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朝の血圧・夜の血圧

イラスト2 (この文書は、2012年11月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

血圧の基準値

心臓の心室が収縮している時に血圧は最も高くなり、拡張している時に血圧は最低になります。

俗に上の血圧と呼ぶのは収縮期血圧、下の血圧と呼ぶのは拡張期血圧のことです。

病院で血圧測定した場合は、上が130mmHg未満で下が85mmHg未満を正常血圧、上が140mmHg以上または下が90mmHg以上の場合を高血圧症と診断します。(上下の一方だけが超える場合でも高血圧症に入ります)

家庭において計測した場合は、上が135mmHg以上・下が85mmHg以上の場合を高血圧症とします。

正常と高血圧症の間は、昔は境界領域と言い、今は正常高値血圧と言います。

ただし、人間の血圧は朝は高く・夜は低くなる周期がありますので、厳格には朝と夜で基準が少し違います。

専門書である高血圧治療ガイドラインでは、朝は135/85以上、夜は120/70以上を高血圧症としています。

計測した場所や時間帯によって判断が分かれる場合がありますので、とんでもなく高いという場合を除いて、1回の計測で診断されることはありません。

精度が高いとされる24時間装着するタイプの血圧計で計測した場合は、24時間の平均値で130/80以上を高血圧症とします。

血圧管理における注意事項

家庭用血圧計には、計測する部位によって上腕式・手首式・指式があります。

手首式や指式は計測しやすいのですが、心臓から遠くなる程に精度が低くなりますので、推奨はされていません。

計測のタイミングや姿勢によっても変動しますので、安静時に同じ時刻・同じ姿勢で測るようにしましょう。

緊張していると思う時には、深呼吸をした後に、指で両目を瞼の上から数回軽く押します。

眼球血圧反射によって、緊張に伴う血圧上昇をかなり回復することができます。(病院での計測前にも試みてください)

電子血圧計が脈を感知するのは腕帯で、この高さを心臓と同じにしないと正しく計測されません。

心臓より上だと低い値となり、心臓より下だと高い値になります。

病院などの据え置きタイプの計測器で測る場合は、椅子の高さを調節して、腕と心臓を同じ高さにする必要があります。

前かがみや伸びたような姿勢になっても、正しい計測値は得られません。

また、計測する腕を左右の一方に決めている人が多いようですが、心臓は体の中央に位置していませんので、血圧は左腕と右腕で少し違う場合が多いです。

片方だけ高いという場合もありますので、両方の腕とも測るのが理想です。

狭心症や脳梗塞が朝に起きやすい理由

血圧だけでなく様々な循環器系の機能が1日周期で変動しており、その変動幅が最も大きくなるのが起床時です。

大多数の人は朝に起床しますので、朝と置き換えて紹介します。

朝に上昇する項目は、血圧・脈拍数・交感神経活性・血液凝固能(血小板凝集能)があります。

逆に低下する項目は、血管拡張能・冠血流量・線溶系活性です。

簡単に言いますと、心臓の負担が増え・血液が固まりやすくなる変化です。

この変化によって、狭心症・心筋梗塞や脳梗塞などの血栓性疾患は、夜よりも朝に起きやすくなるわけです。

よって、起床直後は過激な運動を控える方が無難です。

また、愛煙家が好む「目覚めの一服」は、血栓性疾患発症の危険性を大きく高める行為です。

夜に血圧が下がらない人

朝と比べて夜の血圧は10~20%下がるのが一般的です。

しかし、中には10%未満しか下がらない人や、夜の方が高いという人もいます。

大規模調査によると、夜に下がらない人は血圧の高低とは関係なく、心血管系疾患に起因する死亡リスクが2倍ほど高いと報告されています。

さらに、高血圧症+夜に下がらないという条件が重なると、心血管系リスクは正常者に比べて7.9倍にもなります。

また、このタイプの人は左心室肥大になりやすいことも分かっています。

夜に下がらないタイプの誘因となりやすい疾患は、睡眠時無呼吸症候群・糖尿病・腎機能障害やバセドウ病などの交感神経が亢進する疾患です。

これらの疾患を適正に治療することで、血圧周期も是正できると言われています。

また、食塩を多く摂取する人は、ナトリウムを排泄する必要から、夜間の血圧が高くなりやすく、血圧周期も乱れやすくなります。

高血圧だけでなく、血圧周期にも減塩が望ましいようです。

夜の血圧が下がらないと睡眠に影響が及びます。

日常的に寝付きが悪い・すぐに目が覚めるという人は、一度、寝る前の血圧と朝の血圧を比較してみてください。

朝に血圧が大きく上がる人

上で紹介しましたように、朝の血圧上昇はモーニングサージと呼ばれる正常な生理現象です。(この上昇があるから目が覚めるとも言われます)

しかし、朝に20%以上も血圧が上昇する場合は、正常血圧の人でも、心血管や脳血管にかなりの負担を与えることになります。

高血圧症でなおかつ朝に大きく上昇する人は、頸動脈狭窄の可能性があるとも報告されており、十分な注意が必要です。

朝の血圧上昇が大きくなる要因は、加齢・血糖異常・飲酒・喫煙・ストレスなどがあります。

また、この変化には週や季節によって変動幅が違うと報告されており、月曜日・冬季に増大するそうです。

高齢者が冬季に心血管系疾患を起こす率が高くなるのは、この現象が関係していると考えられています。

血圧が高い人ほど変動幅が大きいので、高血圧症の人はなおさら注意する必要があります。

寒い時期にはタイマーで部屋を暖めておくとか、すぐに起き上がるのではなく布団の上で軽く手足を動かすことで、血管への影響を軽減できます。

具体的な症状が乏しいので、このタイプの人は問題が起こるまで気付かないことが多々あります。

朝に頭痛を感じやすい人やのぼせやすい人は、一度確認してみましょう。

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