ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています  90歳を過ぎても素晴らしき人々

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    コミュニケーション力       「すばらしき人々」

 私の住んでいる町は、2万人足らずの町です。町を歩くと色々な高齢者
に出会います。先方は知らなくとも私は顔見知りの方々が多くいます。
 90歳を過ぎても素晴らしく、美しいと言える高齢者も多くいます。
その人達に共通の何かが想像されます。私自身が90歳を過ぎても美しいと
言われる人生を夢見ています。
 その人々について観察と会話から、その生活ぶりについて述べてみます。

マーク 
  私の想像と憧れですが、素晴しい人達は共通の何かがあるように思えます。
 感じたままを述べてみます。

 1)姿勢
 
 
何時お逢いしてもその人達は、姿勢が素晴らしい。
 胸を張り、顔を上げ、目線がしっかりと前を見つめて、歩幅が無理なく広く何時お逢い
 しても穏やかな笑顔です。高齢者は、歩幅が狭くなり、小股で俯き加減に歩く方が
 多いのです。
 そのような方は、どこか具合が悪いのではないかと心配になります。この街で20年以上
 住んでいますが、姿勢の良い方は、街中でお逢いすることが長いような気がします。
 いつの間にかお逢いしなくなった方は、歩幅が狭く、俯き加減の人が多いように思います。
 
  杖を使っていても堂々たる風格があります。視野も広いようです。
 体力や意識が定かでないような方は、人の認識がなかなかできなく、目の前に近づき声を
 かけると初めて誰かが認識できるようです。
 何時までも素晴らしいと言われるためには、姿勢を美しく保って欲しいものです。
 元気な方は、遠くからでも手を挙げて挨拶をかわします。

 2)交流・外出
   素晴しい高齢者の方とは、よく出会います。閉じ籠りではないということでしょう。
 外出し街中を歩くということは人々との交わりやグループに参加しているのでしょう。
 何時お逢いしても楽しいお話をしてくれます。
 特にこれからの季節は散歩に最適な気候です。自然の移り変わりなどに気持ちを向けれ
 ば楽しいことが一杯です。人との交流を常にもっている高齢者は、服装が素晴らしく、
 清潔で身ぎれいというのでしょうか、 素晴らしいムードが溢れています。

 3)食事に気遣い・外食
  スーパーでよくお会いします男性の高齢者の方は、お元気ですかと声掛けをしますと
 「餌を買いにきました。作らないと誰も餌をくれないからな」との話をして、悠然として
 スーパーの中に 消えて行きます。
  買い出しや台所の調理は、運動以上に素晴らしい運動となるのではないでしょうか。
 料理を考え、外出して買物に出かけますと、知能を使い、体を動かし、味覚を味わい、
 運動のための運動より、人間としての全てを使う運動と言えるのではないでしょうか。
 街でよく出会う高齢な方は、台所の仕事を気持ち良くしているようです。
 顔をしかめてしまって、ウオーキング・ジョッキングを義務のようにしている方は、いつの
 間にか姿が見えなくなっている方も多々です。買い出し等で楽しく過ごすことが一番です。

 4)明るさ・こだわり
  元気で溌剌としている高齢者は見た目も明るく、日々楽しそうです。笑顔が素晴らしい。
 会う人々に常に笑顔でお話をされています。話す相手がいない方は、お逢いするたびに
 日常の不満、体の不具合、人のうわさ話が多いようです。常に不満をしゃべっていますと
 人は離れて行きます。
  小さな事にはこだわらない高齢者は、明るく一緒にいても多くの経験則を学ぶことが出来、
 ある女性の方は、姑・夫の看護・介護の様子を色々と話をしてくれますが、大変苦労したと
 想像します。それが、実に楽しそうに話してくれます。経験上から自分自身の健康や生活
 に気を遣っている様子が良く判ります。
 
  私たちのこれからの人生や介護などについて実に多くのことを学ばせて頂いてます。
 こころを込めてお世話をされた方には素晴らしい経験上の話が一杯詰まっています。
 感謝で一杯です。

 5)ほどほどのお酒
  素晴らしい高齢者は、ほどほどのお酒を楽しんでいるようです。本人が飲めなくともその
 場を楽しむムードを待っているような気がします。ほどほどのお酒は話が弾みますし、
 わだかまりが無くなるように思えます。
  神戸市近辺は、灘の生一本が有名な酒ところです。酒蔵を巡回するイベントがあります
 が、そのお話、よかった酒蔵の話などなど、酒造会社より、宣伝費を貰ってもよいほどに話
 していただきます。私が行きたくなったり、そのお酒の銘柄を探したり、購入してみたくなっ
 たりと、どんどん楽しみが広がることがよくあります。
  ほどほどのお酒は大いに楽しみましょう。飲めなくとも雰囲気や会話は楽しいものです。

 6)家事・運動
  家事と運動は同時にできるのではないでしょうか。3)に述べていますが、一人暮らしの
 方は自分で全て準備し、作らなければなりません。夫婦での生活・子供さんとの生活の中
 にも自分の役割を持ち、家事をすることは最大の運動と思います。
  男性は、仕事から離れるとすることがないとよく聴きますが、家事の中に自分の仕事を
 見つけて下さい。
 そうすることで自然と近隣の方々と知り合い、挨拶からおしゃべりができるようになります。
 勝手な想像ですが、女性は、長年家事を受け持っていることで運動ができ、頭を使い、
 男性よりも長生きするのではないでしょうか。今日から、運動代わりに家事の中で自分の
 役割を見つけて下さい。男性も大いに台所に立ち、女性の仕事を奪いましょう。

 7)痩せすぎていない
  いつの間にか街でお逢いすることがなくなった方は、痩せすぎの方が多いような気がし
 ます。
 お逢いしなくなった理由を聴いてみますと、骨折が多く、外出をしなくなってしまうようです。
 悪循環で閉じ籠り、益々気分的にも老化が進むのではないでしょうか。外に出て自然の
 移り変わりを目で肌で感じて下さい。
  体が、多少不自由でも外に出れば多くの友達にも逢うことができますし、日本の豊かな
 四季折々の自然の変化に出会うことができます。多くの人達があなたを待っていることと
 思います。

 8)知的な生活
 
 知り合いの高齢な方で麻雀をするようになり、元気が出てきた方がいます。
 麻雀が、知的かどうかは良く判りませんが頭を使いおしゃべりをすることは間違いありま
 せん。
 友達とのゲーム等もいいように思えます。但し、たばこを吸いながらのゲームはやめて
 欲しいものです。
  ダンスをされている方もお元気なようです。これらに参加するから元気なのか、元気だか
 ら参加できるのか、どちらも正解と思います。家で閉じ籠るよりははるかに元気になり、
 楽しみを持つことが、明るく元気で楽しい日常を送ることができると信じています。

 9)介護経験
  面白いことに介護経験のある方、現在介護中の方は元気な方が多いようです。
 そのような日常にある人に共通なことは、一人で抱え込まない、社会資源を上手に利用し
 ている方が殆どです。
  奥様(要介護度5)を自宅で介護されている90歳過ぎの方の言葉
 「外でどのような嫌なことがあっても、妻のベットサイドへ行くときは、作り笑いでもいい、
  笑顔で話かける」と話されていました。素晴らしい言葉に感激したものです。

  ある女性の話「私は、夫の親と夫を看取りました。皆穏やかな終末でした。自分自身も
 同じように穏やかに大往生をするための勉強をさせていただきました。今を生きること、
 日々自分を生きること、そして自分の最後に備えて準備することなど、多くのことを亡くな
 った先人達に学びました」とお話でした。

 何と素晴らしい教えではないでしょうか。
 この女性は、90歳を過ぎています。これらの高齢者は、今を楽しく生き、人との会話を楽
 しみ、今後の準備に心しているような方が多いようです。
 大切な人の看取りを立派に果たした方は、生活に潤いを持ち自分の準備に楽しみながら
 実行しています。
 私たちが感心するような日々を送っている方は、何故か介護経験があり、それを立派に
 努めてきた人達です。

10)あせらない・悠々としている
  有料老人ホームを自ら選び新しい生活を始めた女性の方
 「一応有料ホームに入ることを決めましたが、いやになればいつでも帰ってきますから
 よろしくね。遊びに来てください」と大笑いをして話してくれました。

  小さなことにこだわらない、少々のことで慌てないが素晴らしい結果を招いているようです。
 しかし、その人達は、準備と自分の意思がしっかりとしていて、自己決定を常に考えている
 方のようです。
 医療にしても、生活にしても本人が主役です。常日頃から、関係者に親族の方に自分の
 意思を伝えておくことが大切です。
 多くの高齢者の方々は私に多くのことを学ばせてくれています。

  Anti Aging よりは With Aging で楽しく生きたいものです。年齢に抵抗せず、
  年によりそって自然体で前向きに、自分らしく生きてゆきたいものです。
  自然からは多くの人々が生かされています。感謝し、命を大切にしたいものです。

 

                                  シニア ライフ アドバイザー
                                      岡 島 貞 雄
                               

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