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インフルエンザワクチン

イラスト2 (この文書は、2009年10月に会員様へ送付した内容を一部改訂したものです)

ワクチンとは

我々の体には、外から侵入してきた病原体や有害な異物を撃退する免疫という機能を備えています。

ただ、外から入ってくるものを全て撃退しているわけではなく、これは悪者だと認識したものだけを攻撃します。

非常に優れた機能なのですが、悪者だと認識するまでに若干の時間が必要で、急激に増殖する病原体が侵入してきた場合は、発症を未然に防ぐことができません。

それならば、こいつは悪者だと前もって教えておけば、侵入直後から攻撃を開始して発症を防ぐことができるはずです。

この前もって教えるために使うものがワクチンです。

病原体そのものを弱毒化したものや、その病原体に特有の膜蛋白などを使い、相手の特徴を認識させます。

前者を生ワクチン、後者を不活化ワクチンと言い、生ワクチンの方が効果が良いのですが、非常に稀に、実際に感染してしまう危険性を持っています。

ワクチンは予防を目的とした薬であり、治療効果を持っているわけではないので、感染した状態に使う薬ではありません。

また、1~2カ月前に罹患した場合は、免疫がまだ悪者と認識していますので、同じ型のワクチンを接種する意義はありません。

危険はないの?

体に全く影響がないものを注射した場合、免疫は悪者と認識してくれません。

ワクチンの効力を発揮させるためには、少しは悪影響を与える必要があります。

しかし、予防を目的としているのに、健康被害を起こしては本末転倒になってしまいます。

ワクチンの安全基準は厳しく定められていますが、注射部位の発赤や微熱・倦怠感は許容範囲とされており、多くの人が経験します。

「注射当日は過激な運動や入浴を控えてください」と言われるのは、もっと強い反応を出さないためです。

非常に稀ですが、かなり重篤な副作用としてギラン・バレー症候群が報告されています。

末梢神経の麻痺による症状で、四肢麻痺や重い場合は呼吸不全まで至る副作用です。

以前から、インフルエンザウイルス感染で起こることが報告されていましたが、ワクチンでも起こった症例があり、注意されるようになりました。

ウイルスの膜蛋白質に対する一種のアレルギー反応ではないかと疑われていますが、未だに原因は特定されていません。

正確な発症率は不明で、今までの報告数から類推すると、100万人に1人くらいの率のようです。

接種すれば感染しない?

免疫の能力には個人差があり、予防効果を期待できるのは80%程度の人です。

しかも、獲得できた効果も永遠のものではなく、注射後1月をピークとして、次第に低下していきます。

1回よりも2回接種の方が効果的だと言われるのはこのためです。

更に、インフルエンザウイルスには多くの型があり、ワクチン本来の効果を発揮してくれるのは同じ型の場合のみです。

A型は理論的に144種に分類され、他にB型やC型があり、更に多くの亜型が存在します。

季節性インフルエンザのワクチンは、Aソ連型・A香港型・B型を対象として作られており、この3種に対しては70%以上有効とされています。

この3種以外には全く効果がないというわけではありません。

風邪をひいた後に、しばらくは風邪をひきににくなるのと同様に、ワクチン接種によって免疫力が刺激を受けて高い状態にあるため、他の型の感染があっても軽くて済みます。

ただ、他の型の場合は、相手を前もって特定しているわけではないので、発症を完全に防止できるわけではありません。

国産と外国産の違い

数年前に、国産ワクチンが足りない状況となり、外国から輸入されたことがありました。

たびたびあることではないと思いますが、国産ワクチンと外国産ワクチンの違いを紹介しておきます。

最も大きな違いは、アジュバントと呼ばれる免疫増強剤の有無です。

多くの外国産ワクチンは、効果を高める目的でアジュバントを配合しています。

この配合によって、効力が強くなり持続性も高まりますので、1回の接種で1シーズンは保つと言われています。

しかし、安全性に疑問を持つ専門家もあり、無条件に推奨されているわけではありません。

国産ワクチンは皮下注射で接種し、外国産は筋肉注射で接種します。

この違いが影響しているのかもしれませんが、外国産では注射後の痛みや発赤がやや強く、微熱や倦怠感の起こる頻度もやや高いとの報告があります。

また、ウイルスの培養方法にも若干の違いがあり、この面での安全性も課題の一つになっています。

しかし、海外に住む日本人は外国産ワクチンを使用しているわけで、今まで日本人に特有の問題は報告されていません。

使用を躊躇するほどの大きな違いはないようです。

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