は授乳のために発達している乳腺組織であり、授乳に使わない状態が長く続くことで上皮組織が癌化する危険が高まります。

子だくさんだから上記疾患にならないというものではありませんが、発症頻度は低くなります。

女性ホルモン

女性の身体的な不調や病気の多くは、女性ホルモンが深く関係しています。

女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種があり、これらが相互に調整することで、妊娠しやすい体をつくり、胎育や出産を安全に行うよう働いています。

その他にも、血管・粘膜・骨・脳にも働き、血圧や体温を司る自律神経系や免疫系と連動することで、女性の心身を守っています。

脳の視床下部や脳下垂体という組織がホルモンの分泌を調整しているのですが、女性ホルモン自体が視床下部へフィードバック調整を行うという複雑な仕組みになっています。

妊娠・出産のために繊細な調整を必要としているが故の仕組みなのですが、ストレスなどによってホルモン分泌が変動してしまう要因にもなっています。

女性ホルモンの分泌が盛んな20~30歳代では、分泌量の多寡や2種のバランス不調に起因する疾患が多くなります。

具体的には、生理痛・生理不順や子宮内膜症・子宮筋腫などです。

40歳代後半になると女性ホルモンの分泌量が減り始め、ホルモンによって守られていた領域の不調が徐々に顕在化してきます。

具体的には、血圧やコレステロール値の上昇・骨粗鬆症などです。

また、ホルモン減少の影響を代替えしようとして、自律神経が無理をするために、更年期障害と呼ばれる様々な症状が出る場合もあります。


更年期障害と自律神経失調症はよく似た症状を呈します。

しかし、原因は別で、「血」に起因する場合が更年期障害で、「気」に起因する場合が自律神経失調症です。

漢方での対応

月経が負担を大きくしているといとは言いましても、無理やり止めることはできませんし、今の社会情勢から考えて5回も6回も出産するということは難しいでしょう。

むしろ、晩婚化によって、卵子の成熟や子宮内膜の増殖能力が低下し、妊娠しにくい人が増えています。

不妊症の対応を含めて、女性疾患全般の予防には、ホルモンバランスを乱さないことが重要です。

バランスに影響を及ぼす要因は多々ありますが、関連が深いのは過度のダイエット・ストレス・冷えです。

少なくともこの3要因には留意してください。

バランスの崩れの初期症状は、生理が不順となったり生理痛が強くなりますので、比較的気付きやすい変化です。

初期に対応すれば、是正は容易です。

当帰芍薬散と桂枝茯苓丸が、バランスの是正に使用する代表的な漢方処方です。

前者は冷えやむくみを伴う人に適し、後者はのぼせ傾向がある比較的丈夫な人に適します。

桂枝茯苓丸は子宮筋腫の治療でもよく使われる薬です。

更年期障害はバランスの問題ではなく、減少したホルモン量に体が順応できていないことで起こります。

順応能力には個人差があり、全く症状が出ない人もあれば、寝込むほど強い症状が出る人もあります。

症状が強い場合は、ホルモン補充療法をします。

不足分を補充するので症状は早期に消失しますが、治しているわけではありませんので、薬を中止すれば再発します。

順応という点では逆効果で、薬の減量や中止がいつまでもできないというケースもあります。

また、ホルモン剤の使用は、乳癌の危険性を高める点にも注意が必要です。

更年期障害に使用する漢方処方は、順応を早めるもので、加味逍遥散や命の母が有名です。

この2種は比較的丈夫な人を対象にした処方で、熱証があって緊張や興奮タイプの症状を鎮めるのに適しています。

ホットフラッシュと呼ばれるのぼせや急な発汗、不眠やイライラには効果的ですが、抑うつや倦怠感にはあまり効きません。

女性には虚証で冷え性という人が多く、この体質では抑制・沈滞タイプの症状を呈する方が大部分です。

寒証であれば、キュウ帰調血飲第一加減が適しています。

この処方は産後の妙薬とも呼ばれ、出産後に起こる様々な症状にも奏効してくれる薬です。

静脈の血行を良くする効果に優れ、下肢静脈瘤の治療では男性にも使用します。

妊娠と薬

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