*当事務所に寄せられたマンションの大規模修繕工事に関する御相談のうち、解決済みでなおかつ、
相談者に掲載する旨の了解を得た事例を、相談内容の趣旨を変えない範囲で加筆修正しております。
但し、金額は当時のものなので、必要に応じて最新の国庫省単価を採用します。
1、マンションの大規模修繕工事に際して、無責任な管理会社の変更についてご相談したい
増本様
初めてメールを差し上げます。
A市で、築25年4階建て全20戸(EVなし)のマンションの理事長をしています、○○○○と申します。
このたびは、貴事務所のHPを拝見し、無料相談をお願いします。
早速、相談内容ですが、来秋をメドに大規模修繕工事を計画しています。
8月には理事長改選がありますので、道筋をきちんとつけて次の方にバトンタッチしたいと思っています。
12年前に一度管理会社の施工で、大規模修繕工事を実施しており、今年は25年を迎え2度目の工事
を行おうとしています。
管理会社による昨年末の定期点検の結果では、鉄骨、コンクリートほか、構造部分については問題がなく、
ほぼ鉄部、塗装部分の経年劣化のみということです。
(どうみても前回の工事での不良工事と思われるものでも、素人には理解できないコンクリートの性状による
経年劣化と突っぱねる。 そんな怪しげな管理会社を変更(見直し)も必要と思っています。)
そこで、主に対象はこれから絞り込むものの、錆び止め、防水、塗装を工事範囲計画として提案されています。
工事用の費用は約2千万円。 設計事務所への設計委託費用(施工監理は別途)では50万円の見積
(修繕費は長期修繕計画作成時のもの)を管理会社から頂いています。
修繕積立金の枠内なので、一応は安心しているものの、現状(従来も)は管理会社任せになっており、問題
ないとは言われましたが、外見上外壁などコンクリート部分にクラックもあり、また、淡路阪神大震災を経て25
年を迎え、今後のことも考えると、妥当性の判断が理事会では十分検討できません。
欠陥工事ではないかと疑うものでも、全部、工事の見積もりに入れてしまう怪しい管理会社の変更(見直し)も
考えています。
そこで、設計・工事監理事務所についても、比較検討の上決定し、居住者側に立った施工業者の選定を行
いたいと考えています。
つきましては、貴事務所にコンサルタントをお願いする場合、費用は概算でどれくらいでお願いできるのでしょうか?
理事会には、まだ声をかけていないので、委託前払い金はもちろん、現地調査にお越し頂くのも難しい状況です。
このような状況で無理を申しますが、概算(正式な見積ではありません)とご質問がありましたら、返信のほどよろし
くお願いします。
2、回 答(本文章は以前の内容ですので、各金額は見られた時点で再見直しが必要です。)
連絡が遅れて申し訳ありません。
土曜や日曜は業務等が入ることが多く、なかなかメールを見れませんでした。
実はこの2日間千里ニュータウンの大規模修繕工事に関して特筆すべきことがありました。
1)大規模修繕工事の前に管理会社の変更(見直し)が必要な場合がある
「欠陥工事を談合で割高な工事費で改修しようとした、大手マンション管理会社と裏で暗躍
するデベロッパーとゼネコン」
日曜の本日は泉里ニュータウン(○○台)内マンションの欠陥工事の和解の話で、マンション業界の象徴
的実態を見ることになりました。
@築11年、大規模修繕工事を目前にした40戸程。外壁南面のタイルに大きなクラックあり、剥 落の恐
れあり、ほかの箇所にもクラックや浮きが目立つ
Aディベロッパー系の管理会社の言
日照がきつい南側なので経年劣化です。落下の危険もあります。
これは全面修復しなければなりません。 工事費用6600万円
(管理組合の修繕積立金全額と近似です)
B理事長が他の業者にも見積りを徴収すると言ったら、管理会社は数日後には工事費を4200万円
に下げた。
C当事務所の公募性による競争入札の結果、管理会社と利害関係のない他業者が落札工事費が
2,800万円になった。
D施工前に 詳細調査をさせると 、誘発スリット(クラックを呼び込む溝)とタイル間の欠陥工事が判明、
数回の交渉の結果、販売業者と系列のゼネコンが欠陥工事を認める。
この企業グループ会社は、受託業務を受けているにもかかわらず、組合に対して不利益どころか、詐
欺まがいの犯罪を行っているのです。
外壁全箇所工事ストップ、弁護士入れて、和解により、無償で改修工事予定。
欠陥工事を、業者の言い値で、自分たちのお金で大規模修繕工事を施工する。
これが日本のマンション業界の象徴的実態です。
その犯罪の走狗が管理会社(言い過ぎではなく、一部の業者とはいえない現実がある)です。 大手だから安
心して購入されたかけがえのないマンション、そして大手の管理会社。
安心していたのにこの有様では、どうすれば安心な大規模修繕工事が出来るのでしょうか。
大手デベロッパーやゼネコンだけでは、安心できません。 1番肝心なのは、当事務所のホームページ全般で申
しあげている様に、居住者の立場で業務展開できるのは、在来のマンション業界と利害関係のない専門家だ
けです。
しかし、エンドユーザーの区分所有者の皆様には、工事に関して誰が正義で、どいつが悪者か見極めができ
ません。
私は、官庁の工事部門で40年近く席を置いていましたので、業界に束縛されない倫理観のある事業者や建築士、
設備技術者をあり余るぐらい承知しております。
ただし、経営環境やマネジメント能力や専門的能力のオールマイティの方は、ごく稀な存在で、その方が担当
することは考えにくい。
当事務所では、設計工事監理事務所で不足する業務処理能力を補佐する、指導監理方式(国や地方
公共団体での方式です)を基本にしておりますが、ご希望があれば直接に工事監理を行うことも可能です。
全般に渡ってご納得のいく業務を提供いたします。
今回の大規模修繕工事に関する事例は、管理会社による明らかな区分所有者に対しての背信行為であ
り、詐欺の疑いも濃厚です。
一日でも早く、正義の仮面をかぶった当該大手管理会社の変更を実施しなければならないと思います。
ただし、管理会社も必至です。 工事は取れないどころか、自らも委託契約を破棄されるとなると、一部住
民を傀儡化し強力な布陣で抵抗することが予想されます。
管理会社の変更は、大規模修繕の成功に比べ困難な業務です。
一度お会いして、対応策を考えましょう。
2)長い余談はさておき、本題に入ります。
マンション管理会社任せでない、管理組合の立場に立った大規模修繕工事コンサルタント、施工業者と
のことですが、賢明な判断と思います。
気になることがいくつかあります。
@防水(多分屋根と場合によればバルコニー床)も工事の施工範囲と思われますが、いかがでしょうか。
A管理会社が作成した長期修繕計画はさておき、そちらのマンション独自の区分所有者サイドの劣化診
断が必要と思われます。
報告書で多くの箇所に経年劣化が認められたら実施設計(工事仕様書、図面 、数量計算書等)が
必要です。 また期間重視でなく実態重視をされ、必要な時期での施工が望まれます。
築25年といえば、一般的に老朽化といわれる30年の手前でもあり、海に近ければ、鉄骨、コンクリート
の塩害も考慮しなければなりません。
クラックは0.2mm(葉書の厚み)以上ですと気になります。
0.3mm以上のクラックは業界基準でも構造上支障があると結論付けています。
Bそのためのコンサルの公募・選択を倫理観の高い第三者に委託し、正しい設計・施工監理を実施しな
ければなりません。
大規模修繕工事に関する管理組合のすべき多様な業務全般に言えることは、客観性・透明性・競争
性の確保です。
・客観性
その工事が本当に必要か、この時期に施工することが正しいか、その製品が正しいか積算単価や比
較のための工事費は適正か
・透明性
理事長だけとか、理事会だけとかで決定し、一般居住者(区分所有者)にオープンでない。
施工業者決定が不明瞭であったり、図面、仕様書、数量明細等の資料が閲覧できない。
・競争性
マンション大規模修繕工事業者を公開募集していない。
公開と称して、マンションのエントランスの掲示板に募集要項を貼り付ける。
その結果1社も応募なし、管理会社の推薦業者で出来レースの談合高値。
Cその後の大規模修繕業者の選択も当然、公募選択とプレゼンテーションにより選択すべきです。
これを管理会社に任せると、複数者でも隠密裏に見せかけの競争性を演出し、談合の高値がワンパターンです。
D施工会社と馴れ合いのコンサルタントや明確に指示のできないコンサルタントが少なくない。
これらの事例を回避して工事品質を向上させるには、指導監理者制度が必用です。
指導監理とは官庁では通常に実施しているシステムで、コンサルタントや施工業者の以下の様な実務面での資質不足
を実務経験豊富な技術者が指導するシステムです。
(一部の事例)
・屋上防水、塗装、長尺塩ビシート貼りの際の下地処理が不十分な場合が多いが、それを時期を逸せず適正施工を
させる。
・複数回塗りの塗装工事で、回数を誤魔化して3回塗りを2回塗りにするケースが現実的に発生しているが、それをさせ
ないというか出来ない手法を講じる。
・防水工事、塗装工事の際、高湿度や降雨時における施工をさせない。 業者に毅然と物を言える指導力が必要。
・雨漏り対策で特に重要な防水処理の技術的な指導・・・臭気塔、鳩小屋(配管の立上がり部)、窓枠のシール等の
不良工事をさせない。
・設計時の工事内容を誤魔化す・・・タイル枚数やクラック・爆裂・欠損等の設計数量程の施工量が不要なのに
無理に施工する。 また、管理組合の予算管理が厳し過ぎる場合において、劣化状況が悪いのに設計で見て
いないという理由で施工しない。 管理組合や施工会社やコンサルタントに、本来必要なのは工事品質の向上
であるべきというスタンスで明言できる姿勢。
Eそれらの費用は、業者の1社独占(3社以上でも裏談合あり)希望工事費(仮に2000万円)に比べれ
ば、比較できないほど少額ですみます。逆に言えば、管理会社に任してはならない部分です。
30パーセントは必ずコスト削減できます。場合によれば先例の42パーセントに近い半額も考えられます。
2000万円×30パーセント(手抜き避けられない) =600万 > 336万 (手抜き抑制できる)
×50パーセント( 同 上 ) =1000万
1、大規修繕工事に関する設計調査費は施工内容を基に積算しますので、防水を含んで工事費を
2000万円とした場合、国土交通省方式なら約150万円となります。
(当事務所は少数精鋭方式で経費を抑えれるため半額の75万とします)
調査、設計、公募、入札、業者プレゼン
2、工事の監理費は25,000円×2×20日=100万 (国交省の技術員の最新単価の見直しが必要です。)
(旧建設省告示1206号)(上記と同様に50万とします)
材料検査、工程施工検査、中間検査、完成検査
3、大規模修繕コンサルタント(指導監理費含む) 旧建設省告示1206号)とほぼ同額です。
打ち合わせ
理事会と (通勤4H+3H)×10回=70H
(事前、公募、プレゼンテーション・・・)
調査、設計コンサルと ×6回=36H
工事監理者と ×4回/月×2ヶ月=48H
検査、手直し、 ×3回=18H
計172H
172H×5000円=860,000円
大規模修繕工事全般のコンサルタントの諸費用は交通費別に86万円となります。
(上記と同様に43万とします)
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