更新日:2023年5月26日
宅建は国家資格であり、その合格率は約15%とやや高めの難易度ですが、独学でもテキスト1冊をしっかりと読み込み、過去問を複数回繰り返すだけで、短期合格も十分に可能な資格だと私は考えています。
ただし、この簡単そうに思えることを一定期間毎日続けるというのが、一番大変なことなんですが。。
このページでは、宅建試験に独学で合格するためのおすすめ勉強法や必要な勉強時間など、どうすれば独学で合格できるのか、実際に独学で受かった私の経験に基づき、その方法を詳しくご紹介していきたいと思います。
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宅建は独学で合格できる!
まずはじめに、そもそも宅建試験は独学で合格できるのでしょうか。
私が出す答えは、”独学でも宅建に合格できる”です。
独学でも宅建に合格できる理由
独学でも宅建に合格できると考えるには、以下の理由があります。
理由@:市販教材が十分に揃っている
宅建試験は、とても人気があり、受験者数が非常に多いマンモス資格です。
受験者数の少ない資格の場合は、市販教材の品揃えが悪く、十分な知識・情報が得られない資格試験も確かにあります。
しかし、宅建は違います。各社から市販教材が数多く出版され、合格に必要なテキスト・問題集が十分に揃っています。
理由A:合格に必要な知識は市販教材だけで手に入る
とはいえ、資格予備校や通信講座を受講しないと入手できないような知識や情報があるんじゃないの?と疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
私も昔は、そんな風に思うこともありました。
市販教材の多くは資格予備校が出版しているわけですから、予備校は講座を受講してもらうために、本当に重要な情報は市販教材には載せてないんじゃないか?合格に必要な知識は、講座を受講しないと教えてくれないんじゃないか?と。
しかし、私の経験上、そんな疑問・不安は、すべて払拭されました。
私自身、これまでに、宅建、行政書士、土地家屋調査士、司法書士などの国家試験に合格してきましたが、すべて市販教材に載っている知識だけで合格できました。
ですので、独学だからといって心配することはありません。合格に必要な知識・情報は、すべて市販教材に載っています。
- 市販教材が十分に揃っている
- 合格に必要な知識は市販教材だけで手に入る
事実、私も含め多くの人が独学で合格している
そうは言っても、本当に独学で合格できるの?とまだ疑っている方もいらっしゃるかもしれませんね。
今の時代、ネットで検索すればすぐにわかりますが、独学で合格している方は数多くいらっしゃいますし、事実、私自身も半年間の独学で合格することができました。
宅建試験の合格率は、例年、おおむね15%程度で推移していますが、他の有名な国家資格は、以下のとおり5〜20%の合格率で、10%を切るような難関資格も多く存在します。
<不動産系国家資格の合格率>
- マンション管理士試験: 8〜9%
- 土地家屋調査士試験: 8〜9%
- 管理業務主任者試験: 20%
<法律系国家資格の合格率>
- 司法書士試験: 4〜5%
- 社会保険労務士試験: 6%
- 行政書士試験: 10%
このように、宅建の合格率15%というのは、他の国家資格と比較した場合は、そこまで難しい難易度ではありません。
また、宅建ほどの人気資格となれば、たいして勉強せずに受験する方も多いと思いますので、15%という数字に、そこまで惑わされる必要はありません。
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私が独学で宅建試験に挑戦したきっかけ
そもそも私が宅建の勉強を始めようと思ったきっかけは、私が勤めていた勤務先(市役所)の初めての人事異動で、建築指導課という部署に異動になったことです。
私は事務職でしたが、そこは建築職や土木職の方ばかりの職場でした。窓口や電話で応対するのは、不動産や建築の専門家の方ばかりで、とにかく基礎知識がなさ過ぎて、いくら先輩職員に聞きながら対応しても限界があると感じました。
そこで、思い切って「宅建」の資格をとろうと勉強を始めることにした、というのがきっかけです。
私が独学を選んだ理由
では、どうやって勉強しようか、と考えたときに、まず、通学講座に通うというのは、はじめから論外でした。近所に予備校などありませんし、働きながら通学するような時間は取れません。
では、通信講座はどうかというと、私は当時、1ヶ月の小遣い18,000円の貧乏でした。市役所の安月給で、住宅ローンを抱え、妻と子供を養わないといけませんから、とても受講料を払うような余裕などありません。
ということで、必然的に「独学」で宅建試験に挑戦することになったというのが、私が独学を選んだ理由です。
全くの初心者でも独学で宅建に合格できる!
ちなみに私は、大学も経済学部でしたし、法律の勉強など一度もしたことのない、まったくの初心者でした。
市役所に勤めている公務員だったら、法律に慣れていたんじゃないかと思われるかもしれませんが、私がそれまで配属されていた部署は、「公民館」というところで、地域住民と交流する部署です。
法律とは、かけ離れた仕事をしていましたので、一切、法律の予備知識はありませんでした。
こんな私でも、半年間の独学で宅建試験に合格できたわけですから、皆さんもきっと独学で合格できるはずです。
ただし、独学には乗り越えなければならない壁がある
独学は、コストが安く済み、誰でもいつでも手軽に始められるというメリットがある一方で、独学には、乗り越えなければならない壁(デメリット)がいくつもあります。
これがなければ、予備校や通信講座が存在する意味がありませんからね。
- どの教材を選べばいいかわからない。
- テキストを自分で読み進めないといけない。
- 教材の使い方がわからない。
- 今の勉強法で合っているのか不安。
- 自分でスケジュール管理をしないといけない 。
- わからなくても質問できない。
- モチベーションを維持するのが大変。
などなど、独学のメリットに比べ、挙げればキリがないほど数多くの壁(デメリット)が存在しています。
独学の場合、こういったデメリットを乗り越えないといけません。
正しい勉強法で勉強すれば独学でも合格できる!
しかし、当サイトは「独学で資格取得」をテーマとしており、私自身も独学特有のデメリットに悩まされ、あれやこれやと試行錯誤を繰り返しながらも、独学で宅建試験やその他の国家資格にも合格してきました。
独学で勉強する場合、誤った勉強法では合格できません。合格できたとしても、ものすごく時間がかかってしまいます。
宅建試験に独学で合格するためには、正しい勉強法で勉強する必要があります。
このページでは、私自身の経験を踏まえ、独学特有のデメリットをできるだけ払拭したうえで、宅建試験に独学で合格できる方法をお伝えしていければと考えています。
独学で宅建試験に合格することを目指して、頑張っていきましょう!
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宅建の独学におすすめの勉強法
それでは次は、独学で宅建に合格するために私が実践した効率的なおすすめ勉強法について具体的にご紹介したいと思います。
独学で宅建の勉強を始めるためには、まずテキストと問題集を選ぶところから始めます。
そして、自宅などでテキストを読んでインプット学習をし、問題集を解いてアウトプット学習をする、という形で勉強を進めることになります。
また、外出先などでスキマ時間を使って勉強することもできますね。
おすすめ勉強法の全体の流れは、下記のリストのようになりますので、以下で順にご紹介していきます。
- テキスト・問題集を選ぶ(最低限、1冊ずつあればOK)
- テキストを通読し、全体像を把握する
- 章ごとにテキストを読み、そこに対応する問題集を解く。
- 問題集のみを解いていく(最低でも3回は解く)
- 模試を受験する(又は予想問題集を解く)
勉強法@:テキスト・問題集を選ぶ
では、宅健に独学で挑戦するために、まずはテキスト選びから始めましょう。
そして、そのテキストに対応した問題集も併せて選びます。
独学の場合、最低限、テキストと問題集がそれぞれ一冊ずつあれば合格できます!
テキストの選び方
宅建試験に独学で合格しようとする場合、テキスト選びはとても重要です。
宅建の勉強は、まず基本テキストを使って知識のインプット学習を行うところから始めます。
宅建のテキストとしては、いわゆる基本テキスト(基本書)と呼ばれるもののほか、要点整理テキストやマンガ版テキストというものも存在します。
- 基本テキスト・・・宅建試験の学習をするうえで、最も基本となるテキスト(知識のベースとなるテキスト)。学習を始めた段階から試験直前まで常に使用するものです。
- 要点整理テキスト(暗記本・まとめ本)・・・重要事項や要点のみを抜き出して集約したテキスト。上記の基本テキストは、重要事項や要点を理解するための解説文章が大部分を占めていますが、そのような解説文章がカットされています。これを使えば、知識の総整理(総ざらい)をすることができます。
- マンガ版テキスト・・・基礎的な知識や全体像を大まかに把握できるようマンガで解説された入門書。本格的な学習に入る前の導入として読むもので、もう何年も勉強なんてしたことがない、法律の学習が初めて、といった場合に役立ちます。
宅建試験の学習を始める場合は、原則として「基本テキスト」から選びます。
ただし、現在、宅建試験は非常に人気があり受験者数も増加し続けているというマンモス資格ですので、様々な出版社から各種のテキストが出版され、乱立している状況にあります。このため、どのテキストを選べばよいか、なかなか決めるのが難しいかと思います。
宅建のテキストを選ぶうえで最も大切なことは、初学者がイチから理解できるよう、噛み砕いた解説がなされているかどうか、ということだと思います。
ただし、ズラズラダラダラと解説が書かれていても、最後まで読む前に挫折してしまいますし、たとえ最後まで読めたとしても、何を理解して、何を暗記すればよいのかわからず、結局何も残らないということになってしまいますので、しっかりとメリハリをつけて記述されていることも大切です。
このメリハリというのは、暗記事項と解説との区別のほか、図表で整理したり、イラストを使ったりするなどの工夫も含みます。
ということで、この2点に重点を置いて、テキストを選ぶのがよいと思います。
- 噛み砕いた解説がなされているか
- メリハリをつけて記述されているか(暗記事項・解説、図表、イラスト)
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- 具体的なおすすめテキストや使い分けはこちら⇒宅建の独学におすすめのテキスト・参考書
問題集の選び方
基本テキストを使ってインプット学習をした後は、問題集を使ってアウトプット学習を行うことにより、知識を定着させていきます。
宅建の問題集には、「分野別過去問題集」、「一問一答問題集」、「年度別過去問題集」、「予想問題集」など、いくつかの種類があります。
- 分野別過去問題集・・・過去問を科目別・分野別に整理して収録した4肢択一式の問題集
- 一問一答問題集・・・過去問は4肢択一式ですが、この4つの選択肢をバラバラにして、科目・分野別に収録した一問一答式の問題集
- 年度別過去問題集・・・例えば過去10年間の過去問を、そのままの並びで年度ごとに収録した4肢択一式の問題集
- 予想問題集・・・過去の出題を分析し、その年の本試験に出題される問題を予想して収録した本試験形式(4肢択一式・50問)の問題集
これらの問題集の中で、必須の問題集となるのは、「分野別過去問題集」です。各シリーズとも、分野別過去問題集は必ず出版されていますが、年度別や一問一答などは付加的な問題集になりますので、出版されていないシリーズも結構あります。
そして、原則、テキストと同シリーズの分野別過去問題集を選ぶことをおススメします。
というのは、問題集には、テキストの参照ページが明記されているものがほとんどですので、問題集を解きながら、その解説を読んだだけではよくわからない場合や周辺知識を確認したいような場合に、素早くテキストの参照ページに戻って確認することができるからです。
- 色んな種類があるが、分野別過去問題集が必須
- 原則、テキストと同シリーズの問題集を選ぶ
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- 具体的なおすすめ問題集や使い分けはこちら⇒宅建の独学におすすめの問題集・過去問
勉強法A:テキストを通読し、全体像を把握する
独学用のテキスト・問題集が決まったら、いよいよ勉強開始です!
まずは、基本テキストを一通り読みます。
この際は、とにかくわからないことがあっても気にせずに、ドンドン読み進めることがポイントです。
細かいところは気にせず、大雑把にイメージを把握するつもりで読み進めるのがいいと思います。
細かいところを気にしすぎると前に進めなくなり、挫折してしまうおそれがありますので。。
勉強法B:テキストを章ごとに読み、そこに対応する問題集を解く
このようにしてテキストを一通り読み終わったら、次は問題演習に入ります。
ただし、ここですぐに問題集をやろうとしても、テキストの最初に書いてあったことなどスッカリ忘れていると思いますので、すぐに問題集を解いても挫折感を味わうだけになりかねません。
このため私は、再度テキストを章ごとに読み直してから、その項目に対応する問題集(過去問)を解いていく、という方法をおススメします。
この際、問題集の解説だけではわからない部分については、テキストの該当部分を読み直しながら学習を進めます。
問題を解くことによって、テキストを読むだけでは理解できなかった部分も理解できるようになりますし、テキストには問題を解くために直接必要のない記述も含まれていますので、とにかく1周目にテキストを読む際は、余計なところで引っ掛からないように注意してください。
勉強法C:問題集のみを解いていく(最低でも3回は解く)
このようにして問題集を一通り解き終わった後は、問題集だけを再度解いていきます。(問題集は、最低でも計3回は解くようにしましょう)
ただし、宅建試験は試験範囲が広いため、問題集だけをイチから解いていると最後まで解き終わる頃には最初の内容を忘れてしまいます。
このため私は、問題集だけを解いていきながら、それと平行して補助的にテキストも通読するようにしました。
具体的にいうと、1日の勉強時間が2時間あるとすると、1時間は問題を解き、もう1時間はテキストを読む、という具合です。
この際は、問題集とテキストとは、できるだけ離れた範囲(異なる範囲)をするようにしました。
名付けて、「パラレル・ディスタンス勉強法」です。
問題集とテキストの平行学習(パラレル)、かつ、問題集とテキストの距離を離す(ディスタンス)という、私が編み出した勉強法です。大したことではありませんが、仰々しい言い方をして楽しんでいます(笑)
このパラレル・ディスタンス勉強法というのは、具体的には、例えば、学習範囲が1章から10章まであるとしたら、問題集の1章を解く日は、テキストの6章を読み、問題集の2章を解く日は、テキストの7章を読むという具合です。
こうすることによって、覚えた知識を忘れにくくなります。これを3周ぐらい回したと思います。
それと、最後の1ヶ月ぐらいは、テキストに掲載されていたゴロ合わせや重要事項をまとめた表などのコピーをとって、通勤途中に見るようにしていました。
勉強法D:模試を受験する(又は予想問題集を解く)
宅建試験を受験する場合は、独学の場合であっても、模試(模擬試験)は受験しておいた方がよいと言われることがあります。
模試を受験することにより、自分の学習の進み具合の確認ができ、自分の苦手分野、弱点を把握することができますし、順位が出ますので自分の実力を知ることができますので、ここで把握した弱点を、本試験に向けて集中的に補強していくことができます。
また、受験指導校が過去の出題傾向を分析したうえでの予想問題が出題されるため、その年の本試験に出題される可能性が高い問題を押さえることもできます。
そして、本試験と同じ時間・形式で行われるため、解答の時間配分やマークシートの解答形式、本試験での緊張感に慣れることなどの効果も期待できます。
模試にはこのように様々な効果がありますし、1回受験するだけなら数千円で受験できますので、時間が確保できる方は、受けるに越したことはないと思います。
模試としては、予備校が実施する模試を受験するという方法と、それに代えて予想問題集(模試)を解くという方法の2種類が考えられます。
私自身は、模試を受験するような時間的余裕がなかったため受験しませんでしたが、その代わりに「予想問題集」を解く、という方法で対応しました。
それぞれ、以下のページでご紹介していますので、参考にしてください。
独学で勉強する際の注意点
独学の勉強法は上記でご紹介したとおりですが、次は、独学で勉強する際の注意点について、下記でお伝えしていきたいと思います。
- わからなくても、気にせず前に進むこと。
- 悩みこんでしまうのが一番ダメ!
- 科目別に優先度をつけてメリハリを
- 勉強のモチベーションをいかに維持するかがポイント
わからなくても気にせず前に進むこと!
独学の場合は、通信講座や通学講座を受講する場合と違って、わからないことがあっても講師に質問したりすることはできません。
このため、わからないことが出てきた場合は、自分で悩むか参考書を調べるか、ネットで検索するなど、自分で解決するしかありません。
ただし、ここで深入りをしてしまうと、さっぱり前に進まなくなってしまいますので、これが独学の大きな落とし穴になってしまいます。わからないから悩む、、そして、解決できずに投げ出す。。。
こうならないようにするためには、気にせず前に進むことです。とにかく進める!
悩みこんでしまうのが一番ダメ!
悩み込んでしまってはいけません。
何度も繰り返すうちに、わかることが多くあります。テキストでわからなくても、問題集を解けばわかることもあります。一度解いてもわからなくても、二度目に解いたらわかることもよくあります。
ですので、とにかく悩み込むんでしまうこと、これが一番ダメです。この点には、くれぐれも注意してください。
科目別に優先度をつけてメリハリを
宅建試験の試験科目は、大きく分けて、宅建業法、権利関係、法令上の制限、税・その他の4つに分けられます。
この中で、最も重要なのが宅建業法で、次いで権利関係です。
宅建業法だけで、全出題数50問のうち20問が出題されます。そして、権利関係は14問です。
宅建業法(宅地建物取引業法)は、宅地や建物の取引に関するルールを定めた法律であり、重要事項説明や37条書面(契約書)など、宅建士となってからの実務において直接的に必要となる法律です。
出題範囲が狭いわりに出題数が最も多いため、最重要科目として得点源にすべき科目です。
また、権利関係は、民法、借地借家法、区分所有法、不動産登記法から出題されますが、14問のうち10問が民法からの出題となっています。
民法は、他の法律系や不動産系の資格試験においても必ずといっていいほど試験科目に含まれる科目であり、日常生活にも深く関わる分野ですが、出題範囲が広く、苦手とする受験生が多い試験科目になっています。
このため、いかに効率的に学習し、最低限の得点を稼げるかがポイントとなります。
法令上の制限と税・その他は、それぞれ8問ずつの出題ですので、できるだけ時間をかけずにポイントを絞って学習するようにしましょう。
宅建試験は、全問正解を目指す必要はありません。例年、7割程度が合格ラインとされていますので、科目ごとにメリハリをつけて学習することが大切です。
勉強のモチベーションをいかに維持するかがポイント
独学で宅建に挑戦する場合、実は、勉強を続けるモチベーションを維持することが一番大変です。
宅建試験に合格できるかどうかは、このモチベーションを維持できるかどうか、にかかっていると言っても過言ではないと思います。
つまり、最初に立てたスケジュールどおりに勉強すれば、きっと誰でも合格できると思うんです。
しかし、スケジュールどおりに勉強ができる人なんて、ほとんどいないと思います。私もそうです。
私の場合は、スケジュールを崩しながらも、なんとかスケジュールの修正を繰り返し、ぎりぎりのラインで最後の仕上げまで持っていってゴールを迎えるというパターンが多いです。
とにかく、最低限、テキスト1周+問題集2〜3周は回せるように、試験当日まで勉強を続けないといけません。
モチベーションが下がったときに、どのようにしてモチベーションを上げればよいか、私自身の経験をもとに、挙げてみたいと思います。
- 友人や家族など周りの人に、宅建試験を受験することを公表する。
周りの人に言ってしまうと、不合格になると恥ずかしいという気持ちから、頑張ろうという気持ちになりますよね。 - 勉強する場所を変える。
いつも同じ場所で勉強していると、だらけてしまいますが、そんな場合は、勉強する場所を変えるというのもいいかもしれません。喫茶店や図書館などで勉強してもいいですし、外に出るのが難しければ、家の中で、違う部屋に移動するだけでも気分転換になるのではないでしょうか。 - 何のために宅建試験の合格を目指しているのか思い返す。
そもそも何のために宅建の合格を目指しているのか思い返してみれば、またやる気もアップしてきます。 - 合格したら〇〇をする。といった計画を立てる。
合格したらご褒美で旅行に行くとか、ご馳走を食べに行くとか、色んな計画を立てるというのもいいですね。 - 1日に〇時間必ずやると決める。または、〇ページ必ず読むと決める。
具体的に数値目標がある方が、やる気が出ますよね。達成感も出ます。 - 根を詰めないで、余裕をもって。休憩を取りながら。
あまり根を詰めすぎると、精神的にも体力的にも持ちませんので、ほどほどに。 - 勉強の記録をつける。
今日は何ページ進んだ、何時間勉強した。という記録を毎日つけましょう。これをすると、達成感が出ます。逆に、今日はあまり進まなかった、、明日はがんばろう!という気持ちにもなります。 - 勉強が遅れてきたら、随時スケジュールを見直す。
スケジュールどおりに進まないから、もうダメだ、、間に合わない。とすぐに諦めてはいけません。ここからが勝負どころです。ここで踏ん張れる人が合格するんです。スケジュールどおりできる人なんていません。妥協できるところは妥協して、最低限・最小限の勉強内容に絞り込んで、スケジュールを見直しましょう。
宅建の独学に必要な勉強時間は?
次は、独学で宅建に合格するために必要な勉強時間や勉強期間について見ていきたいと思います。
- 勉強時間の目安は、300時間程度
- 6ヶ月前から勉強を始めるのが標準的
勉強時間の目安は300時間
一般的に、初心者が宅建試験に合格するためには300時間程度の勉強時間が必要と言われています。
私自身も、宅建に合格するまでに約270時間の勉強をしましたので、一般的に必要とされている勉強時間と概ね一致していますね。
人それぞれ、法律を学んだことがあるかどうか、予備知識がどれだけあるか、不動産業界に勤めているかどうかなど違いがありますので、300時間というのはあくまでも目安となりますが、とりあえずはみなさんも、この勉強時間を参考に、学習計画を立てていただければと思います。
6ヶ月前から勉強を始めるのが標準的
私が宅建試験に合格するために独学で勉強した期間は、約6ヶ月間でした。
1日の勉強時間は、全体6ヶ月のうちの前半3ヶ月間は1日に約1時間、後半の3ヶ月間は約2時間の勉強時間を確保しました。(1時間×3ヶ月+2時間×3ヶ月=合計270時間)
宅建の試験日は、例年10月の第3日曜日ですので、その6ヶ月前、つまり4月半ば頃から勉強を開始すれば、6ヶ月の勉強期間が確保できますね。
この6ヶ月間というのはおそらく、標準的な勉強期間だと思います。1日に確保できる勉強時間によって、3ヶ月程度で合格される方もいらっしゃるでしょうし、1年近く勉強される方もいらっしゃるかと思います。
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1日の勉強時間に応じた必要な勉強期間
次は、宅建の合格に必要な勉強時間が300時間とした場合に、1日の勉強時間によって、必要な勉強期間がどのように変化するのかについて、確認しておきたいと思います。
例えば、1日に3時間の勉強時間が確保できる方であれば、3ヶ月強の期間になりますし、1日に2時間確保できる方なら5ヶ月程度、1日に1時間しか勉強できない方なら、10ヶ月程度の期間が必要になると考えてスケジュールを組んでいただければいいかと思います。
1日の勉強時間 | 要する勉強期間 |
3時間 | 3ヶ月強 |
2時間 | 5ヶ月 |
1時間 | 10ヶ月 |
難易度・合格率と勉強時間を他資格と比較
ちなみに、宅建試験の合格に必要な300時間という勉強時間は、他の資格試験に比べると、どのような位置づけになるのでしょうか。
資格試験の合格に必要な勉強時間というのは、その資格の難易度と、ある程度の相関関係があります。
有名どころの不動産系・法律系資格を含めて一覧表にしてみると、以下のようになります。
資格名 | 合格率 | 必要な勉強時間 |
司法書士 | 約 4% | 3,000時間 |
社労士 | 約 6% | 1,000時間 |
土地家屋調査士 | 約 8% | 1,000時間 |
マンション管理士 | 約 9% | 500時間 |
行政書士 | 約10% | 500時間 |
宅建士 | 約 15% | 300時間 |
管理業務主任者 | 約 20% | 300時間 |
賃貸不動産経営管理士 | 約 30% | 100時間 |
このように、難易度の高い(合格率の低い)資格試験ほど、合格に必要な勉強時間も多くなっていますね。
こうやって比べてみると、宅建は、そこまで難しい資格ではない、ということもわかりますね。
ちなみに、上記の表には入れていませんが、人気資格の「簿記2級」は、宅建試験に近い難易度ですので、簿記の受験経験がある方は比較しやすいかもしれませんね。
簿記2級は、必要な勉強時間が200〜300時間、合格率は20%前後です。このため、宅建は、簿記2級とほぼ同じか、やや難しい難易度と考えていただければよいかと思います。
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宅建の勉強時間の配分・勉強スケジュール
それでは次は、宅建の勉強時間を、私がおススメする勉強法に沿って具体的に勉強時間を配分し、スケジュールを組んでみたいと思います。
- テキストを通読する 【60時間】
- 章ごとにテキストを読み、対応する問題集を解く【110時間】
- 問題集のみを解いていく【100〜150時間】
テキストを通読する時間(1周60時間)
まず、宅建の基本テキストは、600ページ前後のものが主流ですので、600ページとしておきます。
そして、1時間に10ページ読むとすると、1冊を通読するのに60時間かかることになります。
問題集を解く時間(1周50時間)
次に、問題集です。問題集の収録問題数は、四肢択一式で300問程度のものが主流ですので(多いものは600問ありますが)、300問としておきます。
そして、1時間に6問(1問10分)解くとすると(解説を読む時間も含みます)、全問を解き終わるのに50時間かかることになります。
具体的なスケジュール(合計300時間)
- テキスト1冊を読む ⇒ 60時間
- 問題集1冊を解く ⇒ 50時間
以上を前提に、どれぐらいの勉強時間になるのかスケジュールを組んでみると、次のようになります。
勉強内容 | 勉強時間 |
(1) テキストを通読する | 60時間 |
(2) 章ごとにテキストを読み、そこに対応する問題集を解く | 60時間+50時間 = 110時間 |
(3) 問題集のみを解いていく | 50時間×2〜3回 = 100〜150時間 |
合計 | 270〜320時間 |
以上のようなスケジュールになり、概ね300時間の勉強時間になってきますね。
これはあくまでも、ひとつの例ですので、実際にこれと同じようにスケジュールが進むわけではありませんが、参考にしていただければと思います。
仕事で忙しい社会人が勉強時間を作る方法
次は、宅建試験に独学で合格するための勉強時間の作り方について、ご紹介します。
- 帰宅してから寝るまでの時間で勉強時間を確保する
- 朝早く起きて勉強時間を作り出す
- スキマ時間で勉強時間を作り出す
- 睡眠時間を削って勉強時間を作り出す (あまりおススメできませんが・・・)
帰宅してから寝るまでの時間で勉強時間を確保する
私が宅建試験の受験勉強をしていた際は、毎日、仕事を終えて家に帰り、食事と入浴を済ませてから寝るまでの時間(約1時間〜2時間)で勉強をしていました。
やはり、この時間帯が誰でも一番確保しやすく、また、集中できる時間かと思います。
朝早く起きて勉強時間を作り出す
そのほか、朝1時間早く起きて勉強時間を確保する、という方法もありますね。
仕事から帰ってきてからの時間では、体が疲れ果てて勉強なんてできない、、という方は、朝早く起きる、というのも良い方法かもしれません。
私は、宅建試験では夜の時間だけを使って勉強しましたが、管理業務主任者試験の受験勉強の際は、朝1時間早く起きて勉強するということも実践しました。
私は、朝早く起きるのが苦手でしたので、この勉強時間の作り方は、けっこう辛かったですが、朝起きるのが得意な方には、いい方法だと思います。
スキマ時間で勉強時間を作り出す
ほかにも、スキマ時間(通勤時間、昼休みなど)を使って勉強することも考えられます。
私は、車通勤でしたので、通勤時間というのは使えませんでしたが、電車通勤の方にとっては、電車の中で過ごす通勤時間というのは、なかなか勉強するには適した時間なのではないでしょうか。
また、スキマ時間としては、昼休みの時間というのも、けっこう使えるかと思います。
私は、マンション管理士試験の受験勉強の際は、昼休みにスマホを使って勉強するということもやりました。
昼休みは1時間ありましたので、最低でも30分程度は余る時間がありますよね。この時間に、喫煙所でタバコを吸いながら、コーヒーを飲みながら、スマホで勉強していましたね。
その他にも、賃貸不動産経営管理士試験の受験勉強の際は、朝食(パン)を食べながらの時間や、その後のコーヒーを飲みながらの時間も、勉強時間にしていました(これは独学ではなく、講義動画を視聴していました)。
あと、司法書士試験のときは、暗記事項をまとめた手のひらサイズの小さな紙切れを自分で作って、移動中に歩きながらチラチラ見ながら、何度も何度も暗唱して覚えていましたね。
スキマ時間に音声で暗記する
最近、こんな便利なものを見つけました。暗記事項だけを濃縮して読み上げてくれるリスニング教材『GYUTTO-LEARNING(ギュットラーニング)』です。
月額 980 円のサブスクで、宅建など10種以上の資格が聴き放題になっています。
これなら車通勤でも使えますし、歩いて移動する時間にも勉強できますので、なかなか便利ですね。
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睡眠時間を削って勉強時間を作り出す (あまりおススメできませんが・・・)
あと、司法書士試験の受験勉強の際は、かなり体に負担をかけてしまいましたが、仕事の残業が多く、どうしても勉強時間の確保ができなかったため、夜の寝る時間を遅らせて、睡眠時間を1時間削って勉強していた時期もありました。
元々は6時間程度の睡眠時間でしたが、5時間まで減らしました(夜2時まで勉強して、朝7時に起きる)。その生活を続けた結果、体に異変が、、、ということで、あまりおススメできない方法ですが、短い期間であれば、瞬発力で乗り切ることも可能かもしれませんね。
短期集中の方が勉強効率は高い
このように、社会人の方が働きながら勉強時間を確保するのは、なかなか大変だと思います。
宅建合格に必要な300時間の勉強時間を確保するためには、1日に1時間ぐらいはすぐに確保できるとして、2時間もそこそこ頑張ればなんとかなるかと思いますが、3時間というのは、私自身の経験上、かなり無理をしないと確保できないと思います。
そこで、1日に2時間を確保するとすれば、300時間÷2時間=150日⇒5ヶ月という計算になります。ただし、毎日確実に2時間を確保するというのはなかなか難しいですので、少し余裕を持たせて6ヶ月ぐらいを想定しておくのがベターではないでしょうか。
1日1時間の勉強時間で10ヶ月というのも、やむを得ないかと思いますが、覚えたことを忘れてからまた覚え直すというサイクルが長くなり、勉強の効率が低下してしまいますので、その点はご注意いただきたいと思います。
もちろん、1日に3時間の勉強時間を確保できる人は、短期集中で3ヶ月というスケジュールも可能です。
短期集中の方が、繰り返しのサイクルが早くなりますので、勉強の効率は確実に上がります。
このことは、私が司法書士の勉強をした際に、強く実感しました。1日の勉強時間が増えると、こんなにも勉強の捗り方が違うのかと思い知りましたね。
1日の勉強時間が2倍に増えれば、勉強が2倍捗るといった単純な話ではなく、3倍にも4倍にも効率が上がるイメージです。1回転するのが早くなればなるほど、記憶の定着が効率的に進むんですね。
独学で宅建に合格する勉強法と勉強時間まとめ
以上、独学で宅建に合格するための勉強法や勉強時間について、ご紹介してきました。
最後に、ここまでの内容をまとめておきます。
- 合格に必要な知識は市販教材にすべて載っている
- ただし、独学には乗り越えなけらばならない壁がある
- しかし、正しい勉強法で勉強すれば独学でも合格できる!
- 最低限、基本テキストと分野別過去問題集が一冊ずつあれば合格できる
- テキストは、噛み砕いた解説とメリハリが大切
- おすすめの勉強法は、テキストを通読→テキストを章ごとに読み直しながら対応する過去問を解く→問題集だけを再度解く(3周)
- 独学でも、模試(又は予想問題集)は、取り組んだ方がよい
- 独学では、悩み込むんでしまうことが一番ダメ。とにかく前に進むこと。
- モチベーションの維持が一番大変なため、維持するための工夫が必要
- 必要な勉強時間の目安は300時間
- 要する勉強期間は6ヶ月前後 (3ヶ月〜10ヶ月程度)
- 勉強時間は、夜以外にも工夫すれば作り出せる(早起きする、スキマ時間など)
- 短期集中の方が勉強効率は上がる
独学は、確かに通信講座や通学講座を受講する場合に比べ、デメリットも多くありますが、多くの方が独学でも合格しているという事実もありますし、私自身も、まったく法律の勉強などしたこともない初学者でしたが、半年間の独学で合格することができました。
このページでは独学特有のデメリットをできるだけ払拭できるような勉強法について記載してきたつもりですので、この記事を参考に、宅建試験に独学でチャレンジし、見事に合格を勝ち取ってください!
宅建の独学にかかった費用
ちなみに、私が宅建試験対策に要した費用は、テキスト・問題集の購入費用として、16,200円でした。
これは、独学ならではのお安さです!
このほかに、宅建試験の受験手数料として、8,200円がかかります。
私が実際に購入したテキスト等の教材は以下のとおりです。
【テキスト 1冊】
- 宅建学院「らくらく宅建塾」
⇒ メインのテキストとして、この1冊のみを使用しました。
【問題集 3冊】
- 宅建学院「宅建士問題集 過去問宅建塾〔1〕〔2〕〔3〕」
⇒ メインの問題集として、このシリーズのみを使用しました。
【その他参考書 1冊】
- 宅建学院「ズバ予想宅建塾直前模試編」
⇒ 直前期に、模試を解いて力試しをしたり、法改正や出題予想ポイントなど情報収集に使用しました。
独学による宅建試験の受験結果
私が半年間の独学で宅建試験を受験した結果は次のとおりです。
平成16年度合格 : 50点満点中、42点 (合格ラインは32点)
下の写真が、宅建試験の合格証書です。財団法人 不動産適正取引推進機構 理事長の名で発行されています。(当時は「宅地建物取引士」ではなく、「宅地建物取引主任者」でした)
遅ればせながら、宅建試験の合格から17年が経過した令和3年に、ようやく宅建の資格登録をしました。
独学が不安な方は通信講座もおすすめ
なお、独学が不安な方や、短期合格を目指したい方には、通信講座もおすすめです。
下記の記事では、宅建のおすすめ通信講座を徹底的に比較してランキング形式でご紹介しています。費用の安さや合格率の高さ、サポートの充実度など項目別のおすすめ講座もご紹介していますので、参考にしてください。