ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています            高齢者のサイン

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マーク     高齢者のこころのサイン 

 特別養護老人ホームや在宅で介護を受けている方々の中には
「言葉が出ない・自分の意思を相手に伝えること」ができない高齢者が多くいます。

 そのような方々の意思をどのようにくみ取ればいいのでしょうか。
多くのサインが出されていると思います。
認知症高齢者や知的障がいの方々を見つめ、サインを見落とさないようにすることが
求められます。
施設等で働いている方々にお願いしたいことがあります。介助の折に、世間ばなし
をしながら介助をしないで下さい。
しっかりとその人と向き合って介助して欲しいものです。


マーク
1) 認知症高齢者で何時も機嫌が悪く見える方「いかり」

  認知症であれ、私達であれ機嫌が悪いのは何かの原因がある筈です。
私達は、言葉に表し、自分の意思として伝えることができますが、自分の意思を伝え
ることができない方々は自分の意思を伝えるために機嫌が悪くなることもあります。

 周辺症状は何かの原因があります。周辺症状として機嫌が悪い場合には認知症の方
でなく、此方側の対応に原因があると考えるべきだと思います。 機嫌が悪いサイン
を見逃さずにその原因を考えてほしいものです。「いかり」には、本人自身に対する
いかり・思うように意思を伝えることができない動けないいかり・衰えることに対す
るいかり等など。自分を取り巻く人に対するいかり・自分の意思に合わない管理的な
強制。支援という名の強制など。

 色々なこころの状況を把握することが大切です。そのためには、介護・看護職の
方々と親族との協力関係を必要とします。施設などで生活している高齢者のご家族に
お伝えしたいこと、職員はこころをこめてあなたの親を介護しています。
「ありがとう」のひと事を忘れないように・・・・。

2) 寂しそうな方「孤独」

 年をとり自分の思うように動けない、言葉にできないなど多くのハンデキャップを
背負って日々生活しています。そのような方は、常にひとりポッチとの感覚がありま
す。孤独感と不安感が認知症には最も悪い影響を与えるものと考えます。
以前にも書きましたが、大家族の中での孤独ほど寂しいものはありません。
おじいさん、おばあさんを家族として仲間に入れて下さい。仲良く会話ができる空間
があれば認知症にならずに、また、現在認知症の方も快方にむかいます。

 施設でも自分の家を離れて寂しいのです。寂しさを理解し少しでもその心情を察し
て日々の生活を支えてあげて下さい。職員も家族も力をあわせて・・・。
施設で生活をしはじめて、みるみる元気になる方がいます。職員の素晴らしい接し方
が元気にさせたと考えています。

3) 抑うつ的な方「無気力」

「うつ」的な無気力を取り間違えて認知症と決めつけている状況に出会うことがあり
ます。私も含めて高齢になると「ふっと」無気力感に襲われることがあるのです。

それを年のせいとか、認知症が始まったなどと決めつけないで下さい。
抑うつ的な無気力は、まわりの方の対応により元気を取り戻してきます。
仲間に入れ、会話を交わし、一人ではないことが判ればきっと元気が出てきます。

4) 「あ・う」など意味がよく判らない言葉の多い方「発言」

 施設では、言葉にならない「あ・う」など言葉にならない言葉を発している方が
います。このような方々は意味のない言葉を発しているのでしょうか。
決してそうでなく自分を表現することに一生懸命なのです。
意味不明なようでも決してそうでなく、ひとつひとつ意味があると思います。
高齢者を日常からよく観察しこころをこめて接している方には、その言葉に意味が
あることが判るようです。

私が、施設を訪問しますと言葉が出ない高齢者の方の状況を説明してくれる職員の方
がいます。素晴らしいと思うと同時に感動します。一見意味がないと思える言葉や
表情に、気配りをお願い致したいものです。
それが最もよく理解できるのは家族かも知れません。
施設での生活が始まってからが真の介護と考えてほしいものです。
施設に入れば終わりではなく、介護の始まりです。

5) 静かに欲望を出さない方「受け入れ」

 一見抑うつ的で静かで全ての欲を放棄したような方がいます。
自分のおかれた環境を受け入れなければしょうがないと、諦めているのです。
幸せを受け入れての静かは、いいのですが、諦めからくる静か(受け入れ)では
あまりにも寂しすぎると思います。欲しいもの、したいこと、話したいことなど多く
の欲望は持っていると考えます。普段のこころ遣いで察して上げて下さい。まだまだ
元気に日々が送れる高齢者も多いのです。

 現在施設で生活している方々は、戦後の食べ物もない時代に子供を育て現在の裕福
な社会創りに貢献してきた人たちです。特に、女性の方は、自分の夫を介護し、最後
まで面倒を見て一人になり施設での生活を始めた方が多いのです。
最終局面の日常を送っているのです。こころを尽くし、短い時間を安らかに楽しい
日々を過ごしてもらいたいと思っています。
                        シニア ライフ アドバイザー
                               岡島貞雄 


      

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