マンションの大規模修繕工事を成功させるためには、まず大規模修繕工事実行委員会を立ち上げ、管理会社やコンサルと癒着していない大規模修繕工事に明るい外部専門家の活用が必要である。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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業界と利害関係のない元公共工事の検査官である技術系マンション管理士の活用で、バックマージン・談合・手抜きのない本来の競争原理の働く工事が実現出来る。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
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技術系マンション管理士が提案:修繕積立金不足でも大規模修繕工事を成功 【基本】 1、管理会社や一部のコンサルタントの悪だくみで大規模修繕の工事費用が割り高になる場合も有り得る。 2、管理会社の管理不良や理事会役員のやる気の無さが原因で修繕積立金不足もある。 3、適正な劣化調査・診断で大規模修繕の先延ばしが可能であることを理解すべき。 |
![]() 外壁伸縮目地シール施工 |
マンションの大規模修繕を失敗しない法則23 ・施工業者選定にとって最も重要なのは工事費だが、実際に落札した工事費ベースで比較しても業界希望額を100とした場合 60〜120までの開きがある。 ・業界に虎の子の資金を垂れ流しさせてはならない。 自らの選択で真実を見極めなければならない。 マンションの大規模修繕を失敗しない法則24 ・設計金額のチェックが必要。 方法は幾通りかある。 元の大規模修繕を失敗しない法則へ戻る 次の大規模修繕を失敗しない法則へ |
*築後26年、大規模修繕工事を控えた200戸前後のマンションの理事さんからの相談。
概要
修繕積立金が1億円以上不足して、建築部分の大規模修繕工事だけで精一杯。
給排水管の改修、エレベーター、機械式駐車場等の大規模修繕工事ができないので、どうしたものか。
1、建築部分の修繕項目(マンション管理会社の劣化診断より抜粋)
屋上防水工事・・・防水層表層部全面的にクラックがあり、裏側に空気が入り込んだ浮き個所多い。
外壁タイル部修繕・・・下地のコンクリートとの浮き(間隙)個所が手の届く範囲だけで6か所あり。
クラック(長さ30センチ〜40センチ、幅1ミリ前後)3か所あり
目地シールが全面的に硬化して、割れもあり
鉄部塗装・・・ほとんどの住戸のメーターボックスの扉の表面が白亜化し、こすると粉化した塗料が手につく。
外部廊下の床長尺シートが全面的に摩耗し、各階の側溝付近の2〜3個所にクラックあり。
2、設備関係の修繕について
エレベーター・・・各部品が経年劣化しており、また部品も在庫がほとんどないので、取り替えを勧める。
機械式駐車場・・・特に記述なし
給排水管・・・これについても記述なし
回答
長期修繕計画書拝見しました。
作成方法、工事費、周期等は、他のマンションと似たり寄ったりの根拠のない、業界の標準的な内容とお見受けします。
私として、現場も見ていないし、劣化診断もしていないし、また、過去の修繕記録も見ていないので具体な事は不明です。
その段階でも、明確に言える問題点や解決法を考えてみました。
問題点
1、作成時点の段階で約130,000千円の赤字という事実からみて、理事会やマンション管理会社の無責任さを法的に問題にすべ
きかもしれません。 通常は、大規模修繕工事を遠くに見た段階(前回の大規模修繕工事完了後遅滞なく)で、それから先の25
年程度先を見越して長期修繕計画を策定します。
そうすれば、前の大規模修繕工事の劣化診断や工事費のデーターを使用できます。
そして、赤字にならないように長期展望の下で値上げを考えるのが常識です。
一方、築後26年という、マンションも入居者も高齢化していく中での、無責任な業務内容となれば、より一層の責任を求めるべ
きでしょう。
長年、漫然と見過ごし、いきなり、赤字でかつ3年延長が避けられない計画を提示するか、若しくは分かっていながら、長年放置
しているなら、理事会やマンション管理会社の法的責任及びマンション管理委託契約の解約事由は避けらないでしょう。
2、劣化診断もしていない長期修繕計画など意味がなく、そのような計画書を提出する背景が問題です。
背景にマンション管理会社や理事会の思惑や怠慢があるなら、このことも法的責任の対象でしょう。
3、法的責任とは、関係各法により、「誠実な業務を履行していない」、本来すべきことをしていない「債務不履行」、通常の業務上
の責任を果たしていない「善良な管理者の注意義務違反」であり、このような犯罪的な業務行為をしながら、加えて、予防保全や、
一時金の都合の仕方に言及するとは、言語道断な利益収奪行為といえる。
すぐにもマンション管理委託契約を解約をすべきですが、理事会の指導層の擁護や、マンション管理会社の隠匿している恐れのあ
るマンションの多様な情報を管理組合側に移転されていない恐れを勘案すれば、今しばらく上手く活動するほうが賢明でしょう。
解決策
けの工事を実施。
1、マンション以外は、12〜15年に1回の大規模修繕などしていない。
業界のいい加減な周期を棚上げにし、業界と利害関係のない専門家で管理組合の立場に立って、建築、給排水、エレベーター、
機械式駐車場の実際の劣化状態を確認する。
過去の管理業務や収益主義と利害のあるマンション管理会社やメーカーの診断では信用できません。
2、今回の給排水設備を除いている、大規模修繕工事のコンサルタントの公募は中途半端です。 簡単な建築の外観上の工事だけを
考えるのではなく、本来なら、先の全てのものを含んだ、劣化診断と工事費作成を先行すべきです。
3、その後に、今後の現実に即した修繕計画(資金計画も含め)を構築すべきでしょう。
現実に即したとは、不要不急なものを排除し、優先順位の高いものから段階的な工事発注を行う。
例えば、給排水管→屋上防水→鉄部塗装→エレベーター→機械式駐車場→外壁
4、給排水管の腐触対策について
完成図面で確認願いたいのですが、当時の配管には配管用炭素鋼管(黒ねじ鋼管、白ねじ鋼管、水道用亜鉛メッキ鋼管)か塩化ビ
ニールライニング鋼管(管端防食措置なし)のどちらかの配管を使用していると思われます。
しかし、信じがたい事ですが、図面に塩化ビニールライニング鋼管と記載されていても、安くて、防食効果の劣る配管用炭素鋼管
を使用している(欠陥工事)事例もありえますので、留意ください。
前期の配管用炭素鋼管の黒ネジとか白ねじとは、亜鉛メッキをしていないのが黒ネジ、亜鉛メッキを施している(400g/u)の
が白ネジ(亜鉛メッキの色が白色からの名称)、その亜鉛メッキの付着量が多いのが(600g/u)が水道用亜鉛メッキ鋼管。
亜鉛メッキは塗装より優れた防食材ですが、空気中なら長い防食効果を示すものの、水中では亜鉛が水に溶けやすい性質があり、
20年も経過すれば、特に排水管に著しい腐食状態を呈します。
したがって、本来なら、20年を待たずして、管内状態をフアイバースコープ(内視鏡)で調査し、必要な対策を講じておく必要
が有ります。
特に、再生工法(管内面を樹脂系の防食材でコーティングする)が可能な状態の時期までに対策すべきだったのですが、26年でも
成功する事例もありますので、一度、諦めないで再生工法が可能か否かの劣化診断をして下さい。
多くの高築年数のマンション場合、排水管の横走り部は、自らの部屋の床でなく、下階の天井裏に配管されている事がありますので、
このまま放置して、再生工法が不可能になれば、築30年超えのマンションで見られるように、至る所の排水管から漏水が起こり、
階下への漏水が原因として、建築材料や家財等の浸水被害によるトラブルや損害賠償問題が起こるのは避けられません。
それらの時点で、給排水の配管を取り替えるとなると、自宅の床と階下の天井材の撤去・復旧・仮設に要する費用がかさみ、工事
期間も長期化します。
費用については再生工法 (内面ライニング) 30万/戸〜 50万/戸
更新工法(撤去・新設) 80万/戸〜120万/戸
なお、26年前の給排水管は塩化ビニールライニング鋼管は曲がり部、分岐部、バルブへの接続部、直管の接続部等の全ての接続部
まで、塩化ビニールによるライニングができていなく、その部位のねじ部が腐食を起こします。
5、大規模修繕工事は一般的には、新聞公募やマンション内での推薦方式を行うが、その場合に下記の特殊な条件を付ける。
@仮契約の旨(総会議決や資金借り入れが不調なら白紙撤回)
A1回目の見積もり条件を、工種ごと(屋上、外壁、鉄部、廊下・・・)に分割発注できるようにし、適正な落札予定金額を下
に、予算を見ながら、上乗せする2回目の工事を 、複数の同一業者相手にネゴシェーション(価格交渉)して仮契約
B総会の議決や、資金借り入れが不調なら白紙撤回。
C工事は予算の目途が確定した後に一斉に着工。
*このような予算を見ながら、段階的に発注するやり方は、民間のマンションでは考えられない事ですが、公共工事や宅建業では
一般的です。
何分、ノウハウに関わることですので、公開していない部分もあり、実績のない方が、真似をして大火傷をしないように
ご注意ください。
6、断じて、大規模修繕工事では、談合高値やそれに伴う不良工事はさせなく、多くの業者をコントロールできる手腕が必須です。
その為には、業界との利害関係のない、倫理観の高い、実務に長け(談合阻止、変則契約等)、広範囲の法的・技術的知識がな
ければできません。
また、談合を避ける策も通常の方法では効果がなく、また、見積書で見抜くのも特殊感覚が必要です。
しかし削減効果は絶大です。 マンション管理会社ペースの相場より30%は削減したいと思っています。
この効果で、少ない予算と低い適正な工事価格を調整しながら、段階的な発注をするのです。
こんな離れ業、建築設計事務所に委託できるでしょうか?
まず、逃げるでしょう。
B、マンション管理会社対策
大規模修繕工事がある程度の目途が立たないうちは、マンション管理会社を切ることは避けるべきでしょう。
それは理事会やマンション管理会社の反発を買うことになり、混乱を招く結果になると思います。
敵を上手く使わなければ、戦乱の時代は収まらないのは古今東西とも同じでしょう。
違法とも言える怠慢な業務を行ってきたマンション管理会社ではあるが、彼らの持っている、貴マンションの情報を管理組合に円滑
移転しなければなりません。
移転終了し、その情報を駆使できる体制ができれば、この非常時ということを勘案すれば当然、競争原理に基づく、管理費削減を実
施すべきです。
過去に実施したマンション管理会社対理事会での値下げ交渉など、大した効果がありません。
大阪市内の超大型マンションで守旧派の理事会交渉で5%削減、その後の改革派の10社を超えるマンショ管理会社で競争させたら
25%の上載せ削減で計30%となった。
別に驚く数字ではありません。
ごく一般的な現象です。
この管理費削減を行うのは、適正な管理を目指すなら、避けてはならない当然の行動で、この行動を抑制することは、管理会社と癒
着しているか、余程の安全主義者です。
マンション管理会社を変更したから、業務内容が悪くなったというなら、それは管理組合の指導が悪かったに過ぎません。
管理会社、工事業者や点検整備会社は管理組合の現場力を窺って、手を抜いたり、多様な利益収奪行為をするものです。
誰が役員をしても、負担が少なく、安心して適正な工事や管理を行うには、先にも述べた専門家の活用が不可欠でしょう。
1、過去の定例的な大規模修繕工事や大掛かりな臨時的な修繕、全ての修繕履歴を、管理組合として、一堂に集めなければならない。
(マンション管理会社の保管分全て撤収・・・以下同じ)
2、完成時の竣工図書類の整備と管理組合での保管
3、所有者や賃借人のデーターを含むその他全ての書類の保管
4、全ての図書類を管理組合に集積したら、管理会社の反撃を阻止しながら、電撃的な
管理業務の見直しと管理費の削減
5、管理費削減は今回の大規模修繕工事の完了後に行うことになるでしょう。
C、管理費削減を行う旨決定し、その削減額を資金源に入れ、先の実際の必要な工事費を見ながら、必要な資金調達の方法を考えて、実際に即
した短中長期修繕計画を策定する。
D、現理事会と現管理会社も含めて、ほとんどのマンション関係者は、この様な方法での解決はできないでしょう。
単純にマンション管理会社のいう不足資金の調達を考えるのが関の山でしょう。
特に管理会社を擁護するような理事会では適正なマンション管理などできない。
業界に影響されない且つ騙されない倫理観、多岐の技術、法律、契約事務、とりまとめに長じており、その上で、抜本的な解決策が必要。
現理事会役員はこのような結果を招いたのであるから、責任上、辞任も解任もさせなく、外部の専門家の協力で解決してはどうでしょうか。
専門家の形態
顧問+大規模修繕コンサルタント+短中長期修繕計画策定
E、大規模修繕工事のコンサルタント業務選定作業が進んでいる現状で、いまさら中止もできないでしょうから、次のコンサルタント決定の
プレゼンテーション時に、いきなり下記の質問をしてみるのも一策でしょう。
お金が一億三千万円ほど不足している。
築26年のマンションとしてどうすれば乗り切れるか?
コンサルタントの立場でお答えください。
最後に
何をするにしても、現理事会の理事長が態度を改めなければ、事が成功しないでしょう。
その為には、辞任か解任もあるが、後を継ぐ方が大変でしょうが、しかし、ある一面、邪魔する者がいないから、かえって改革のスピ
ードが上がるかもしれません。
この様な、大規模修繕工事を遅らせても予算が1億3千万円も不足している、実際の長期修計画も作成していない。
これは、管理規約、マンション管理適正化法、区分所有法、民法の関係条文に抵触するのは明らかです。
どの条文も理事会役員や管理会社に次の義務を課しています。
○誠実に業務を行う
○社会の常識に応じた業務を適正にする
○マンションに不利益を被らせない
全てに抵触していますね。
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