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 マーク  介護老人福祉施設の優しい人たち

 
老人ホームに出入りしていますと多くのタイプの違った介護職員や看護師の方
達に出会います。ほっとして気分が安らぐ人、少しの気遣いで嬉しくなる人、
ときどき訪問する私でもそのように感じるのですから、生活している高齢者は
いろいろと感じていることと思います。

1)認知症について

  先ず、認知症の方について少し知って欲しいことがあります。私たちが
 みると認知症の人の行動や言葉が理解できないことが多くあります。
 しかし、認知症の方にとっては重要な意味があるのです。認知症の方は、
 私たちが目にする現実のことではなく、自分の過去の環境を守ることが最も
 大切なことなのです。
 一見私たちが変に思われる行動や言葉も本人にとっては大切なことなのです。
 赤ちゃんは、認(人を認識する)空(場所環境を知る)時(日時等を知る)の
 順番に覚えてゆきます。認知症の方は、その反対に忘れてゆきます。
  
  即ち、時を忘れ、空を忘れ、認を忘れます。しかし、時を忘れ、空を忘れ、
 認を忘れても、自分を守る本能はあります。変と思われる行動も本人にとって
 は少しも変なことではないのです。これらのことを基本に優しい人、気分が
 安らぐ人について述べてみます。

2)優しい看護師さん

  老人ホームに行きますと多くの胃ろうや経管栄養補給の場面に出合います。
 老人が、言葉が出なくとも、看護師さんが会話をしながら処置をしている方、
 優しい言葉でほっとします。
  人工的に栄養を入れますとやり方によっては栄養が逆流し、観ていると気の
 毒なものです。 涙 ”をためて堪えています。
  胃ろうの方式もいろいろとありますが、栄養剤が液体で滴下方式で栄養補給
 していても途中で見に来て、優しく声をかけて様子を見に来る看護師さん、
 また半固形タイプの栄養剤の場合は、一度休憩して、高齢者の負担をやわらげ
 て、時間をかけて行っている看護師さん、その反対に忙しく処置をする看護師
 さん、、、忙しい方は、本人は後で逆流し苦しんでいます。
   処置後、一度見に来て下さい。


3)もの言えない高齢者の目をみて話しかける介護士さんや看護師さん

  施設で平均要介護度が4を超える施設では、言葉を忘れている利用者が多く
 います。言葉を忘れている利用者にも話しかけて会話をしている方がいます。
 嬉しい光景です。きっとそのような介護士さんや看護師さんは、眼を観て会話
 をしていると思います。目の動き、顔の表情・身体の動きを観て会話している
 のでしょう。でもそれらは、常日頃からの気配り無くして読みとることはでき
 ません。普段からの努力の積み重ねの結果がそうできるのしょうか。

4)身体が不自由な高齢者に、丁寧に次の行動について説明する介護士さん

  ベットからの移乗、トイレでの支援、食事時のお手伝い等など多くの介護職
 さんの手を借りて、日常の生活を送っている利用者が殆どです。それらのお手
 伝いをする場合、優しく、時間をかけて、お手伝いをしてる介護士さんに出会
 うと嬉しいものです。
  早くテキパキとお手伝いする人もいます。皆さんはどちらの介護士さんを選
 びますか? 施設で上位職にある方は、往々にして早くテキパキする職員さん
 が優秀と観ているような気がします。
  身体が不自由な利用者、判断力が定かでない利用者にとっては少しのろまと
 言われてもゆっくり派が人気があるようです。私が、良く見る光景に実に身体
 の動かし方に気を配り、声かけをし、理にかなった動作のお手伝いをしている
 介護士さんに出逢うことがあります。利用者が安心して自分の動作にとりかか
 っています。でもこのような介護士さんはあまり見かけません。
 忙しすぎるのでしょうか。

  
   岡島流 介護老人福祉施設での、五つの「しない」

  @ 職員や看護師は、意味なく走らない

  お世話する人達が走りますと高齢者は不安感を抱きます。
  狭い施設で走っても歩いても時間的に変わりません。高齢者施設や病院で
  走ることを禁じているところもあります。 


  A 必要以上に大きな声を出さない

  笑顔で楽しい時には大きな声も出ますが、必要性がない時に大きな声をだす
  とやはり高齢者は不安感を抱きます。同じ言葉を交わしても静かな声と大き
  な声では違いがあります。
  回想療法的な素晴らしいことをしている職員に出会いますが、出来れば声の
  変化、優しさを心がけて下さい。


 B 意味なく身体や頭に触らない

  ふれあいと称して相手の気持ちも考えずに身体や頭に触っている人を見かけ
  ることがあります。特にボランティアの人は気をつけて下さい。
  身体の不自由な人、認知症を病んでいる人は、自分の意思を言葉に出せない
  のです。相手の表情や仕草で高齢者の意思をくみ取って下さい。 


  C 落ち込まない

  介護士や看護師は、自分の都合で落ち込んだ表情を見せないことです。
  職員の表情は高齢者に大きく影響します。プライベートな面で嫌なことが
  あっても、そこはプロです。
  高齢者の前では落ち込んだ表情を抑えて笑顔で接して下さい。
  あなたの笑顔は鏡です。あなたの笑顔が高齢者にも笑顔として写ります。 


  D 後ろから声をかけない

  認知症を病んでいる高齢者は、視野が狭く、感覚も前のみしかないという方
  が多いのです。
  後ろから声をかけると身体が「ピクッ」とびっくりする方がいます。
  その瞬間は、肉体的な萎縮、こころの不安感が現れます。
  顔を観ながら、意思をくみ取りながら、優しい声かけをこころがけて下さい。


                                     
                                シニア ライフ アドバイザー
                                           岡島 貞雄

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