ジェロントロジー・高齢社会の人間学をテーマにしています          生と死    

すばらしき人々   Top page


    船画像            生と死

  私は、人生の8割を生きてきました。
残された2割の人生こそが大切と考えています。8割の人生は、2割の
人生ための準備期間であったような気がします。
残された2割の人生も、また、最後の命の卒業のための準備期間とし、
最終期は人々から惜しまれて、人々の心の中で生き続ける人生となるよ
うに楽しみたいものです。
 死生学では、魂とか宗教が多く話題になります。
私は、無神論者ですが、神社へ行けば手を合わし勝手なお願いをし、
お寺では手を合わせ、仏壇にも手を合わせます。
これらは全て本人のこころの問題です。

マーク  三人称の死

 1. 親友の死

 彼女は、関東シニアライフアドバイザー協会の会員として、私は関西シニア
ライフアドバイザー協会の会員として出会いました。彼女は東京では既に活躍して
おりました。南カリフォルニア大学でのジェロントロジー研修会で出会いました。
 その後、東京に出れば方向音痴の私を案内して下さり、神戸では私が案内をして
常日頃は、文通で意見の交換をしておりました。ある日「私は、バカでした。
余命3ヶ月と診断されました」との手紙を受け取り、驚いたものです。
 自分で描いた絵ハガキを貰いましたが、その絵が力もなく弱々しく感じられて
東京まで見舞いに行きましたが、彼女は、私に顔を見せてくれません。何故、
元気で生き生きとした自分の姿で思い出して欲しいとのことでした。
 彼女は、余命3ヶ月と告知されてから、自分を生きるために外国旅行や自分を
力一杯に生き抜いたのでしょう。5年間頑張りました。
 葬儀には出ませんでしたが、今でも私のこころには生き続けており、
問題がある時には彼女はどのように考えるかなどと会話しています。
素晴らしい人生を生き抜いた人は、いつもでも心の中で生き続けるものです。
 生きた時間が長いとか短いとかは問題でなく、どのように自分のこころで
生きたかが問題と考えています。

 2. 自死

  自死は、どのような理由があろうとも認めることはできません。
残された者は、
一生あなたの自死を背負って生き続けなければなりません。
特に、親が自死した遺児の心は(遺児の作文集より)閉ざされたままで長年生き
続けているようです。
 私は、海上生活を長くしましたので、乗組員の飛び込み自死も経験しました。
自死をした乗組員の家族は、いじめられたのでは、など何かの理由を探し出そうと
します。他の乗組員に疑いの言葉が出ることもありました。警察は、最後に会っ
た者、会話を交わした者に対して質問と言うか尋問口調でいろいろ調査します。
 自死する人はそれで終わりかも知れませんが、残された者は一生心に背負い続
けて、生きなければなりません。

 3. 歌手島倉千代子さんの死
 亡くなる3日前にレコーディングしたとのこと、素晴らしい仲間に取り囲まれて
いたのでしょう。彼女は、幸せな人生であったように思います。
テレビなどでは、苦労の連続だったようですが、人間の最終期は素晴らしい仲間
や親族に囲まれて、惜しまれて人生を卒業することだと思いました。
ご冥福を祈ります。

マーク 二人称の死( 両親の死 )
.
 父は、40年前に白血病であっと言う間もなく亡くなりました。
私が、仕事でペルシャ湾航行中に死亡電報を受け取りました。その折の精神状態
は今でもよく判りません。体もこころも宙に浮いたような不安な気分でした。
 緊急下船し、帰りますと、母は泣いて父のことを説明し、両祖父母は仏壇の
前から離れようとしませんでした。辛い経験でした。

 母は、その後30数年生きまして、95歳で大往生しました。
葬儀は、実家で行い、母が使用しておりました部屋で寝かせて通夜をしました。
 母を取り囲んで孫・ひ孫を集めました。「大きいおばーちゃん、可哀想」など
3歳4歳のひ孫が話しかけておりました。高校3年生の孫が「極楽とか地獄などと
言われるが、亡くなったらどこへ行くのだろうか」と話し始め、多くの考えを話し
合いましたが、結論は「真面目に力一杯に生きてきた人は、残された人々の
こころの中で生き続ける」との結論となりました。
 母は、孫やひ孫にそして私達子供に素晴らしい引継ぎをしたものです。
素晴らしい心の遺産相続をしてくれました。多くのものを教えてくれました。

マーク 一人称の死

 配偶者の死を1.5人称の死としたいと考えます。一般的には、男性が、先に
亡くなった場合は女性はきれいに生き続けています。しかし、その反対の場合に
は男性の生活の乱れが出てくるような気がしますが、如何でしょうか。
「男やもめには蛆がわき、女やもめには花が咲く」と言われていますが、
どちらが先かは神のみぞ知るですが、一人残された場合を想定し、家事を教えて
貰っています。しかし、ついついさぼりが出てしまい、偉そうに男を語るばかり
中々家事を習得できません。女性は素晴らしいと思います。その日常の大変さを
痛感しています。

 さて、私自身の死について考えてみます。今までに臨死体験とは言えませんが
2回意識が朦朧となった、その経験を述べてみます。
 一つは胆石の手術の折の全身麻酔ですが、どこか楽しんでいるようなところも
ありました。麻酔の前後の意識はどうかの実験をしました。配偶者に手術から出
てきた時に「ただいま」という約束をしました。見事に集中治療室で目覚めた時
「ただいま」が言えたようです。記憶が繋がっていたのでしょう。

 もう一つは、神戸大学でジェロントロジー学会に参加中でした。基調講演者の
顔がぼやけ、テーブルの書類が歪んで見えだしました。書類を片付けて会場より
這い出すような状態で出ましたが、この時は、恐怖心が一番に出てきました。
脳血管などの不具合、認知症、体の不具合などの不安が一杯になり、恐怖心が
一杯でした。しかし、自分の判断で救急車は利用せず、タクシーで帰りました。
少し、落ち着きその日は病院へ行かずに身辺整理のことを考える為に、妻のすす
める病院行きを断り(妻を泣かせました)、次の日休診日でしたが、近所の病院
へ緊急として診断を受けに行きました。血圧が、200近くありました(普段は、
130前後)。一時的な薬を処方してもらい帰宅することで済みました。
 それから健康管理に注意し、まず、仕事を減らすために、当時設立に力を注いだ
NPO法人「市民後見ひょうご」の理事長を辞任し、主治医を決めて3ヶ月に1回は
医師の指示を受けることで安心の生活を取り戻しました。

 現在は、また、ボランティア活動で忙しい日々を過ごしています。
NPO法人「想像文化研究組織」という団体の理事として、死生学・高齢者社会の
問題点などに取り組んでいます。

 高齢者の理解が想像の世界から実感の世界となりつつある年齢となり、これら
を生かすことが社会貢献の一つになればと考えて、ボランティアに励んでいます。
 生きて生き抜き大往生をするためにも、残り2割の人生を有意義に過ごす為にも
社会貢献は必要と考えています。

                      シニア ライフ アドバイザー
                          岡 島 貞 雄


Top page


終末ケアに関わる人々 老人施設での安心感 死生学
高齢期の3ステージ モリー先生との火曜日 夫婦介護
看取り Gerontologyとは 老成と老衰
孤独について 生と死 認知症と拘束
老いと時間 老いには夢がある 生きると自立
老人施設での安心感 介護老人福祉施設の優しい人たち 高齢者のリハビリ
高齢者介護と延命について  介護と終末ケアについて(1) 高齢者虐待
介護施設のターミナルケア(1) 介護施設のターミナルケア(2) 介護と胃ろう
老人福祉施設と往復切符 高齢者のこころのサイン すばらしき人々
高齢者(神様)との会話 気をつけたい言葉と行動
高齢者介護に思うこと 高齢期の3ステージ 高齢期を生きる
老いには夢がある 映画(海洋天堂)と成年後見制度  小さな復活
     
老いの心・技・体  ユマニチュードによる介護  介護と看取り
病いとこころ  笑う門には福来る  高齢期と安心感