ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています  コミュニケーションに気をつけたい言葉と言動

   Top page

    コミュニケーション力       「高齢者とのコミュニケーション」

 老人施設や高齢者の集まりに参加しますと会話が弾む場合と言葉もなく
静かな空気を感じる場合、なんとなくバラバラな空気を感じる場合があります。
 話している本人は気づかないのですが、会話にどこかに上からの目線と思われる
言葉があるような気がしてなりません。
本人は優しい人なんですが、「する人」「される人」的な言葉が随所に出ています。
 「介護する人・される人」「支援する人・される人」「見守りする人・される人」等々。

マーク 
 1. 禁止と命令

  老人ホームでよく見かける光景ですが、優しそうな職員が優しい言葉で危険
 ですから、やめなさいという言葉を耳にすることがよくあります。確かに危険が
 予想される場面もありますが、体の不自由な人や判断能力が定かでない方に
 とっては意味のある行動かも知れません。一方的にやめなさいでなく、少し、
 間をおき、高齢者の行動を静かに観察してから、言葉をかけて欲しいと
 思います
 
 安全と自由のバランスの問題とは考えますが、本人にとっては意味のある
 大切なことかも知れません。高齢者と会話を交わし、その上で危険である旨
 話し、高齢者が理解できる言葉を探して欲しいものです。小人数で多くのお世話
 をしていますから、時間的には大変とは思いますが、高齢者にとってはその
 ひと言で自分を閉ざしてしまうこともあるのです。
 

 2., 注意と脅迫

  言葉の中に常に「注意」的なものが含まれている職員を見かけることがあり
 ます。話している人はその心算がなくとも聴いている方にとっては注意されて
 いるように感じることもあります。
 相手の気持ちをしっかりと理解してからの注意は意味を持ち、聴く方もその気に
 なりますが、常に人を諭すような言葉つきの職員も時々見受けられます。
 「私の言うことが聴けなければ知りませんよ」との言葉を使う人。
 「君のような人はよそでは通用しないよ」などと介護職員に言っている偉い人
 の言葉は脅迫言葉になります。注意は、心を込めて相手を理解した上での言葉が
 大切です。
  「私の言うことを聴かなければどうなっても知りませよ」のような言葉は
 脅迫にも受け取れそうなこともあります。

 3.常に質問する人

  「どうして」「何故」がよく出て来る人はいませんか。自分の意見と違う
 場合によく出て来る言葉です。少し、判断能力が衰えた高齢者に対しては
 どうして・何故という前に目線を合わせて静かに話しかけて欲しいものです。
  認知症であれ、体の不自由な人であれ、その人たちの言葉や行動には意味が
 あるのです。その意味を理解した上で自分の知りたい質問をして下さい。
 「どうしてそのようなことをするのですか」この言葉を常に使う人がいます。
 自分の思い通りにならない場合によく出て来る言葉です。体の不自由な人や
 意思能力だ定かでない人は常に質問されるとついて行けません。 

  4. 激励

   老人ホームでよく見かける風景ですが、「頑張りましょう」という言葉です。
 同じ「頑張りましょう」でも高齢者は職員により受け取り方が違うようです。
 リハビリの時間でも頑張りましょうと言われて嫌な顔をする高齢者と嬉しそうな
 笑顔になる方がいます。職員のその時の態度や言葉づかいが大きく影響している
 ようです。
  激励は、私達でもうれしい場合とそうでない場合があります。成果が
 上がっている場合には激励はうれしく受け取ることができますが、
 そうでない場合には「これだけ頑張っているのに・・・」と激励が反対の意味を
 持つ場合もあるような気がします。
  老人施設の高齢者は、気分が乗る時、そうでない時など色々です。
 自分の体を動かすことが大変と感じる時、しゃべりたくない時などなど、観察力
 と想像力を働かせて高齢者と接して欲しいものです。

 5.忠告と解決策を常に与える人

  本人が、答を出す前に「それは間違っていますよ。こうすればいいですよ」
 などなど先々に回答を出す人を見かけることがあります。
 電話相談や面接相談に従事していたことがありますが、回答とか解決策は相談者
 本人に考えて頂くための参考でしかないと考えていました。

  本人(相談者)が主役です。本人が考えることで素晴しい答えが得られる
 のではないでしょうか。ゆっくりと話を聴き、ゆっくりと考える時間を相談者
 には持ってもらえればうれしいのですが・・・。ゆっくりと話を聴いて下さい。


                      シニア ライフ アドバイザー
                          岡 島 貞 雄



Top page


終末ケアに関わる人々 老人施設での安心感 死生学
高齢期の3ステージ モリー先生との火曜日 夫婦介護
看取り Gerontologyとは 老成と老衰
孤独について 生と死 認知症と拘束
老いと時間 老いには夢がある 生きると自立
老人施設での安心感 介護老人福祉施設の優しい人たち 高齢者のリハビリ
高齢者介護と延命について  介護と終末ケアについて(1) 高齢者虐待
介護施設のターミナルケア(1) 介護施設のターミナルケア(2) 介護と胃ろう
老人福祉施設と往復切符 高齢者のこころのサイン すばらしき人々
高齢者(神様)との会話 気をつけたい言葉と行動 小さな復活
高齢者介護に思うこと 高齢期の3ステージ 認知症と拘束
老いには夢がある 映画(海洋天堂)と成年後見制度  介護と看取り
     
 老いの心・技・体  ユマニチュードによる介護 高齢期を生きる
 病いとこころ   笑う門には福来る 高齢期と安心感