子供のころから、お経を唱えている僧侶の後姿を見ながら、意味もわからず独特の雰囲気に呑まれ、何とはなしに安らぎを感じていました。毎月僧侶がやってきて大きな仏壇の前でうやうやしくお経をあげているのを聞いていたので、そのように感じるのでしょう。おばあちゃんが亡くなったときのお葬式、長い長いお経、じっとしているのがつらくなったころ小休止、僧侶から声をかけられほっとしたのをおぼえています。
仏教に対して子供のころの思い出があるものの、大人になってから特に思い入れがあるわけでもなく、お葬式や法事のときにお経を聞くだけでした。最近になってから自分の生きてきた道、特に際立った悪事はしていないけれど、自分かわいさのあまり他人を押しのけたり、知らず知らずのうちに多くの人たちの心を傷つけたりしてきたのではないかと反省することもあります。仏教の難しいことは差し置いて、まず般若心経の意味をわずかでも理解し、過去のいろいろなことを洗い流すことができればと思い西国三十三所をめぐりました。
訪れるお寺の順番を気にすることなく、行くことができる時、行ける所をめぐってきました。家から自転車で行くことができる所は自転車で、遠方の寺院は自転車をバッグに入れ最寄り駅まで電車に乗り、そこから行ける所まで自転車で行き、登山道(参道)は歩くことにしました。ただし青岸渡寺、上醍醐寺および宝厳寺は自転車を使用しませんでした。
移動距離合計は3023km、内訳は電車などの乗り物が1973km、自転車が963km、徒歩が49kmでした。
それぞれの記事には写真、自転車および徒歩でのルート地図を掲載しています。