ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています        介護と看とり

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     マーク            「介護と看取り」

     看取る人と看取られる人はお互いの信頼関係と相互の愛により、
    大きく状況が変わると思います。

 はじめに

  最近「死」について簡単な言葉が多くなったような気がします。
 「死」は亡くなる人と見送る人のこころの問題が大きく影響します。
 多くの親族を見送った経験より、私なりの亡くなる人、看護・介護する人の立場について述べてみます。


マーク 看取る人

  
自分の愛する人が、余命日数を告げられた場合、あなたはどのような行動をとるでしょうか。
 大切な人の希望を可能な限り実現できるように努力をすることと思います。
 死を受け入れれば受け入れるほど・・・。こころを尽くすことでしょう。
 安心で静かな残り時間を過ごして欲しいと思うのが当然と考えます。逝く人が主役です。


1. チームを組む


  
病で苦しんでいる人、年老いて人生の終末期の人の希望を可能な限り受け入れることが大切です。
 医師・看護師・介護職の方・親族・近隣の人々その他多くの人々の協力体制が必要となります。
 その中でやはり、親子、夫婦などの愛情が最も重要なこととなるのではないでしょうか。

 病院へ入院したから、老人施設で生活を初めたからこそ、親族の取る行動が大切となります。
 親族の窓口となる方がリーダーとして多くの職種の方々の調整が大切です。
 親族がばらばらで意見の主張をしている場面に出会うことがありますが、
 これは、病院でも老人施設でも混乱の原因となりチームが乱れます。


2. 言葉


  
言葉は大切です。何気ない言葉で傷つくこともおおくあります。
 入院中の婦人の言葉 「私のことを私の頭越しに看護師さんと話し合っているの」
 と訴える高齢者が居ました。これは、子供と看護師の話会いの状況です。
 例え、判断能力が定かでない方でも自分のことを話し合っているのは判っているのです。
 本人を中心にして話して欲しいものです。

  高齢者は、頑張って今の社会を築いてきた功労者です。
 言葉には尊敬の念を込めて、話しかけて欲しいのです。
 尊敬の念を込めた言葉は、高齢者を安心と安らぎのムードに包み込むことと考えます。
 お母さん(父)さえいなければとか、介護する立場の生活上の不満をお母さん(父)の前で
 話さないでほしいものです。
 例え、認知症と言われる高齢者でもしっかりとあなたの言葉を聴いています。
 言葉は薬にも毒にもなります。


3. 余裕


  
忙しくとも高齢者の前では余裕のある態度をとって欲しいのです。私の知り合いで95歳になる方が
 在宅介護をしていますが、その方はどんなに嫌なことがあっても寝たきりの奥様のベットサイドでは笑顔で
 話しかけると言っています。素晴らしいことで思わず涙が出る気持ちです。

  忙しそうな行動は介護を受ける方は「申し訳ない」との気持ちになります。
 それはストレスとなり終末期の方であれ、まだまだの方であっても安心で安らかな気持ちが消えるのです。
 言葉に表せない方でもこころで感じています。少し、ゆっくりとした行動が欲しいものです。

4. 笑顔

  
話をする場合には常に笑顔がほしいものです。ミラーリングとなり、こちらの表情は相手に映ります。
 楽しそうな顔や笑顔は相手も同じような表情になり、その反対は不愉快な表情が映りだされること
 でしょう。余裕をもって対応しなければ笑顔は出てきません。

5. 尊敬

  
高齢者に対しては常に尊敬の念を込めて態度や言葉をお願いしたいものです。
 例え認知症と言われる高齢者であっても、尊敬の念を込めた言葉かそうでないかは本能的に判るものです。
 高齢者やハンディキャップのある方は、他人の手を借りて日々生活しているために、あなたの態度を敏感に
 感じ取ることでしょう。
  言葉に余裕をもって、笑顔で尊敬の念を込めて話しかける時には、人々は安心と安らぎをもつことが出来
 ると思います。そして多くの人々とチームを組み、人生最終章に立ち合いたいものです。


マーク 逝く人

1. 希望


  
自身が気づいた時、また高齢と気づく年齢となれば、自身の生き方、大切なもの、治療に関すること、
 終末期の対応などを関係者に伝えておくことが大切です。
 それを受けて関係者は、こころを込めて対応してくれます。
 希望も不明で、特に終末期の治療は、親族として、子供として、悩みに悩むものです。例え逝く人の希望を
 確認していても悩みます。逝く人が、最後まで意思の伝達ができる場合はそれに従うことが最も大切で、
 逝く人の意思が確認できておれば最後の決断は、逝く人の気持ちを優先しやすくなります。
  しかし、残る人々は悩みに悩むことでしょう。それは、悩む人の人生に大きくプラスとなります。

2. 書き留める


  
信頼できる人に口で伝えておくことは大切ですが、これは、不確実性が多く、
 自分の意思の伝達にならない場合があります。
 自分の意思を確実に伝えるためには書きとめておくことが必要でしょう。
 その方法として、エンディングノートがあります。多種多様なノートがありますが、
 こだわる必要はありません。
 毎年書き直すとか、自分の考えが変わるたびに書き直すこともいいと思います。

  エンディングノートは書くことが大変なようですが、書くことにより今後の自分の人生の修正ができます
 し、書く過程で自分のこころが整理でき、落ち着くような気がします。
 エンディングノートを書きそれを宝物のように仕舞い込まずに関係者と話し合っておくことが大切です。
  最近、公正証書にすることもよく聴きます。例えば「延命治療に関する公正証書」などに。
 自分の意思を明記しておけば、医師や関係者には理解されやすいと思います。


3. 子供や親族との普段よりのコミニケーション


  
希望をつたえたり、書き留めておいたりすることを実現するためには普段からのコミニケーション
 が大切です。多くの場合希望を実現してくれるのは介護(残される人)人とか信頼関係にある人でしょう。
 自分の希望通りに実現してくれる人々との信頼関係を構築しておくことです。
 そのためには普段からの信頼関係を結んでおくことが大切でしょう。

4. 自分が亡き後の夢

  
自分が亡き後の夢を語っておくこともいいことかも知れません。
 死後の世界は有るとか無いとかの問題でなく。
 「死後、墓も何もいらない」と友人に話しますと「お前さんが亡くなった後墓に集まり、君の悪口を
 肴に一杯やる機会位は欲しいものだ」と、友人が、肴に酒を飲み交わすそうです。
 人は、亡くなった後にも親族や友人の心の中で生き続けているのです。
  残る人に素晴らしい夢を残してこの世を去りたいものです。

5. ゆっくりとした時間


  
最後はゆっくりとゆっくりとした時間を過ごしたいものです。朝起きたら息がなかったという具合に。
 しかし、神のみぞ知るです。大暴れして逝くかもしれないですし。
 その時はよろしくと常にお願いしておきましょう。


  
飢えない程度の食事・不潔と言われない程度の清拭がお願いできれば、私は文句はを言いません。

                                                    シニアライフ アドバイザー
                                              岡島貞雄



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