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マーク  高齢者虐待と成年後見制度
 
 2010年度の兵庫県の高齢者虐待が発表されました。
兵庫県のデータも全国的なデーターもほぼ  同じような比率の結果が出ています。
高齢者虐待と児童虐待が新聞紙上の記事で見るたびにこころを痛めています。
戦後、自分が食べるものも食べずに頑張って今の平和な社会を作り上げてきたのは、
これら虐待を受けている高齢者です。

 施設等では、表に出ない虐待もあると思います。
NPO法人市民後見ひょうごはこの問題に関与することが大切と考えています。
兵庫県の高齢者虐待に付いて述べてみます。(参考記事は神戸新聞)


マーク  2010年度の高齢者虐待件数

 
兵庫県内の高齢者虐待は、2010年度852件となり、高齢者虐待防止法が施行されて以来
最も 多かったことが県のまとめで分りました。

・10年度県内各市町村に寄せられた高齢者虐待や相談通報 ⇒ 1211(大幅な増加)
・家族による虐待が疑われたケース ⇒ 1189
・施設職員が虐待したとされる件数 ⇒ 22
・家族による虐待 ⇒ 852件(前年度に比較して155件の増加)
 852件の虐待は、高齢者虐待防止法施行後、06年度以降で初めて800件を超えました。

・家族からの虐待は70%が以上が女性高齢者・虐待者は息子が最多で40%を占めています
・次いで娘が20%、その他夫16%・妻7%・嫁5%など

・暴力等身体的虐待が60%以上(全国では63,4%)
・暴言をはくなど心理的な虐待が34%(全国では39%)
・経済的な虐待が25%・ネグレクトが23%  (重複例がある)

 これらの傾向は全国的にほぼ同じであり、年度別にみても大きくは傾向として変わりません。

・対応は、一時入院や緊急一時保護のより、虐待者と高齢者を離れさすが26%
・助言や指導が74%
・施設による虐待は、尼崎・西宮・加古川市内の特別養護老人ホームの職員が3件確認
  職員が入所者の頭を平手打ちなどの事案など。(全国では、26・3%増加の96件)
  各市の指導による再発防止が図られたとされているが、私なりの考えを述べてみます。

 家庭での虐待防止に付いて

  家庭で自分の高齢な母や父の介護をしている方は本来優しくて高齢両親の介護に
 頑張っている方と思います。まだまだ認知症の方を恥ずかしいことと考えている方も
 いるようです。認知症は病気です。明日の私たちかも知れません。

 私の意見ですが「開かれた介護」と「閉ざされた介護」のことを述べました。

 現在の社会には多くの疾病者や要介護者を抱えている方もいます。
 社会資源を利用すれば一人で抱え込まなくとも手を差し伸べてくれます。
 民生委員の方等に相談をかけて自分の時間が持てるようにして欲しいものです。

 「開かれた介護」で「助けて下さい」「一人で悩んでいます」等など言える関係作りに
 も気付いて欲しいものです。 介護は一人ではできません。

 家庭では、夫婦協力することが介護の基本です。
 「あなたの親だから」と言っている方に出会います。
 認知症であれ、身体が不自由な方であれ、全ての人は人間としての尊厳がありますし、
 どんな人でも自分の尊厳を守るために他人と子供と自分自身とさえも戦っているのです。

 素晴らしい笑顔を喜びとして感じて下さい。
 次にどのような笑顔が出てくるかを楽しみにして下さい。それが介護の喜びです。

 施設での虐待防止に付いて

 施設では、眼に見えない虐待があると考えています。
 優しすぎて過剰管理をする職員、忙しすぎて(そのようなふりをして)見て見ぬふりをする
 職員、 利用者の意思を考えて欲しいものです。

 大勢の利用者を抱えている事情はよく判ります。
 介護・看護職員は、気遣いが大切です。
 目に見えない虐待もあることに気づいて欲しいものです。

 施設での生活環境を改善するために必要なことは、第三者の目が大切です。
 介護施設も社会の一つです。決して特別ではありません。 利用者の家族、第三者の目。
 素人と言われる人々の意見を大切にして下さい。

 このHPにもでてくる「A」さんの家族はどのようにすれば施設職員と協力関係が構築
 出来るかを常に考えて施設に通っています。

 「A」さんは、3年前に看護師より「Aさんの命はもう駄目です」と簡単に宣言されました。
 現在の「A」さんは、イエス・ノーの意思がはっきりと出来るようになり、職員の素晴らしい
 気遣いと家族の協力で幸せな日常を過ごしています。

 1日に何回笑ってくれるかを楽しみにして、職員も優しく、家族も頑張って。
 多くの協力できる体制を構築することが、高齢者虐待防止に大きく影響するものと確信
 しています。

 第三者として、成年後見制度を利用して後見人等の冷静な客観性を持った目が必要です。
 後見人として施設で生活している方を支援している方は可能な限り施設を訪問し、
 カンファレンス会議等に出席して意見を述べて欲しいものです。

 成年後見制度と虐待防止

 
成年後見制度を利用することで多くの社会資源を利用することが可能になります。
 また、冷静な眼でみて判断することも出来ます。

 在宅介護をしている方、介護保険を成年後見制度の利用により上手に活用して下さい。
 私も在宅介護の経験がありますが、どのようにすれば時間に余裕が出来るかを妻と二人で
 考えたものです。
 しかし、身内の考え方はやはり狭い範囲となり勝ちです。
 成年後見制度を利用することで全て介護から手が離れると言うことでなく、後見人等と
 家族が協力して介護保険や在宅看護のより良い利用方法を考えてみませんか。

 時間の余裕ができましたら、介護の質も向上するものと確信します。
 後見人・家族・子供・在宅ヘルパーのチームワークが求められます。

 成年後見制度を勉強している方にお願いです。
 法律のみでなく認知症や高齢者の心理を勉強して欲しいものです。

                            シニア ライフ アドバイザー
                                 岡島 貞雄  




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